閑話
カラカラと音が鳴る薄暗い室内。スモッグが焚かれ、特に決まりも無く設置された明かりが疎らにチカチカと光っていた。
誰もいない室内……かと思いきや、室内の奥の奥。カラカラと音の鳴る台に寄りかかるようにして一人の怪しげな少年が立っていた。奇抜なその容姿はまるで道化師のようで見えた。白黒の服に二つに割れた帽子。そんな少年は心底つまらなさそうな顔をしては寄りかかる台の上で足をプラプラと遊ばせていた。
しかし少年は、自分以外の誰かが近づくのを察知するやいなや、嬉しそうに顔を弾けさせ台から勢いよく身体を離した。そして両腕を広げクルクルと踊りだす。
「やあやあ!
ようこそ、お客様!!」
少年はターンを大きくし、息を吐くと深々とお辞儀をして挨拶を述べた。
「私は此処の管理人……、名などございません。
皆様のお好きなようにお呼び下さいませ」
そして少年はにこやかに笑うと、再び台の方へ身を寄せた。
「しかし何と久しぶりのお客さまでしょうか!
昔は幾度となく呼ばれたこの身でしたが、古の術はただただ朽ちていくあまり。
けれど知る者によっては何と不可思議で面白い出来事!!
さあ、久方振りのお客様。
この私めに一体何を願いますかな?」
そう言い少年は台に座りこみ足をプラプラと遊ばせる。しかし次の瞬間には、少年はまた嬉しそうな笑みを浮かべ、台の上で踊り上がった。
「なんと、それは誠ですか!?
いやぁ、なんと嬉しい願い事!
宜しいでしょう!!」
高らかに言った少年だったが、ハッと何かに気がつくと少し罰の悪そうな顔を見せた。
「……しかし、そうとなれば準備が必要。
お客様、大変申し訳ありませんがこのルーレットを廻していただけませんか?
なに大丈夫です。
用意するにはそれ相応の場所と小物、それに役が必要。
ただそれを、このルーレットで決めるだけの事。
ああ、もしご要望があれば仰ってください。
なるべく対応出来るようにいたしますので」
そう言い少年は片腕を水平にし、自分のいる台へと招き入れた。やがれルーレットは廻り出し再びカラカラと音が鳴る。
その音と同じく少年は不思議な踊りを見せる。道化師の姿をした少年は薄暗い室内をかける。そして少年が薄暗い世界へと消えていく中、ルーレットに乗る球は威力を失くして小さな穴の中へとスッポリ身を収めた。
描かれるは『灰色』これが一体何を意味するのか、それはあの道化師の少年しか知らない――。




