とある鴉の驚愕(男視点)
吃驚した。何がって数分ぶりの再開でいきなりボディーブロー喰らうとか誰が予想できるだろうか? いや誰にも出来ないだろう。しかも百以上離れている人間に。流石のコレには俺も目を丸くしたし、油断した。次は防御しよう。あの人間地味に怖いし。
けれど、周囲を見渡せば見える光景は前に世界旅をした時に見た何処かの通りだと言う事に気がついた。しかし異国の地はやはり空気が違う。というか色が違う。黒眼黒髪などいないし、周囲に居るのは俺と少し顔立ちが近い奴らばかりだった。そういえば異国だと大鴉と似た民族が人間と共存し子を宿したと言う話を聞いた事があった。それならばきっとほとんどの異国の人間は仲間なんだろう。なんというか顔が良く似ている。
けれど、これは一体全体どうしたことだろう。前の時は普通に今時の……流行りのある少し洒落た服を着ていた異国の人々が、久しぶりに来れば服装が変っていた。皆、似た様な服で少し布が地味だ。なんだか美術館で展示してそうな感じの服だ。
首を傾げて辺りを見渡せば、ふと俺の右手に何か紙のような物が握られている事に気がついた。少し皺になってしまったが慎重に広げ、読んでみれば我が民族に伝わる古い言葉だった。そこに綴られていたのは、この世界についての簡単な説明書きだった。
それにより俺は思い出した。そうだ、この世界は本の中だと。それも懐かしい御伽噺。嬉しくなり読み進めていくと、一つ不思議な個所があることに気がついた。
「――なお、この作品に出てくる主要人物は貴方方お二人にとって”親しい方々”をお招きし上映いたします。
コレにつきましては、規則及び一つのお楽しみでもあるので空よりも広く海よりも深い寛大な御心でお許しください」
思わず口に出し音読してしまう。俺はそれを読みサッと顔を青ざめた。嫌な予感がする。それも頗る嫌で逃げ出したくなるほどの恐怖。見たら絶対、忘れられない一生ものの深い傷を負いそうな気がするほどの悪い予感。
ふと人間を見れば、眉を寄せて訳の分からないような表情を取りつつも、なんとなく内容を理解したのか焦った表情を次第に作り出した。
呆然と立ち尽くしていた二人の前に、突如として大きな悲鳴と何かが割れる音が聞こえた。両者その騒音に肩を震わせ、音のなる方を見てしまう。
そして二人は顔を真っ青を通り越し青白い顔を見せた。




