アイス
俺と真奈美は、休日、少し入った裏道の駄菓子屋に寄っていた。
俺「いやぁ今日もあっちいなー!」
真奈美「こういう時こそアイスだよね~」
俺と真奈美は、他愛のない話に花を咲かせながら、近くのベンチに座り、アイスをほおばる。
俺はふと、真奈美の持っているカバンについているキーホルダーが目に留まる。
俺「何そのキーホルダー。結構古そうだけど。」
真奈美「これ?あー、これおばあちゃんの形見なんだ。」
俺「あっ...そっか...なんかごめん」
真奈美「いや、大丈夫。6年くらい前に貰ってから、ずっと肌身離さず持ってるの」
話に熱中し、アイスも少し溶け始めたころ、生ぬるい空気があたりに漂い始める。
その違和感に気付いたのは、大荒れになる少し前。
真奈美「ねぇ、あれ何?なんか近づいてきてるけど、、」
俺「ん?ん!?」
気づいたときにはもう遅かった。雲だ。それもとてつもなく大きな、、
ゆっくりと迫ってくる雲に対して、俺たちは何もできず、ただ見つめているしかできなかった。
真奈美が言った。
真奈美「と、とりあえず避難しようか!」
俺「ここから一番近い家の人は、、、えーと、、」
俺俺たちがどこに行こうかと考えていると、突然真奈美が叫んだ。
真奈美「うわ!なに?!」
金平糖ほどの大きさの粒が降り注ぎ、無慈悲に俺たちの体に突き刺さる。
雹だ。
真奈美「痛っ!!」
今日は最近でも特に暑く、半袖で出かけていたのが災いした。
腕や足にかすかに血がにじむ。
真奈美「とりあえず俊介の家に行こ!」
俺「そうだねそうしよう!」
痛みに悶えながら、なんとか俊介の家に着くことができた
俺「おーい俊介!おーい!!」
聞こえている様子はない。こんな大雨だし、あいつの部屋は2階だ。
玄関に近づき、インターホンを押す。
俊介「はーい」
インターホン越しに俊介が応答する。
俺「家に上げてくれ!!今大変なんだ!」
俊介「たける!?それに真奈美も!!こんな大雨で何を...いや、とりあえず上がって。」
俊介は問い詰める前に家に上げてくれた。俊介の部屋で事情を話す。
この雹は、長く続いた。あのまま外に居たら、どうなっていたことか。
それから俊介と雑談をして時間をつぶしていると、いつの間にか雹は止んでいた。
真奈美「あ、止んでる。いつの間に...」
俺「お、本当だ。にしてもすごかったな。」
でもその時に、真奈美がとあることを言い出した。
真奈美「ねぇたける。おばあちゃんからもらったキーホルダーがないんだけど、、」
俺「え?そうなの?」
真奈美「もしかしたら用水路の中に、、」
俺「えー!それ亡くなったおばあちゃんから貰ったやつだよね?!」
真奈美「うん、、どうしよ、、」
俺「とりあえず駄菓子屋戻ろうか!」
真奈美と俺は真奈美のキーホルダーを探しに駄菓子屋へ戻ることにした。
俺「短い間だったけど俊介!ありがとうな!」
俊介「ほんと気を付けろよな笑」
俺「うん笑ごめんな!じゃあな俊介!」
僕たちは少し急ぎ目で駄菓子屋に戻った
駄菓子屋に着いたとき
俺「真奈美!見つかった?」
真奈美「あった!!ありがとうたけるー!」
涙目になりながら喜ぶ真奈美を見て、自分まで安心した。
二人はほっとしてまたアイスを買った。
でも、これが原因でまたあんなことになるなんて、この時の俺たちは知る由もなかった、、