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朝日が明楽を照らした。
「明楽。おはよう」
朝食の準備をしていたクロが目に入った。
「おはよう…」
ゆっくりと起き上がった。
「足の傷はどうだ?」
明楽は足の傷を見た。
「もう、治ってるよ」
「早いな。さ、食べよう」
甘い香りが漂っていた。
「今日はフレンチトーストだよ」
メープルシロップがたっぷりかかっていた。
「おいしそー」
明楽はフォークとナイフで食べた。
「うま…」
「よかった」
クロは温かいお茶を飲んだ。
「明楽」
「何?」
「今日はウルフに稽古をお願いするよ。俺はちょっと調べたいことができたから」
クロもフレンチトーストを食べた。
「わかった」
朝食が終わると、ちょうどウルフが部屋に入ってきた。
「おはよ〜」
「おはようございます。ウルフさん」
ウルフは椅子に座った。
「ウルフ。明楽の稽古を頼む」
「了解」
食器を片付け、明楽は稽古の準備をした。
「怪我しない程度にな」
「うん。クロも用事終わらせてね」
明楽は稽古場へ歩いた。
「さて…行くか」
クロは指を鳴らすと、その場から消えた。
「ふぅ…」
クロはとある砂漠に着いた。少し風があるのか、砂が舞っていた。
「ここは…?」
すると、クロに目掛けてさっきのカラスが飛んできた。クロは手を出すと、カラスはその手に止まった。
「叔父さんのカラスは本当に優秀だな」
クロはカラスを撫でた。カラスはクロの耳元でクチバシを動かした。
「…なるほど。そうだったのか」
クロは辺りを見渡した。
「ここで、龍と共存して豊かになってた所だとは思えない…」
辺り一面砂漠。建物や木など一切ない。生物も見かけなかった。クロは歩いた。
「どの辺りに家があった?」
カラスに問うと、カラスはクロの耳元でクチバシを動かした。
「わかった」
数十分歩き、カラスが教えた場所のついた。だが、一面砂漠。ふと、足に何かが当たった。クロはその場でしゃがみ、砂を払った。
「これは…」
そこにはお店だろうか。看板があった。
「龍が居なくなると、こうも世界が変わるのか」
すると、カラスはまたクロの耳元でクチバシを動かした。
「まだあるのか。各地でこんなに荒れてしまうとは。いかに龍が大事な存在かわかるな」
すると、カラスはクロの肩から落ちていった。
「おい!」
カラスを抱き抱えた。よく見ると、カラスの毛艶が悪くボロボロだった。
「そっか。叔父さんが亡くなってもう時間が経ってるもんな。こんなボロボロになるまで見守っててくれてありがとう」
すると、カラスは最後の力を振り絞ってクロに伝えた。
ライトさんとクロさんに出会えてよかった…
すると、カラスは風と共に砂となって消えていった。
「ありがとう…」
クロはカラスを見送った。
「ウルフさんの鞭!難しい!」
「そうでしょ!」
ウルフの振るう鞭を明楽はなんとか避けていったが、攻撃ができない。
「隙あり!」
ウルフの攻撃を明楽は刀で受け止めた。稽古場に鞭の音が響いた。
「チィッ!」
「いいね…」
ウルフは明楽に目掛けて鞭を振るった。
「絶対に当たったら引き裂かれるやつ!」
明楽の顔目掛けて飛んできた。
「よく見て…」
そう自分に言い聞かせた。すると鞭を持っていない手から、何かを持とうとしている仕草を見つけた。
「させるか!」
紙一重で鞭を交わし、ウルフに近づいた。ウルフは鞭の持っていない手から粉を一握り持った。
「今夜は明楽ちゃんと一晩過ごすわ!」
粉を明楽に目掛けて投げた。そして鞭を振るうことで粉が舞った。
「トラップね…」
明楽は綺麗に舞った粉を避け、ウルフの前に来た。
「あら。やるじゃん」
明楽は刀をウルフに目掛けて突いた。
「いっけ!」
しかし、ウルフも鞭で明楽の刀を受け止めた。
「私の鞭を舐めてもらっては困るわ!」
激しい女のバトル。すると、クロが現れた。
「お前達。いつまでしてるんだ」
その声に明楽とウルフはクロの方を向いた。
「帰ってきたぞ。それに、もう夕方だぞ。飯にするぞ」
明楽とウルフは戦闘状態を解いた。
「はーい」
「私もお腹すいた。クロ何か作って」
二人は汗だくだった。
「わかったから。さっさと汗ながして来い」
クロは夕飯の支度をした。その間、明楽とウルフはシャワーを浴びた。
「だいぶ勘が鋭くなったわね」
「ありがとうございます」
髪を綺麗に洗い、体も洗った。
「気持ちいい…」
ふと明楽はウルフを見た。
「ウルフさんって、胸大きい…」
「いいでしょ!鳩胸と言いなさい。でも、明楽ちゃんも大きいわよ?」
「いや。ウルフさんより小さいですよ」
「まぁ、いずれ大きくなるわよ」
タオルで体を拭き、いつもの着物に着替えた。クロの部屋に入ると、夕食の準備が整っていた。
「ちょうどできた所だ。今日はクリームシチューだぞ」
明楽とウルフは席に着いた。
「冷めないうちに食べよう」
「いただきます」
明楽はスプーンで一口飲んだ。
「美味しい。優しい味だな…」
「よかった」
ウルフも一口飲んだ。
「稽古上がりのご飯は最高!」
そのまま三人は食事を楽しんだ。
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