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小桃が思うこと  作者: 小桃 綾


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18/19

気にしなくていいことだけど

 ついさっきあったことですが、聞いて欲しいです。


 駅のホームで帰宅電車を待っているとき、突然怒鳴り声が聞こえました。それは3メートルほど真横にいる女性のもの。

 私はずっと視線をスマホに落としたまま、視界の隅で様子を窺いました。


 身体のバランスをとるフリをしながら足一つ分後ろに下がって横に集中すると、女性と子供の二人連れでした。(周囲には私とその二人連れだけ)


『やめてって言ってるでしょ!』

『なんでやんないの?』

『もういい! やんなくていいから!』


 女性の声はすごく大きく、怒られている子供は小さく何か言っただけで、ほとんど聞こえません。


 暫くして電車が到着し、二人は隣のドアから乗り込みました。混み合った車内では怒鳴り声もなく、ただの帰宅ラッシュの風景に戻りました。そして私も自分の降りる駅で電車を降りました。



 私は田舎で生まれ育ち、今は都会で暮らしています。

 幼い頃、私が親に叱られて"蔵"に閉じ込められると近所のお婆ちゃん(他人です)がきて親を宥め、蔵から出してもらうような、そんな地域&時代でした。


 ここは都会。顔見知りばっかりの地域ではありません。

 だから、見ず知らずの私が声をかけてその女性を宥めたり、代わりに優しく子供に言い聞かせることなんてできません。声をかけたらきっと『口出ししないでください』と返されるでしょう。(もし暴力をふるっていたらもちろん止めますが)


 子供が言うことを聞かなくて親が怒るのはもちろん分かります。理解しています。

 私が思ったのは──


 あの場で隣にいた“ただの他人”として、私は何もできなかった。何もしてはいけないと思った。


 何もできなかった自分にモヤモヤして、でも、“ベストアンサー”は何かあったのか……

 そんなことをずっと考えてしまいました。

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― 新着の感想 ―
 まあ、他人の家庭のことですしね。  人にはそれぞれの考え方がありやり方がある。  たとえそれが好ましくないことであったとしても越えてはいけない一線がある。  なんとももどかしい話です。
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