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トイレに行きたかっただけなのに

前作、『墜落者ギルドへようこそ!ーエルフやオークがいる辺境惑星に遭難した俺、頼れる(?)仲間たちとコロニー経営して生き延びます!』と同じようなギャグメインの話です。

よろしくお願いします!!!

「うぅ……」


 東都(とうと)弁蔵(べんぞう)は、腹痛に耐えながらトイレを探していた。


 東都は今日、学校を休んでいる。

 友人たちと、発売されたばかりのテレビゲームを遊ぶ予定があったからだ。


 しかし、彼のお腹は家を出たときからゴロゴロと音を立てている。

 朝に食べたカレーが悪かったのだろうか。


「流石に3日めはやばかったか? いや、大丈夫だ、僕は大丈夫だ……」


 東都は自分に言い聞かせながら、トイレを目指す。

 今いる所からだと、駅のトイレが近い。

 しかし、途中で腹痛が激しくなり、彼はもう我慢できなくなった。


「くそっ、どこかにトイレはないのか! 」


 獣のような鋭い視線で、東都は周囲を見回した。

 だが、公衆トイレは見当たらない。


 彼の限界は近い。このままでは人々の前で野生を開放するしかない。

 それはすなわち、彼が人としての尊厳を失うことを意味する。


「――あそこだ! 」


 額に汗を浮かべた東都は、目を輝かせて叫ぶ。

 道路向かいにコンビニがあったのだ。


 あそこに行けば、トイレがあるはず……!


「助かった……」


 東都は信号を無視して道路を横断しようとする。

 しかし、そのときだった。


<ブゥゥゥゥーーーー!!!! >


 後ろからトラックのクラクションが鳴り響く。

 驚いた東都が振り返った視界の先に、巨大なタイヤが迫っていた。


「え? 」


 突然のことに東都は呆然とした。


 猛烈な腹痛により彼はよちよち歩きになっている。

 とてもトラックを避けることなどできない。

 トラックの運転手も急いでブレーキを踏んだが、間に合わなかった。


「うわああああああーッ!! 」


 東都は叫んだ。そして、迫りくるトラックを前に目を閉じ、世界が暗転する。


「…………」


 しかし、想像していた衝撃や痛みはない。

 東都は何が起きたのか分らず、おそるおそる目を開けた。

 すると、彼は真っ白な空間にいた。


「ここ……ドコ? 」


 東都は首を傾げ、辺りを見回す。

 すると、彼は目の前に白い服を来た女性の姿を見つけた。


「こんにちは、私は女神です」


 笑顔の女性は金髪碧眼(へきがん)で、とても美しい容姿をしていた。

 豊満な肉体が、光を通すとても薄い布で包まれている。


 しかし、東都はこの異常な状況を理解することが出来ない。

 ただ、彼女が放った言葉を繰り返すだけだった。


「女神? 」


 東都は「女神」を名乗る存在に疑問を抱く。

 自分はどうしたのか。いったい何があったのか。

 そこでようやく、彼は自分の状況を思い出した。


「あれ? 僕、死んじゃったの? 」


「ええ、残念ながらそうです」


 東都は恐る恐る、自分の運命を聞いた。

 すると、女神は無慈悲にも彼の言葉を肯定した。


「あなたは交通事故で命を落としました。でもご安心ください。私があなたを異世界に送ってあげます」


「異世界?」


「そうです。魔法や冒険がある素晴らしい世界です。あなたはそこで新しい人生を始めることができます」


 女神は母親が幼子おさなごに語りかけるように続ける。


「それに、私はあなたの望みを叶えてあげます。あなたがこの世界で生きるために必要なスキルを一つだけ与えてあげます」


「本当に?」


 東都は目を輝かせた。彼はライトノベルやアニメが大好きだった。

 異世界に行って冒険をするのは彼の夢だったのだ。


「じゃあ、僕は……」


 東都は強力な魔法や剣術、チート能力などを思い浮かべる。

 だが、そのときだった。


「うぅ……」


 東都のお腹がゴロゴロと鳴り出した。

 そう、すっかり忘れていたが、彼は今すぐトイレに行きたかったのだ!!!


「どうしましたか? 」


「あ、あの……」


 女神は心配そうに東都の顔を覗き込んだ。

 あまりの恥ずかしさに身悶えするが、すでに彼の我慢は限界にきている。


「すみません、トイレに行きたいんですが……」


 こんな美人の前で人としての尊厳を失う行為(脱糞)は出来ない。

 東都はトイレに行きたい、そう言った。言ってしまった。


「トイレ?」


 女神は驚き、そしてそれを全力で間違った方向に理解した。


「なるほど、トイレが出せる能力ですね」


「へ?」


「では、それで決まりです。あなたにトイレが出せる能力を与えてあげます」


 東都は戸惑う。しかし、女神の決定は絶対だ。

 女神は微笑を浮かべて、あまりにも無慈悲な決定を東都に伝えた。


「えええええ!」


「それでは、さようなら。異世界で幸せになってくださいね」


 女神は手を高くあげ「パチン」と指を鳴らした。

 すると、東都の体が光り始めた。


「ちょ、ちょっと待って! 」


 東都は手を振り回して抗議する。

 しかし、女神の姿は光に溶け込んで、もう見えなくなっていた。


「トイレが出せる能力って何だよ!!!」


 東都は光の中で、喉から血を吐かんばかりに絶叫する。

 しかし、もはや彼の声は誰にも届かない。


 彼は「トイレを出す能力」ひとつで異世界に送り出されてしまった。



 本格的なファンタジー世界に、マジでどうしようもないスキルを持って降り立った東都君の活躍にご期待ください。


作者からのお願いです。

 ええやん、続きがみたいと思われた方はブックマーク、★の評価をおねがいします。


 おもしろくないと思われた方も、面倒でしょうが評価での意思表示をしてくれたら嬉しいです。


 おもんな!!! ま、読めたから★ひとつ。

 まあ頑張ってるから★ふたつ。

 そんなつけかたでもかまいません。

 今後の執筆の手がかりにしていきます。

 作者としては反応が見えないのが一番ツライので

 コンゴトモヨロシク……(´・ω・`)

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