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「工藤くん」

始業式が終わり、生徒を帰らせた所を呼び止めた。

「校長先生。この前ラジオで…」

「一緒についてきて欲しいところがある」

「わかりました。車は私が出しますよ?」

「それは助かります」

工藤は支度をし、車に谷川を乗せて走り出した。

「何処へ…」

「少し遠い。この前雑誌に書いてあったんだ。異世界への移動を研究してる人の所へだ。アポは取ってある」

「あ、俺もこの前ラジオで聴きました」

「何か手掛かりがあるといいのですが…」

谷川の案内で目的の建物についた。広大な草原にポツンと建物が建っていた。

「ここですね…」

チャイムを鳴らした。

“はい…”

「連絡した谷川です」

すると、扉が開いた。

「いらっしゃいませ。ここの研究所の所長の鈴鹿と申します。どうぞ…」

鈴鹿と名乗る男が谷川を通した。

「あの…そちらは」

「失礼。部下の工藤です」

「わかりました。どうぞ」

部屋に案内し、席に座るように促した。

「君たちは、何処へ行きたいんですか?」

鈴鹿は部下にコーヒーを持ってくるように促した。

「単刀直入に言います。あなたは、この世とあの世の境目の世界の存在を知っていますか?」

鈴鹿は驚いた。

「どうしてそれを…それはライト先生が見つけた場所だぞ。なぜ君たちが知っている。まさか、あんたは!」

すると工藤が鈴鹿を壁に押し付けた。

「ぐぅ…」

「俺らはただそこへ行きたいだけなのです」

「お前ら…龍を…」

すると、騒ぎを聞きつけた部下が応戦に来た。

「私たちは争いたくないのです。大人しくしてほしい。鈴鹿さん」

谷川は落ち着いた口調で話した。

「誰がおしえるか!この、殺人者が!」

谷川はため息をついた。

「はぁ…残念です」

谷川は鈴鹿に手を向けた。部下はそれを防ごうと、谷川に飛び込んだ。

「君は部外者だ!」

すると、部下は谷川の手から放たれ力で飛ばされた。

「ライラ!」

鈴鹿がそう叫ぶと、地響きがした。

「あなたは、ライダーなのですね」

すると、雄叫びが響いた。窓には濃い藍色の龍が目に入った。

「はぁ…めんどくさいですね」

工藤は鈴鹿を解放し、距離を取った。鈴鹿はその場に倒れた。

「許さない…」

低い声が響いた。藍色の龍は爪を剥き出し、谷川たちがいる部屋に爪を刺した。

「ぐぅ…」

割れたガラスが入らないように目を覆ってる隙に、鈴鹿は爪にしがみついた。

「飛べ!」

藍色の龍は大きな翼を広げて飛んでいった。

「やられましたね」

谷川は残念そうにしていた。

「でも、部下がいるんじゃ…」

工藤が部下をみたが、いなかった。

「チッ…」

「でも、この建物にヒントがあると思うので、全て持ち帰りましょう」

そう言うと、谷川はあらゆる資料や本を魔法で消していった。

「もう逃げましょう」

そう言うと、工藤は車を準備した。

「とりあえず、高校に戻りましょう」

谷川を乗せ、車を出した。



灰色の世界で雷が鳴った。

「なに!?」

クロは驚いた。

「今のって…」

ウルフも驚き、窓をみた。すると、兵士が声を上げた。

「藍色の龍がこっちへ近づいてきてます!」

太陽をみると、もう沈みかけていた。

「藍色…とりあえず通せ。ウルフと明楽はここにいろ」

クロは急いで外へ走り出した。

「一体何が?」

明楽は不安になった。

「大丈夫よ…」

ウルフは明楽のそばにいた。


兵士たちが門を開けた。

「早くしろ!闇が襲ってくる!」

藍色の龍は速度を上げた。龍に乗っている男は必死にしがみついていた。

「状況は」

クロが門に来た。

「もうすぐこちらへ来ます」

見るともう目の前に来ていた。龍は速度をギリギリのところで急停止し、門を潜った。

「門を閉めろ!」

兵士が一斉に門を閉めた。龍は緊張が抜けたのか、少しふらついた。龍にしがみついていた男がゆっくりと降りた。よく見ると、龍の尻尾にも男が捕まっていた。

「助けてください…」

二人の男はフラフラだった。

「あなた方は…」

クロは男達に声をかけた。

「私は鈴鹿です。こっちは部下の成田です。そして、この龍はライラ。私のライダーです」

「なぜこの世界へ…」

しかし急いで逃げてきたのか、男達は呼吸が荒かった。

「すみません…本当に、追われてきたので…」

すると、龍が倒れてしまった。

「ライラ!」

龍は疲れたのか、眠ってしまった。

「大丈夫です。私の兵士が見ていますので。とりあえず、中へ入ってください」

「助かります」

クロは二人を城の応接室へ通した。

「大丈夫ですか?」

「お気遣いありがとうございます」

クロは二人にお茶を差し出した。

「で、なぜこの世界に来たんですか?場合によっては、生きて帰れないと思いますが…」

クロは武器を持参していた。

「そうですよね。ここは普通の人間が来る世界じゃないですもんね」

鈴鹿はお茶を飲んだ。部下の成田は疲弊していたのか、横になってしまった。

「かまいません。むしろ、休ませてあげてください」

「申し訳ありません」

鈴鹿はため息をついた。

「私は、異世界へいく研究をしているのです。例えば、もう一つの同じ世界とかに行くにはとか」

「ほう…」

クロもお茶を飲んだ。

「実は異世界に興味を持ったのは、ライト先生がきっかけなのです」

「叔父さんが?」

鈴鹿はふと思い出した。

「あぁ、どうりで。あなた、ライト先生の甥っ子さんですか?確か、クロと聞いていたんですが」

クロは驚いた。

「なぜ、俺を…」

「ライト先生がよく言っていたんです。賢い甥っ子がいるって」

「そうだったんですか…」

「私は、ライト先生を尊敬しているんです。ライダーなのでいじめられてて、ライラと苦しんでいました。そんな時に、ライト先生と出会って人生が変わりました。あの戦争は、実は私は知らなかったんです。ライト先生は犠牲を減らしたいがために、私みたいに研究者などを参加させていなかったのです。ライト先生の死を聞いて、思いっきり泣きました」

「叔父さんが…そんなことしていたんだ…」

クロはライトの行動に驚いていた。

「それで、私がこの異世界の研究をしたきっかけが、ライト先生がこの世界へ迷い込んだことを本人から聞いた事で研究をしていたんです。ただ今回、ここへ来れたのは初めてだったんです」

「どうやってここへ?」

クロは鈴鹿を見つめた。

「自分も正直奇跡だと思っています。長年研究しててやっと辿り着いた感じなので。ただ、死を恐怖する瞬間に立ち会うことがあると、自分が魔法とかかけてないのに空間が若干歪む所を目にしました」

「ほう…」

「何が原因でそうなっているのかはわかりません。ただ、昔からデータをとっているんですが、所々に空間の歪みが出る事が発見されたんです。私達は多分、その中に入ってここへ来れたんだと思います」

「俺はここに来れるのは、叔父さんが俺にって道を作ってくれたからです。子供の頃でした。ただ、俺以外をこの世界に連れて来るには、俺がいないとダメなのです」

「そうなんですか…」

すると、成田が起き上がった。

「申し訳ありません…」

「いやいいんだ。君はよく頑張った」

成田はお茶を一口飲んだ。

「ところで、誰に追われてきたんですか?」

クロの問いに、鈴鹿は俯いた。

「あの戦争の首謀者。谷川です」

クロは驚いた。


いつも読んでいただきありがとうございます。

アクセス数が伸びている事に、喜んでいます。

これからもよろしくお願いします。


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