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大鴉の恩返しは傍迷惑  作者: noll
灰色編
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携帯電話

 御伽噺に携帯電話を出していいものか。議論したいが議論出来る相手もいないので無理だと瞬時に悟った。なにしろ隣に居る男はカタツムリのように自分の殻に閉じこもってしまった。その姿は団子虫である。可愛くもない邪魔なだけの粗大ごみ。しかし男の悲しみを背負った背中を見ると何も言えなくなる。

 しかし、父も男であって体力がある。あまり見ることの無い父の勇士に、わたしは一人感動していた。身軽になった足で颯爽と駆ける姿はまるで走れメロスかのごとく。最近ではメロスは歩いていたと言われているが、そんな事など知った事か。メロスが歩いていようと走っていようと、今は目の前で死に物狂いに走る父にエールしか送れない。

 こうして舞踏会と武道会の夜は終りを告げる。


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