表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

106/134

エッヘン皇帝

「ちょちょちょ、皇帝っておま?!」


「なにいっとるんだ、貴様あれだけ権力欲むき出しにしとったじゃないか」


「そういえば……最初に会ったとき、エッヘンさんがコロリの対策をしていたのは、ベンデルドルフを統治したいためでしたっけ」


「よかったな。皇帝になればフンバルドルフはお前のものだぞ」


「そういったけどぉ……」


「しかし、エッヘン宮中伯なら間違いはないでしょう。実務能力はありますし、人望は……まぁ、ないこともないです」


(エルさん、ビミョーにぼかしてるけど、それ無いってことですよね?)


「というわけで、エッヘン、お前は皇帝選挙に立候補しろ。またぞろ適当なやつが上に立ったらどうなるか、身にしみているだろう?」


「フゥン、それもそうなんだが……」


「エッヘンさん、僕からもお願いします」


「むむむ……」


 テーブルから立ち上がった東都は、エッヘンに向き直る。

 そして、彼に思いの丈(本心かどうかは置いておいて)を吐き出した。


「エッヘンさんを初めてみた時、この人は偉そうで強引な人だ、そう思いました」


「フゥン?」


「しかし、それはコロリを撲滅せんとする使命感に燃えてのこと。利己的な気持ちがなかったといえば嘘になりましょう。しかし、エッヘンさんは自分のためだけでなく、無力な民のために情熱を燃やせる気概があることも事実です」


「うむ。トート殿の言う通りだ。たしかにエッヘン伯には堂々とワイロを受け取ったり汚職をしたりと、アレな部分がある。しかしエッヘン伯は、必要となれば隠し財産を吐き出す覚悟を持っている」


「フン、それはそうだろう。いくら汚職やワイロで金を貯めたとしても、使えるところがなければ話にならん。これは共存共栄というやつよ」


「ま、ワシがコイツが嫌いになれんのは、こういうところがあるからよ。清廉潔白にすぎて、パンだ買えず飢え死にするような輩より、ワイロを受け取って、未来のことに備える男のほうが安心だ」


「皇帝は半分外道のほうがいいわよね。ベンデル帝国の貴族なんて、ろくでなしの集まりなんだもの。善良なだけの皇帝なんて、しゃぶりつくされるだけだわ」


「コニー……まぁ実際そうなんだが」


「伯のみならず、トート殿からも言われると断れんな。致し方あるまい」


「よし、これで決まりだな。いずれ皇帝の選挙があるときは頼むぞ」


「あぁ」



★★★



 エッヘンを皇帝に推す。

 それが決まったあと、東都たちは引き続き残務処理にあたった。


 一段落ついて、ふと東都は思い出した。


「あっ、エルさん。エルフの人たちのこと、どうしましょう?」


「そういえば……エルフの軍艦は港に置かれたままですね」


「うん?? エルフの軍艦??? ワシはてっきり書簡を渡してティナティック号で戻ってきたものかと……なぜエルフの軍艦が来ているんだ?」


「あー、実は……沈んじゃいまして」


「ほげっ?!」


「閣下、ティナティック号は外洋に出たところで、サハギンの海賊に襲撃されました。そして乗組員ともども海の藻屑に……」


「なんということだ……武装が不十分だったのが仇になったか。しかし、そんなことがあってよく無事だったな」


「あんまり無事じゃなかったんですけどね」


「ここに居るということは、なんとかしたのだろう? どうやったのだ」


「トイレで空を飛びました」


「ワシが悪かった」


「いえ、閣下。これは本当のことです」


「うーん……。本当だとしても、これって一応記録に残るんだけど」


「僕がやっといてなんですけど、後世の人に正気を疑われそうですね」


「考古学者が頭を抱えそうですね」


「まぁ、それで逃げたのは良かったんですけど……。勢いが良すぎて、オークがいる黒曜氷河まで飛んじゃいまして。そこでまた色々あったんですよ」


 東都はその後も旅のことをとくとくと語った。

 オークの村のバベルのこと。エルフの国の奇妙な建物のこと。

 そうした異国の奇妙な風習や風土の事を聞くと、伯爵は満足げに笑った。


「まさに大冒険だな。なんともうらやましいことだ」


「それでこれからのことなんですけど……」


「うむ。エルフとオークの協力を取り付けた。ということは、残るはベンデル帝国から東にいったところにある砂漠のネコ人の国と、南のドワーフの国になるな」


「エルフの国から戻ってきたのは、ちょうどよかったですね」

「ほんとね」


「そのどちらか、になるかぁ……」


(女神教の信仰をこれ以上強めると、女神がこの世界に現れるようになる。背教者はそんな事をいっていたな。女神が現れると、僕の身に危険が及ぶ可能性もある。こんな事考えてると、まるで二重スパイみたいだな。さて、どうしたものか……)


 東都は腕を組んで考え込む。

 しかし、考えて決定しようにも、判断材料がない。


(行先を決めるには少し情報が足らない。もう少し現地のことを知る必要がある)


「エルさん、その2つの国の詳しい情報を教えて下さい」


「わかりました。では説明いたしますね――」



トートくんの旅はまだまだ続く…

RPGツクールMZでゲーム作りはじめたのでちょっと短め。

結局、大人向けのナントカのアトリエ風のゲームをつくることにしました。

進捗はカクヨムのほうの近況ノートで公開してます。

なろうの活動報告ってイラスト貼るのめんどうだし…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ