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とある鴉の地獄(男視点)
分かっていたんだ。こうなることは薄々。そもそもその術には欠点がある。古の術でさえもかかる人とかからぬ人の二通りがある。伯父ならば術にかかる前に防げるであろうが、多分だが面白半分で演じてくれているのであろう。そうしてその中で首謀者の俺を血眼になって捜しているのであろう。怖い。見つかったら弄り殺されるのではないだろうか。
一気に襲いかかってくる想像上による伯父の脅威に俺は頭を抱え悩まされた。そして渋々と舞い戻ってきたラスカー家。出迎えに見えた姿に絶望した。ドレスを着ているのに対し、行われているのはどうみても惑う事なく格闘技だった。むしろ戦術のようにも見える。滝のように流れる汗をドレスの長い袖口で拭いながら笑顔を見せる姿はまさに異様。違和感しかなかった。逃れようと思い身をよじれば、謀ったかのごとく現れる人間。不敵な笑みを向けられ俺は瞬時に理解した。今度は俺に絶望を味わう番なのだと。




