表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/50

37

「今日はここまで。みんな、気をつけて帰るんだぞ」

チャイムと共に、生徒は続々と帰っていった。

「工藤くん」

谷川が廊下に立っていた。工藤は生徒を見送り、谷川に近づいた。

「今日も君の生徒は元気ですな」

「はい。で、今日は?」

「実はな、レイが歪みの磁場を読み取れたと思うんだ」

工藤はわからなかった。

「どう言う事でしょうか」

「実は私にもわからないんだ。ただ、レイがあの時の歪みを見た途端気付いたそうだ。龍の特殊能力だと思う」

「ほう…」

「明日休みだろ?もう一度探しに行かないか?明日は日帰りだが」

工藤は少し考えた。

「確か、何もなかったと思います」

「ありがとう。明日はレイを自由に飛ばそうと思うだけだ。見つけたら見つけたらだが…」

谷川は廊下を歩いた。

「あの人も忙しい人だな。さて、最近動いてないからトレーニング行きますか。と、その前に…」

工藤は胸ポケットから容器を取り出した。蓋を開けると注射器があった。

「トレーニングする前にキメないとな…」

工藤は腕に注射を打った。

「あぁ…いい…」

工藤は学校を後にし、トレーニングセンターへ入った。工藤の目つきは異常だった。トレーニングマシンの重さをマックスにし、持ち上げた。

「まだだ…」

全てのマシンを終えると、地下へ歩いた。そこには、稽古場があり、複数人が稽古に励んでいた。

「誰だ?」

一人の男が工藤に話しかけた。

「とりあえず、全員かかってこい」

工藤は挑発した。すると、続々と男達が立ち上がった。

「今の俺は強いぜ…」

一斉に工藤に目掛けて襲いかかった。しかし、数分で工藤は全員を倒した。

「俺は短期で強くなれるタイプ。クロ…待ってろよ」

工藤はそう呟き、トレーニングセンターを後にした。


翌日、工藤は学校へ向かった。すると、上空にレイに乗った谷川が見えた。学校に到着し、谷川とレイの方へ歩いた。

「おはようございます」

「おはよう。昨日は派手に暴れたそうだな?」

谷川は工藤に注意した。

「すみません。ただ、あいつと戦闘になると思うと血が騒いじゃって…」

「まぁ、ほどほどにしてくださいよ。さて、行きましょうか」

谷川と工藤はレイに跨った。

「お前の勘が頼りだ。好きに飛べ」

「…チッ」

レイは嫌々飛んだ。

「今日は日帰りだ。レイが感じ取れなかったら、次回に持ち越しだ。ただ、今日見つけたら行こうと思っているんだ」

「ただ、帰りはどうするんですか?」

谷川はハッとした。

「あ…忘れてた…」

「でも、あの歪み自体発生後しばらく居続けるんですよね」

「じゃぁ、今回は見つけ次第タイムを測ってみましょう。突入は次回にしましょう。確実に三日月さんを捕獲し帰ってくるを目標にしましょう」

「そうですね」

レイはマイペースに飛んでいた。

「…感じない」

「焦らなくてもいい。不規則に出るものだ…」

すると、レイは何かを感じた。

「あん?」

レイは速度を上げた。

「工藤くん。しっかり捕まって」

「はい」

レイは一気に加速した。雲を抜けると、地上が霧で覆われていた。

「霧か…このまま上空を飛んでた方が…」

すると、飛んでいる目の前で歪みが現れた。

「あ…」

工藤はすぐにタイマーをスタートさせた。谷川は歪みを観察した。歪みは黒く渦を巻いていた。時折、何かの悲鳴が渦から聞こえた。

「空間の亀裂みたいな感じだな。恐ろしい…」

数分が経つと、歪みは消えていった。

「短いですね…」

「二分しか時間がないですね…」

「とりあえず今日が帰りましょう。レイ。よくやった」

レイはそのまま帰路の方向へ飛んだ。



深夜。明楽は眠れなかった。

「怖い…」

明楽は震えた。それに気づき、クロも起きた。

「大丈夫か?」

メガネをかけると、明楽は丸くなって震えていた。明楽の背中を優しく撫でた。

「クロ…ごめん。起こしてしまって。怖くて眠れない」

クロは明楽を優しく抱きしめ、頭を撫でた。

「大丈夫。俺がついているから」

「うん…」

しかし、明楽は眠れない。

「クロ…ごめん。温かい飲み物飲んでもいい?」

「もちろんだ。俺も喉が渇いていたから、一緒に飲もう」

明かりをつけ、明楽と一緒にキッチンへ向かった。

「ホットミルクがいいだろ?」

「うん」

鍋にミルクを入れ、温めた。

「今日はどうした?珍しいね」

「稽古で疲れているのに…」

「でも、そんな時もあるさ。気にするな」

マグカップにホットミルクを入れ、明楽に渡した。明楽は椅子に座り、ホットミルクを一口飲んだ。

「美味しい」

クロも明楽の横に座った。

「よかった」

明楽が落ち着いてることに、クロもホッとした。

「お父さん達が近づいてる感じがして…」

明楽は俯いた。クロは明楽の背中を撫でた。

「大丈夫だ。俺がいるからな」

「うん」

「寝れるか?」

クロの問いに、明楽は首を傾げた。

「うーん…」

「その様子だと眠れないだろ。よし。これ読むか」

そう言うと、クロはデスクへ向かった。そして、一冊のノートを取り出した。

「これ、読んでみるか?」

持ってきたノートは、アルバイトの日記だった。

「これ…この前言ってた、明楽さん?のところでバイトしてた日記?」

「そうだ。実は、明楽さん。この前夢に出てきてさ。久しぶりに読み返してたんだ」

明楽は日記をペラペラとめくったが、明楽さんが死ぬ手前のところに目を向けた。

「明楽さんって、クロが看取ったの?」

クロは少し悩んだ。

「看取ると言うんかな?うーん。言い方はわからないが、明楽さんがやりたかった事を叶えてたって言えばいいんかな?」

明楽は首を傾げた。

「どう言う事?」

「明楽さんは、苦しんで死にたくはないとおっしゃってたんです。でも、それを叔父さんに相談したら、それだけでいいか?となって、最後は明楽さんが喜んでくれるような事をして送りました。魔法は便利だが、とても怖かった」

クロは明楽の横に座った。

「もう瀕死状態だったから、明楽さんの魂に魔法で入り、いい思い出を作ってました。しかし、かなり強力で自分もあの世へ行くこともあるらしくて、おじさんの看守の元で送ったよ」

「そうだったんだ」

「と言っても思い出作りは一日していたと思ってたが、実際は一時間だけでさ。終わった後驚いたよ。明楽さんはもう冷たくなってたし」

クロは何処か寂しそうだった。

「明楽さんの事、好きだったの?」

明楽はクロに質問をした。それに対し、クロは悩んだ。

「好きと言うより、尊敬する人だな。だけど、今こうして守らないといけない人もできたし、明楽さんに言われたよ。もう一人の明楽をちゃんと守ってねって」

「そうだったんだ。クロって色々経験してるんだな…」

「まぁな。でも、あの時めちゃボロボロになっててさ。明楽さんを守るあまり戦闘に巻き込まれて怪我してさ。明楽さんを看取った次の日、大学の卒業式で大変だったよ」

「えぇ…」

明楽は引いていた。

「ほんと、あの時はしんどかった。で、卒業式から数日で戦争でまたボロボロ。あの時くらいだよ。死ぬほど追い込まれたの」

クロは大きくため息をついた。

「クロってさ、本当に優しいよね」

「そうか?」

「だって、日記読んでてさ。普通、好きでもない相手の介助とかスキンシップって難しくない?」

クロは少し悩んだ。

「普通はそうだろうな。だけど、その人が求めている事は基本答えたいが、俺のスタンス。それに、弱っていたら見離せない。だから、一度も明楽さんの事を恋愛対象で見た事はなかったな」

明楽はクロの事になんとなく理解した。

「優しい人だな…」

クロに寄りかかった。

「そろそろ眠くなったか?」

「うん。クロ。ありがとうね」

明楽の頭を撫でた。

「こっちこそ付き合ってくれてありがとうな」

二人はベットに入った。

「また、眠れなくなったら声変えていいぞ」

「うん。おやすみ」

「おやすみ。明楽」

二人は眠りについた。


いつも読んでいただきありがとうございます。

先日、サブで上げている『大学生クロの物語』を完結しました。

多くの人が読んでいる事にとても驚き感謝しています。

いいねや評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ