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両想う
「何の匂い?」
「香水つけてるの」
「そうなんだ」
意識してほしくてつけてみた。
誰のためにつけてるのと聞きたかった。
「俺好きだよ、それ」
その代わりに、気持ちを言ってみた。
別のことだと、何気なくを装ってなら言える。
何その不意打ちずるい。
でも、そうやって素直なところを好きになったんだ。
「またおいしそうとか言うんじゃないの?」
私は好きも言えないひねくれ者。
こんな子、好きになるはずないよね。
君がそんなに嬉しそうに笑っていると、俺のこと好きなんじゃないかと思いそうになる。
いや、どうかそうであってほしい。
あぁ、好きって言えたらいいのに。
好きすぎて、おかしくなりそうだ。
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