寿命が見える女の子。
https://x.com/J4gkB/status/1875870176320876826
こちらの作品の自己解釈となります。
作者様からは許可を頂いています。
生まれた頃から人の頭の上に数字が見えていた。それが何なのか小さい頃は分からなかった。
ひいおばあちゃんの頭の上には94という数字が見えていた。94歳の時にひいおばあちゃんは死んだ。
その時に理解した。じゃあお母さんの頭の上に見える64という数字は何だ。お父さんの頭上に浮かぶ数字は更に短い。
晩婚だった両親は私が成人する前に逝くのか? ただの偶然だと思いたかったがお父さんは頭上の数字通り逝った。じゃあ、つまりお母さんも64歳で死んでしまうということか。それはイヤだ。そんな数字なら見たくなかった。神様からの酷く残酷なプレゼントだと思った。こんな能力なら返しますから、どうかお母さんの寿命を延ばしてください。
お母さんに健康状態を見直すよう遠回しに促してみた。数字が伸びた喜びに私は調子に乗ってしまった。寿命が近い人に余計なアドバイスを振りまく痛い女になっていた。
寿命を告げる度、嫌な顔をされる。それが当たり前だと気づいた頃に能力で他人と関わることを止めた。
それでも死期が間近に迫っている人を見ると居た堪れない気持ちになる。特に子供の寿命を見ると。公園ですれ違った母娘。目に映る数字は13。
私が何かすればもしかしたらその数字は変わるのかもしれない。ただ、変人として拒絶されるのが怖かった。だから何も言えない。あの子は13歳で死ぬのだろう。それが分かっていながら何もしない自分にズキズキと心が痛む。
足下で猫が鳴いた。頭に映る数字は2。野良猫の平均寿命。私は猫を抱いた。少女を救えない代わりに何かに縋りたかった。君なら助けてあげられる。頭上に見える数字が23まで延びた。猫は今も私の家で寛いでいる。