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リンゴが二つとピコピコ光るゲーム機

これをどう考えればいいのか

まず考えらえるのがゲーム内にトリップしたということなんだが・・・


「でもゲーム内にこんな森とかなかったよなぁ」


ほのぼの生活ゲームの中にこんなうっそうとした森は出てこなかった

と言ってもあのゲームは自分の牧場と小さな町ぐらいしか出てこなかったけど


「それはそのうちわかるとして、とりあえず食料ゲットだ」


手に入れたリンゴはどう見てもリンゴ、匂いはばっちりリンゴ

ゲームから出てきたからちょっと口にするのはためらわれるけど

なり続けるお腹を無視することはできない


「食えるのか、食えるといいな、・・・いただきます!」


シャリ・・シャリ・・・


思い切って齧ってみればきちんと食べられることができる

そして口に広がるリンゴの味

しかしこれは・・・!!!


「・・・美味くねぇ」


なんだこれ、スーパーとかで売ってるリンゴと全然違う

まず水分がなんか少なくて全体的にパサパサしてる

リンゴ特有のシャクシャク感がまるでなくどこか柔らかい

我慢して食べ進めても蜜の甘さをまったく感じられることができない

びっくりする位ハズレリンゴである


「食べられることは食べられるけど、美味くねぇなこれ」


甘さはあるが進んで食べようとは思えない味だ

それでも空腹には勝てずなんとか一個食べきる


「なんでこんな不味いんだ、・・・あっもしかして!!」


ゲーム画面を開いて確認する

まだ残っているリンゴを調べてみれば


『リンゴ 品質☆3』


これが原因か

このゲームは品質が1~10まである

品質を上げるためには毎日肥料を上げて

少しずつ少しずついい収穫物にしていかなくてはならない

このリンゴの木は最近植えてようやくの収穫だから

リンゴの品質は普通にも満たないレベルだった


「こんなリアル再現いらなかったぜ」


とここでもう一つ思い出す

画面内に植わっているリンゴの木の隣の木

これは確かブドウの木

しかもリンゴよりも早く育てているからきっと品質もいいはずだ


「口直しにブドウも食べるか」


しかしゲーム内ではまだブドウは食べごろになっておらず収穫できる状態ではない

仕方がないので適当に進めて日付を進めてしまおう


「あれっ?」


日付を進めるためにはベッドに寝なくてはいけないのだが

画面の主人公はベッドに激突するだけでちっとも寝てくれない


「なんだ?、もしかしてこれ以上進めないってことなのか?」


せっかくましなものが食べられると思ったのに!!

美味しいブドウが食べられるとウキウキした気分がしぼんでいく


と、ここで重要なことに気づいてしまった

これ以上進まないってことは今ゲーム内で持っているものしか

ここから取り出せないということに・・・

これって現実世界で作っていけってことなんだろうか


異世界で牧場を経営して品質を高めていく

これが俺がこの世界にきた目的なのかな

確かに何かを育てるとか好きだけどまさかこんなことになるとは・・・

でもせっかくアイテムとかは揃っているんだ

どこまでゲーム内のアイテムがこの世界に通用するかわからないが

やらないなんてもったいないことはできない

一度死にそうになった命だ


「俺、牧場経営するんだ・・・」


言い聞かせるように呟けば俺の心が決まる

それならまずできることを調べよう

あとこのゲーム機はなにができるのだろうか


「出したものはしまえるのか?」


食べなかったリンゴをゲーム機にかざせばボワッと消える

そして画面内のリンゴの数が一つ増える

おぉ、ちゃんと出し入れはできるみたいだ

今度は主人公のカバンの中に入っている小石を選択する

ポンッと出てきたものはその辺に転がっているものと変わらない小石

よしよし、食べ物以外も取り出せるのか

それじゃあこの世界のものをしまうことはできるのか

足元にあった小石をゲーム機に押し付ける、消えない

小枝を押し付ける、消えない

雑草を押し付ける、消えない


「これはダメか」


やっぱりゲームの中のものしかしまえないのか

じゃあ一度今ゲーム内にあるものを把握しなくちゃいけない

俺って手に入れたアイテムをなかなか使えないんだよな

高級アイテムはもちろん普通の消費アイテムだってゲーム内であまり使わない

RPGやってた時は回復アイテム使わないでいちいち宿屋に行ってたっけ

そんなみみっちいプレイスタイルもこの時ばかりは感謝だ


「クワやジョウロもある、種や苗木もあるし」


無駄にため込んだアイテム欄をピコピコ動かした

そういえばイチゴはもう少しマシな品質だっけ

品質の差を調べることも大事だ

決して食べたりなくて出すわけじゃないから・・・


そんな風にゲーム画面に夢中になっていたから

俺は徐々に近づく気配にまったく気付けなかった

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