一、少女は強かった
少女は強かった。ただただ強かった。頭もよく、統率者として十分な技量をもっていた。しかし、少女に友達はいなかった。それは、少女自身が心から信頼し、相手もまた、少女を信頼されている人を言う。
少女は人と話すのが苦手だった。なかなかうまく自分の気持ちを表現できなかった。いつも思っているものとは反対の態度が出てしまう、それが少女の唯一の悩みであった。
少女は真面目だった。いつも規則を意識し、それにのっとり行動していた。学校ではより一層それを強く出していた。
校内で少女のレベルについていけるものは誰一人としていなかった。少女はそれにきづいていた。少女はそれを気にしなかった。
少女は自覚していた。自分の周りへの要求のレベルの高さに。それでも少女はやめなかった。それは周りを信頼していたからこそであった。
少女はわからなかった。それは、少女が深く考えているからであった。少女は深く考えすぎてしまった。それゆえに、少女はわからなくなってしまった。周りになじめなかった。しかし、少女は悲しまなかった。
少女は何も感じなかった。それは、なぜかはわからない。周りをあきらめているからなのかもしれない。周りはそんな少女を気にも留めなかった。少女もそんな周りを気にしなかった。
その少女は「締下彩夏」といった。学校での成績もかなり上位の方にあった。何事も真面目にこなし、教師たちからの信頼も厚かった。しかし、生徒からの人気は低かった。それは、彼女が真面目な故だった。彼女は人懐っこかった。それゆえ、人に嫌われることを極度に恐れた。彼女は人に嫌われることの無いよう努力をしていた。しかし、前までの態度と性格から人気が回復することはなかった。それでも彼女はあきらめなかった。
それを一年ほど続けた。彼女は自分を見失ってしまった。