脚本《ブレイン王城中庭》
――敵前逃亡したシンデレラの目の前に現れたのはベールを被る一人の女性。女性は自分を魔女だと名乗ると、徐にベールを上げ姿を見せる。その時、シンデレラは大層驚く。
《子供》『な! 君はッッ!!』
《魔女》『あら、なんてみすぼらしい姿になったのかしらパッピーことシンデレラにして”夫”』
《子供》『つ、”妻”よ、待ってくれ! いろいろ突っ込みたい所があるんし、この格好の言い訳をせめてさせてくれ!!』
《魔女》『あら嫌だ、私は魔法使い”マミィー”よ。シンデレラとは今日初めて会ったばかりの新キャストよ?』
《子供》『俺の今までの存在というか過程を無かった事にされた!!?』
《魔女》『何そこでアホ面かましてんのよ、男なら潔く諦めなさい』
《子供》『……あれ、どこかで聞きたことのあるフレーズ』
《魔女》『さあ、さっさとそこに立ちなさい! シャキッとね!!』
《子供》『もう訳が分からない。……えっと、こうかい? その、魔法使いマミィーさん』
《魔女》『ええ、そうそこ。そこに突っ立ったままでいなさい。動いたら容赦しないわよ』
《子供》『なんで脅されてるの俺? まあ、うん。分かったよ』
《魔女》『よろしい。ならば早速…………、何しとるんじゃ、われぇ!?』
《子供》『グフッ?!! なんで唐突に殴られたの俺!!!』
《魔女》『うっさいわよ。男なら愚図愚図、馬鹿らしい言い訳並べ立てないで頂戴!』
《子供》『なんか尤もらしいけど、理不尽だよね!!』
《魔女》『第一、なんで私が相手役じゃ無くて後押しする役なのかがそもそもの問題なのよ! おかしいじゃない!! なんで浮気の後押しを妻がやってるのよ!!!』
《子供》『それは俺に言われても、どうすることも……』
《魔女》『こんな姿を娘に見られでもしたらどうするつもり?! 生々しいどころか毒毒しい御伽噺じゃない!!』
《子供》『だから俺に言わないでおくれよ。それに怒ると小皺が増えるって俺の祖母が言っていたぞ』
《魔女》『小皺云云の話じゃないのよ唐変木!』
《子供》『酷い言われようだな……』
《魔女》『けれど決まってしまった事はどうする事も出来ない。それは流石の私でも分かっているの』
《子供》『それは良かった』
《魔女》『だけど問題があるのよね。……ところで、”シンデレラ”はまさか”王子”と”本当の恋”をするだなんて馬鹿なこと言わないわよね?』
《子供》『おいおいマミィーさん。鬼でも逃げ出しそうな形相で迫るのは止めてくれないか。心臓が止まりそうだよ』
《魔女》『いっそ息の音を止めておいた方がよろしいかしら? そうしたら浮気だなんて話にはならないことだし』
《子供》『マミィーさんの気持ちはよく分かる。でもよく考えてほしいんだよ、マミィーさん。俺は君以外の人と結婚したいだなんて思ってもいない。それになにより”コレ”は御伽噺だ。つまりは劇だ。劇の中での話に色恋など生まれはしないよ』
《魔女》『なるほど。ならば約束していただけないかしらシンデレラ』
《子供》『なんなりと』
《魔女》『とりあえず今から魔法をかけて王子の元に行かせるから適当に相手して惚れさせてきなさい』
《子供》『ちょっと待って、数分前のマミィーさんの台詞は何処へ?!』
《魔女》『何言ってるのよ。シンデレラが王子に会いに行かないで舞踏会で初なんてそんな上手い話し世の中には無いわよ。もちろん御伽噺でも』
《子供》『現実的なんだね』
《魔女》『当り前でしょう? そもそも、何事にも順序というものがあるのシンデレラ。だからとりあえずその無様な下着姿から小奇麗なドレスに着替えさせてあげるから感謝しなさい』
《子供》『それは勿論! 感謝しか出来ない!!』
《魔女》『んじゃ、目を瞑りなさい。そして息も止めて』
《子供》『殺す気ですか?!』
《魔女》『五月蠅いわね。愚痴愚痴言わないで。ほれチチンプイプイ、マミィースト!!』
《子供》『なんか休日のアニメ見ている気分』




