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真夜中。明楽は夢を見た。

「やめて…」

暴行を受けている時だった。

「いい体だな…」

「もったいないよ」

複数の男達に激しい暴行で薄れていく意識の中叫んだ。

「やめて!」

明楽はそこで目が覚めた。呼吸も荒く、汗も酷かった。明楽は震えていた。明楽の声にクロも起きた。

「どうした?大丈夫か?」

「クロ…」

明楽は大声で泣いた。クロはそっと明楽を抱きしめた。

「怖い夢みたな。大丈夫」

明楽の頭を優しく撫でた。クロは明楽を落ち着かせるため、耳元で優しく歌を歌った。すると、明楽は落ち着きを取り戻し、震えが止まった。歌を歌い終え、明楽はしゃべった。

「あの時の暴行が…夢に出てきて…」

「怖かったな…ごめんな」

初めて明楽が悪夢でうなされた事に驚きつつ、明楽を守れなかった事で明楽に一生消えない傷を負わせた事に、謝ることしかできない自分に悔しかった。

「クロが謝ることはないよ。ごめんね。起こしてしまって」

「いや。こっちこそ守れなくてごめんな」

明楽を横に寝かせ、布団を掛けてあげた。

「横にいるから、安心していいぞ」

「ここにきて初めてかな。こんな悪夢にうなされるの…」

「安心して過ごしてる時に、奴らが明楽を狙いに本格的になってるからな。緊張が出たのかな」

クロは明楽の頭を撫でた。

「おやすみ。クロ」

「おやすみ。明楽」

明楽は深い眠りについた。


目を覚ますと、もう朝になっていた。メガネをかけ、明楽を見た。

「よく寝ているな」

優しく明楽の頭を撫でた。ゆっくり起き上がり、着替え席に着いた。

「どうしようかな…」

今日の予定について悩んだ。考えるのをやめ、手甲鉤を取り出した。

「手入れでもするか…って、刃がボロボロだな」

最近稽古でもぶつかり合う事が多いのか、かなり刃にダメージがあった。丁寧に研いで行き、磨き上げた。すると、明楽が起きた。

「クロ…?」

「お、起きたか。おはよう」

「おはよう」

「調子は大丈夫か?」

「うん」

明楽は目を擦っていた。

「今日の予定だが、稽古はお休みにしよう。その代わり、武器の手入れに当てようと思う」

明楽は軽く頷き、着替え、朝食の準備をした。クロがキッチンに来た。

「今日は何作るの?」

クロの問いに明楽は答えた。

「目玉焼きかな。パン焼く?ご飯にする?」

「ご飯もいいな。俺は米を洗うから、明楽は卵よろしく」

「うん」

二人で作る事で早く終わった。

「いただきます」

明楽は暖かいご飯を口に運んだ。

「美味しい」

「よかった」

夜中の事もあったのか、明楽は疲れているように見えた。

「クロ…ありがとう。今日は、どうしても稽古をお休みしたい気分だった」

「そんな時もあるさ。体調が良くても、調子が上がらない時もある。二人で武器の手入れしよう。警護は兵士がいる。大丈夫だ」

「うん」

「それにさ、遠慮しなくていい。負けず嫌いはわかるが、調子が乗らない時に稽古してもいい動きが出来るとは限らない。怪我するリスクも上がる。全然言ってくれていいよ」

「ありがとう」

明楽は安心していた。食器を片付け、明楽は刀を出した。

「二本とも、ボロボロ…」

「まぁ、最近ぶつかってたし。俺の手甲鉤もボロボロだったよ。いいメンテナンス日和だ」

砥石をもらい、明楽は刀を研いだ。

「クロー。おはよう」

ウルフが入ってきた。

「おはよう。どうした?」

「ウルフさん。おはようございます」

「明楽ちゃん。おはよう」

ウルフはクロに近づいた。

「暇だったから来た。珍しいね。武器のメンテナンス」

「ぶつかり合ってたんだ。俺の手甲鉤もボロボロだった」

「そういえば…前の手甲鉤どこやったの?」

ウルフの問いに明楽が声をかけた。

「クロの武器ってそういえば、その手甲鉤しか見た事ないですね」

クロは手甲鉤を見せた。刃が黒く、手の甲の部分には返しがついていた。

「これが、今使ってる手甲鉤だが」

クロは立ち上がった。明楽は研いだ手を止め、ウルフと一緒にクロについていった。部屋の奥に武器庫があった。そこの鍵を開けると、ナイフなどが収められていた。その中に一つだけ手甲鉤があった。シンプルな作りで、シルバーの刃に返しがついていなかった。

「これが初期に使ってた。あの戦争の後、今のを作った。これには世話になったが…」

所々欠けており、メリケン部分もすり減っていた。

「ワイヤーを引っ掛ける返しが欲しくて。今のを作った」

「接近戦得意ならさ。ナイフの斬り合いも得意んじゃない?」

ウルフの問いにクロは微妙な表情をした。

「ナイフ…最近触ってもない…」

「え…」

「だって、これだったらはめるだけでいいし。ナイフだと落とす事もあるだろ?弾き返された時に」

「でも…一回クロとガチでナイフの斬り合いやってみたいかも…」

明楽がモジモジと答えた。

「別に構わないが。勝負したいなら、いつでもいいぞ」

「じゃぁ、明日やりたい」

「いいぞ」

クロは武器庫に鍵をかけた。

「さて、武器の手入れの続きをするか」

「あー私も鞭に油入れないとな。自分の部屋でやるわ。じゃーね」

ウルフは部屋をでていった。


いつも読んでいただきありがとうございます。

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