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「なんですって!」

「それと、工藤って男が隣にいました」

「あいつ…」

クロは怒りに満ち溢れていた。

「研究所の資料を置いてきたんです。ここへ逃げるために。だから、奴らがここへ来るのも時間の問題かと思います。まぁ、解読に時間もかかると思うし、我々も今日初めて来れたので…」

「あいつらが本気を出せば、ここなんてすぐ見つかると思います。参ったな…」

「ただ、今日明日に来るわけではないと思います。すみません。異世界の研究について、取材されてしまったばかりに、こんなことになるとは…」

鈴鹿は悔やんでいた。

「考えても仕方がない。とりあえず、鈴鹿さん達はこれからどうしたいですか?」

「この世へ戻って、海外へしばらく避難しようと思います。もちろん、成田を連れて」

鈴鹿は成田を見た。

「わかりました。今日はもう遅いので泊まってってください。あなたの龍も疲れてると思うので」

「ありがとうございます。突然来て申し訳ないです」

クロは兵士を呼び、鈴鹿達に部屋を用意した。

「明日の朝、この世に戻ります」

「わかりました。今日はゆっくり休んでください」

クロは部屋に戻った。

「どうだった?」

明楽とウルフが心配そうに駆け寄った。

「大丈夫だ。敵ではない」

「そう…あ、夕飯作ったよ。ウルフさんと一緒に」

「ありがとう。今食べるよ」

クロは椅子に座った。

「どうなの?」

クロはテーブルに置いてあった夕飯を見た。

「大丈夫だ。今日はカレーか。いただきます」

クロはカレーを食べた。

「腹減ってたんだ。ありがとう」

「よかった」

明楽はクロの横に座った。

「で、あの人達何者なの?」

ウルフも椅子に座った。

「研究者らしい。それと、叔父さんのことも知っていた」

「え…」

ウルフと明楽は驚いた。

「話を聞く限り、敵ではない事は確か。だが、灰色の世界への行き方を奴らが知ってしまったかもしれん。時間の問題だ」

「どう言うことよ!」

ウルフは怒った。

「本当に敵じゃないの!?」

「あぁ。敵じゃない。異世界について研究してる人だ。それで、あいつらが情報を掴んで脅しにきたそうだ。なんとか逃れたが、研究資料を放棄して逃げてきたから、奴らが奪ってる可能性もある。ただ、ここへ来れたのが研究して初めてだと言っていた」

「灰色の世界とこの世の世界って行き来が難しいんですか?」

明楽は疑問に思った。

「あぁ。俺は、叔父さんが作ったルートで行き来しているだけだ。今はそれが無くならないように大切に使っているだけだ。自分での行き来も独自に勉強している」

「私はもう死んでるしー」

「そもそも、生きている人間がここに来ること自体がおかしいことだし」

クロはカレーを食べ終えた。

「で、今日はあの二人と龍はここに泊まる。明日の朝、この世へ戻って海外へ避難するそうだ」

「そうなの」

「明楽は会わなくていい。悪い人ではない事はわかっているが、万が一の事だ。俺の部屋にいな」

「わかった。でも、龍見たかったな」

クロはお茶を飲んだ。

「龍は相当疲れてるそうだ。今日はゆっくり休ませて明日に備える。大丈夫だ。怪我もなさそうだし」

「よかった」

明楽は食器を片付けた。

「ありがとう。ちょっと図書室に行くよ」

クロは部屋を出て行った。

「明楽ちゃん。手伝うよ?」

「ありがとうございます」

ウルフは食器を拭いていた。

「ちょっと不安になりますね…」

「大丈夫。明楽ちゃんは、私とクロで守るから。拐われても絶対に救出しに行く」

「ありがとう」

片付け終わり、ウルフは部屋へ戻った。明楽はシャワーを浴び、着替えた。

「クロ…まだ来ないのかな」

明楽は部屋の明かりを消し、ベットに横になった。


「これに頼ってばかりだな」

広い図書室でクロは本を探していた。開いてみると、手書きで全て書かれていた。

「叔父さん」

「クロ…」

明楽が図書室に入ってきた。

「どうした?」

「もう夜遅いよ?」

明楽はクロの所に来た。

「ごめんな。ちょうどよかった。一緒に読むか?」

図書室の椅子にクロと明楽は座った。

「この本のおかげで、俺はこの世と灰色の世界を行き来できてるようなもんだ」

「そうなの?」

「この本は、叔父さんの手作りだ」

本を開いた。そこには、複雑な呪文や手書きでアドバイス等が書かれていた。

「この本を覚えるのに大変だった。小学の時から覚えるようにと叔父さんから教えられてな。この城に叔父さんはペイントを付けてくれた。そして、この呪文が暗号みたいな役割となり、行き来が可能になる」

「難しそう…」

「一度覚えてしまえば、自由に行き来ができる。だが、ここは影と隣り合わせな世界…」

明楽はふと思い出した。

「クロ…影と戦ってみたい」

クロは驚いた。

「ん!?やってもいいが、もう寝るんじゃないのか?まぁ、付き合ってもいいぞ?」

「え!いいの?」

「体疲れてないか?大丈夫?」

「むしろ燃えてきたんだが…」

クロは呆れていた。

「はぁ…しょうがない。ただし、無理と分かったら助け出す」

「わかった」

明楽は着替え、刀手に取った。クロと一緒に外に出て、門の前に来た。

「いいか。ここから一歩出たら影が襲ってくる。油断は禁物だ。無理だったら直ぐに言え。言いな」

「はい!」

明楽は髪を高く縛り、気合を入れ一歩踏み出した。月の光が灰色の世界を照らした。一面灰色。

「…」

明楽は刀を構えた。すると、明楽の影から何かが出てきた。

「!?」

明楽は刀を影に刺したが、何も起こらない。すると背後から気配を感じた。

「うっ!」

影が明楽を攻撃してきたが、紙一重で明楽は交わした。影は黒く人型になっていた。

「なるほど」

するとその影が分裂し、二体になった。

「あぁ、めんどくさい」

明楽は刀で攻撃したが、影の動きが早く捉えることが出来なかった。

「チッ…」

明楽は影の攻撃を避けつつ攻撃を仕掛けた。影が隙を作った瞬間、明楽は影を刺した。が、影はそのまま刀に纏わりついた。

「え…」

明楽は刀を抜こうにも抜けなかった。

「チッ…」

明楽は刀を離し少し距離をあけたが、別の影が明楽を襲いかかった。

「っ!」

明楽はなんとか交わしたが、明楽の影から手が伸び足を掴まれた。

「なに!」

すると、明楽の刀を持った影が明楽にめがけて駆け出した。明楽はナイフで攻撃を受けた。

「負けてたまるか…」

明楽はナイフで影を弾き飛ばし、足を掴んでいた影を蹴飛ばした。

「私の刀を返せ!」

明楽は殺気をまとい、影に襲いかかった。影は明楽の刀で受けていたが、明楽のスピードが早くなるにつれ、追いつけなくなった。その隙に明楽はナイフで影の腕を切り落とした。すると、影は地面に吸収されて行った。

「明楽。そこまでだ」

クロが明楽にシールドをかけてあげた。

「帰るぞ」

「うん」

門をくぐると、クロはシールドを解除した。

「大丈夫か?」

大量の汗が真剣に戦っていたことを表していた。

「大丈夫。シャワー浴びるから…」

「一緒に風呂入るか?」

明楽はドキッとした。

「えっ…」

「体洗ってやるよ。疲れただろ?風呂上がりに髪の毛も手入れするぞ」

明楽は顔を真っ赤にした。

「は…恥ずかしい…」

「でも…俺ら。関係持ってるじゃん?恥ずかしいはないと思うが」

クロは明楽を部屋へ連れて行き、浴槽にお湯を入れた。

「嫌なら一人づつでもいいぞ」

明楽は俯きながら首を横に振った。

「一緒に入りたい…」

「わかった。早く服を脱ぎな。汗で体が冷えるよ」

明楽は服を脱いでいった。

「明楽は綺麗だな」

クロも横で服を脱いでいった。体を洗い、浴槽に入った。

「いい湯だな」

「眠くなっちゃいそう…」

「おいおい。寝るなよ」

クロは考えていた。

「明楽」

「何?」

「明楽は、この戦いが終わったらどうしたい?」

明楽は首を傾けた。

「どう言うこと?」

「今の気持ちでいい。気持ちなんてコロコロ変わるから。この戦いが終わったら、また洞窟に戻るか?それとも、俺とこの城で暮らすか」

「私は、クロと一緒にいたい。ずっとそばにいたい」

明楽はクロの手を繋いだ。

「ありがとう。一応聞いてみただけだ。さて、頭洗うか。一度、明楽の頭洗ってみたかったが…」

「いいよ?私も、人に洗ってもらうの初めてだけど」

「よし。じゃぁ、洗うぞ」

クロは丁寧に明楽の頭を洗ってあげた。

「気持ちいい…」

「よかった」

明楽はまた浴槽に入り、体を温めていた。でも、疲れていたのかウトウトしていた。クロはサッと頭を洗い、明楽を起こした。

「溺れるから出るぞ」

「う…うん」

体を拭き、着替えた。

「もう眠い…」

「今日はよく頑張ったよ。影にあそこまでできるのはすごいよ」

「えへへ」

明楽の髪をブラシし、明楽をベットへ連れて行った。

「クロ。おやすみなさい」

「俺も寝るよ。ゆっくり休んでな」

クロも明楽の横で体を休めた。


いつも読んでいただきありがとうございます。

仕事が忙しいため、投稿が遅れたり文字数が少なくなってしまいますが

頑張っていきたいと思います。

誤字脱字の指摘等あればよろしくお願いします。

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