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「明楽…やったな…」

「そうね…」

すると、三日月が沈み朝日が見えようとしていた。

「明楽。みんなを連れて帰ろう」

「うん…」

明楽はゆっくりと降下した。地上ではウルフと兵士たちが手を振りながら二人を呼んだ。

「クロ!明楽ちゃん!」

「クロさま!明楽さん!」

地面に着地した。

「みんな。帰ろう…」

そうクロが言い、指を鳴らすと皆が砂のように消えた。すると、学校には朝日が照らし何事もなかったかのように静かに過ぎていった。


灰色の世界。城に一瞬でついた。

「みんな…ご苦労…」

そうクロが言い切る前に、明楽から落ちていった。

「クロさま!」

慌てて兵士たちが走ってクロを受け止めた。

「すまん…力を使いすぎた…」

すると、明楽も弱々しい鳴き声を吐きながら倒れた。

「明楽ちゃん!」

明楽の目には、ウルフが走ってくる姿が見えた。

「ク…ロ…」

明楽は気を失ってしまった。

「まずい…朝日が…っ!」

クロは明楽を心配したが、驚く光景を皆が目の当たりにした。



…きら

「誰?私を呼んでいるのは…」

明楽は目を覚ますと、満天の夜空が目に入った。手を見ると、人間の姿だった。

「…ここ、夢で見た場所…」

広大な草原に明楽は寝かされていた。体を起こし、立ち上がった。

「明楽」

明楽は後ろを振り向いた。そこには三日月龍がいた。

「あなたは…もしかして…」

三日月龍は微笑んだ。

「我が娘。こんなに成長していたのね」

明楽は目に涙を浮かべた。

「お母さん…」

「明楽…」

明楽は三日月龍に抱きついた。三日月龍も明楽を片腕で優しく抱きしめた。

「お母さん…会いたかった…」

明楽は涙をこぼした。

「私もよ。私も、この手であなたとナイトを育てたかった…」

しばらくすると、ナイトが現れた。

「明楽…」

「ナイト!」

明楽はナイトにも抱きついた。

「ごめんな」

「ナイト。私もごめん」

お互いに謝っていた。

「シルビア。たくましく成長したな」

「そうね。ライト」

明楽は後ろを振り向くと、三日月龍と一緒に誰かが立っていた。

「あなたが…ライトさん?」

ライトは微笑んだ。

「そうだ。クロの叔父であり、君のお母さんシルビアのライダーになる予定だった人だ」

「ライト。それを堂々と言わないで」

シルビアは恥ずかしそうに言った。

「しょうがないだろ。それはさておき、明楽。君はこれからどうしたい?」

ライトは明楽に質問を投げた。

「どう言う事でしょう…」

「君は龍として生きたい?それとも、今まで通り人間として生きたい?」

明楽は驚いた。

「え…龍として生活できるのですか?」

ライトは腕を組んだ。

「あぁ。出来るぞ?」

「でも、なんでそんなこと…」

明楽は不思議に思った。

「君はクロとライダーの契約をした。三日月龍のライダーは君も本能でわかってると思うが、君たちはこれから歳をとることはない。その若さで永遠に生き続ける事になる。ただ、外傷や病気でどちらかが死ぬと相手も死ぬんだ。で、ライダーになった事で生き方を変えてみるって思ってな。これから長く生き続ける事になるから」

ライトは明楽を見つめると、明楽はもう答えが決まっていた。

「私は…今のまま人間としてクロの隣にいたいです」

明楽は笑顔で返した。その反応にライトは笑った。

「そう言うと思ったよ」

ライトは明楽に近づき、明楽の手を取った。

「明楽。クロを選んでくれてありがとうな。あいつは私の息子のような存在だ。これからも、あいつのそばに居てやってほしい」

明楽は頷いた。すると、明楽の体が輝き出した。

「お母さん…ナイト…」

明楽はシルビアとナイトを見た。

「明楽。お母さんはここであなたたちの活躍を見守ってるわ」

「明楽。もう会えないが、俺もお母さんとライトさんで見守ってるからな」

最後にライトに目線を合わせた。

「君と最後に話ができて嬉しかったよ。これから、困難が待ち受けるかもしれない。でも、君たちなら乗り越えれる。私はもう見守ることしかできないが、ここで君たちを応援するよ。明楽。あんな小さな赤ん坊だった君が、こんなに大きく成長してくれて、私はうれしいよ。ありがとう」

「ライトさん。私を助けてくれてありがとう」

明楽は光に包まれ消えていった。

「もう…会えないのね…」

シルビアはどこか寂しそうだった。

「いや。また、どこかで会えるよ」

ライトはシルビアを慰めた。

「そうね。それまで待ちましょ」

また静かな時間が過ぎていった。



…ら…

「…?」

…きら!

「…ロ?」

明楽はゆっくりと目を開けた。

「明楽…よかった…」

クロが抱きしめてきた。明楽は城の医務室にいた。窓を見ると、夕方になっていた。

「クロ…私…?」

「城に戻って倒れたんだ。それで、三日月龍のまま朝日を浴びたら明楽は居なくなると思ってたが、人間の姿に戻ってみんな驚いてたんだ」

「そうなの…」

疲れていたのか、あまり頭が回らなかった。

「クロ…みんなは大丈夫なの?」

「あぁ。俺もウルフも兵士たちもみんな無事だ」

「そうなんだ…よかった」

すると、ウルフが入ってきた。

「明楽ちゃん!目が覚めたのね…」

ウルフは感動のあまり、泣いていた。

「心配したのよ!もう!」

「ごめんなさい…」

「でも、帰って来てくれてよかったわ」

すると、クロが席を立った。

「明楽、ごめん。ちょっと用事を思い出したから、ウルフとここを離れるよ。何かあったらすぐ言って」

「うん」

クロはウルフを連れ、医務室を出た。明楽は二人を見送ると眠ってしまった。


「用意はできたか?」

「もうちょっとかかるわ。でも、夜にはできるわよ」

「わかった。準備出来次第呼んでくれ」

「わかったわ」

ウルフと別れクロは廊下を歩き、部屋に戻った。

「さて…」

椅子に座り、あるデザインを描いていた。

「絶対に似合うやつがいい」

何度も書き直し、納得がいくデザインを描いていたが、あっという間に夜になっていた。

「もうこんな…ウルフも来ないし。明楽の様子でも見にいくか」

そう言い、部屋を出た。



明楽は夢を見た。暗闇を一人で歩いていた。すると、目の前に誰かが現れた。

「…!」

よく見ると、レイが明楽の前に現れた。しかし唸りもせず、じっと明楽を見つめていた。明楽は警戒したが、レイは戦う意志がないのかその場に座り、翼を畳んだ。

「戦うつもりはない。俺には、もうそんな力はない」

明楽は警戒を解いた。

「なんで私の前に?」

「行く前に、話がしたかった。お前の母親の事と、お前に忠告と」

「お母さんの事?」

明楽は疑問に思った。レイはどこか気まずそうに話し出した。

「俺は…お前の母親に惚れてたんだ」

「え!?」

明楽は驚いた。

「三日月龍は差別がある一族だ。お前の母親は生贄の様な存在だった。いつも群れの後ろで距離をとって飛んでたんだ」

明楽はいつのまにか真剣に聞いていた。

「毎日見てた。あんなに美しい龍がなぜあんな差別を受けなければいけないのかって。それと同時に、欲望も芽生えた。それであいつを捕まえた。生贄的存在とお前の母親も言っていたから、俺はまだ子孫を残していなかったから、襲った」

「…」

「まさか産むとは思ってもなかった。でも、谷川が三日月龍を全滅させろとうるさくてあの晩全滅させた。正直、お前の母親を殺すのは惜しかった。そして、谷川はお前の力を欲しがった。俺の子は強い力を持つと思ってたからだ。だがお前は暴走。谷川はお前の力を無力化するために人間にした。そこへライトがお前を連れ去った」

「…」

「だがライトはお前に魔法をかけたみたいだな」

レイはため息を吐いた。

「魔法…?」

「お前の男が歌うあの歌だ。あの歌を俺が聞くと俺は何もできなくなってしまう。明楽を俺から守る魔法なんだろう」

「…どうりで、子守唄の様な、心が落ち着くって言えばいいのか」

明楽は何処か納得した。

「俺はもうお前を操る事もできない。だがな、お前は俺の子だ。俺以上に強力な力をお前は持っている。お前を狙う奴もいるだろう。それをお前に忠告したかった」

レイは冷静だった。すると、明楽は話した。

「レイ…いや、お父さん。私は、大丈夫。私が狙われても、助けてくれる人がいる。励ましてくれる人がいる。だから、お父さんは心配しなくていいよ」

「…」

レイは無言だった。

「私はお父さんを許せない。お母さんとナイトを殺したから。この先も恨むと思う」

「…」

「でも、お父さんも自由になりたかったんだよね?谷川からの汚れ仕事から抜け出したかったんだよね?」

するとレイは立ち上がった。

「俺はもう死んだ。自由だろうがなんだろうが関係ない。話は終わりだ。忠告した」

レイは背を向けた。

「明楽。俺以上に幸せに生きろ…」

レイはボソッと話した。

「お父さん…」

レイは暗闇を歩き出した。明楽は白い光に包まれた。


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