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お寺の化け猫           

三題噺:裾野、目玉、油


を題材に書いております。

 むかし、むかしある山の中に由緒(ゆいしょ)正しいお寺がありました。


 そのお寺の和尚(おしょう)歳月(さいげつ)さんはとても困っていました。

 毎晩、真夜中になると化け猫が、手拭いでほっかぶりをして明かりとなる灯明の油を舐めに来るのです。


 その話をついつい商売繁盛祈願しょうばいはんじょうきがんでやって来た。団子売りの紅葉(もみじ)さんに話してしまったのです。


 紅葉さんは、とても良い人ですが、思い立ったら吉日(きちじつ)の人だったので……。


「油を舐められるのがいやなら、団子を食べさせればいいじゃない!」


 そう言ってその晩からお寺に、泊まりこみ始めました。


「おい! お前! 油を食べずにうちのお団子の残りをありがたく食いやがれ!」


「にゃ――――!」


 そして化け猫を見つければ追いかけ回します。


 正直、団子を持って化け猫を追います紅葉さんは、とてもうるさく迷惑でした。けれど油が()る事もなくなり、せっかく善意(ぜんい)で働いてくれる紅葉さんを歳月和尚は、追い返す事など出来ませんでした。


 しかし紅葉さんは、夜に走りまっているので村まで、帰る事に疲れてしまいます。なので、紅葉さんは、時々村へ団子の材料を買い付けに行くとお寺で団子を売り、夕方になると仮眠(かみん)をして夜に備える様になってしまいました。


 それにはさすがの歳月和尚もうんざりしましたが、紅葉さんが気まぐれに、持って来るお団子は、どれも美味しくなんとなく許してしまうのでした。


 ある日な晩、歳月和尚が、満月の月を見ていると、寺の(すみ)で泣いている者がいました。


 どうやら子どもの様だったので、紅葉さんの三色団子を小さく切ってお皿にのせて渡しました。


 その子どもは、泣きながら話すのです。


「私は、この山に住む化け猫です。いけない事と思いつつ油を舐めてしまっていました……。でも、あれはなくないですか?! 何であの人はあんな変な物を持って私を追いかけまわすですか?」


 歳月和尚は、少し答えにつまり……。


「これをお食べなさい」


 そう言って小さく切った三色団子を、差し出しました。子どもは、えっ?これは……あれでは? と不安な気持ちがいっぱい詰まって目で和尚を見ました。


 和尚は、子どもの目の前で団子のかけらを1つ食べました。


 そうすると、子どももやっと1つ食べました。食べた子どもは、毛をぶわぁと逆立てて、けむくじゃらの化け猫になりました。


「美味し――い」

 猫はたちまち全部たべてしまいます。


「もっと、ちょうだい」

 化け猫は、何も乗ってない皿を差し出しいいました。


「それならもうすぐ起きて来る、紅葉さんに言うといい」


「えっ!?私を追いかけまわすあの人にですか?」


 化け猫は、とてもいやな顔をしましたが……和尚は、うんうんとうなずき、「これは彼が作ってくれたものだからね」と言うと、化け猫は少し考え込み。


 小さな声で「わかりました」と、言いました。


「じゃあ私は寝るからね」


 そう言うと、和尚は、化け猫を残して眠りに着きました。朝起きて目を覚ますと、お寺の中に立派な看板のある団子屋が出来ていました。


「歳月和尚、ここでの商売も安定して来たし、化け猫が改心してこれから、団子屋を手伝ってくれると言うのでお店を建てました。」


 そう笑顔で、紅葉さんはいい。隣の子供もちゃんとエプロンをつけてうなずきます。


「そうですか……」歳月和尚は、微笑(ほほえみ)みました。


 そうしてお勤めの為に振りかえり御堂へ向かう歳月和尚は――。


「ここは、お寺の敷地内なので、山の裾野(すその)にある休憩所(きゅうけいじょ)を好きに使っていいので、そちらへ移ってください」


 と言いました。いくら心が広い歳月和尚でも、お寺でお店を開くのは駄目だった様です。


 それから紅葉さん、化け猫と山の裾野の休憩所で団子屋を建て、時々、歳月和尚のお寺へ、本日の目玉商品の団子を持って遊びに行くるようになったとさ。 


 おしまい

見てくださりありがとうございした。


またどこかで!

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