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クロは夢を見ていた。大学一年の頃の夢だった。

「龍とは危険な存在!」

廊下を歩いていると、授業中の教室から声が聞こえた。

「人を襲い危害を加える!ましてやライダーなんて一般市民を…」

すると、ライトがクロの方に向かってきた。

「クロ。探してたぞ」

「叔父さん。あの方は…」

ライトは寂しそうな表情で授業を見ていた。

「あぁ、我々の考えを否定しておる先生じゃ。さ、こっちへ来なさい」

ライトの後を追った。ライトは自分の教授室に入った。

「普段は生徒の立ち入りは禁止だが、君だけはアポさえ取ればいつでも来ていいぞ」

「ありがとうございます」

クロは椅子に座った。叔父さんの教授室はクロにとって憧れだった。龍の模型や本などがたくさん置いてあった。

「クロ」

ライトはクロにお茶を渡した。

「まさか、封印学部に行くとは思ってもなかったよ」

ライトも椅子に座り、お茶を飲んだ。

「俺…あの子の事が気になってるんです。もし俺にも何かできる事があればって。それにこの大学は、他の学部の授業も受ける事ができるので、叔父さんの授業も行きますし、医療系も勉強しようと思っています」

「クロは本当に勉強が得意だよな。あと、あの子は私が主体で見守っている。だから、無理をすることはない」

クロはお茶を一口飲んだ。

「わかってます。基本は大学優先しますよ。社会勉強もしたいので、四年生になったら短期のバイトもしてみたいと思ってます」

「うむ。いい心構えだ。クロ…」

「はい?」

ライトは立ち上がり、クロの肩に手を置いた。

「君が立派に育った事に、私は誇りを思うよ。これからも、頑張ってな」

「はい!」

クロは元気に返事をした。


目を開けると、あたりがぼやけて見えた。

「もう朝か…」

メガネをかけ横を見ると、明楽がいなかった。

「明楽?」

すると、奥の方で何かを焼く音がした。ベットから出て、音のする方に向かった。

「おはよう。クロ」

明楽はフライパンで何かを焼いていた。

「おはよう。昨日はごめんな。あと、楽しかったぞ」

「気絶したように眠ってたよ?大丈夫?」

明楽は皿に焼いた何かを乗せた。

「あぁ、大丈夫。ところで…これは?」

クロは不思議そうに見た。

「ん?お肉にかぶりつきたいなって思って、チキンステーキ作ってた」

 朝から…重い…。

クロは心で思った。

「この前丸鳥食べたばかりだが。どれどれ…」

クロはフォークとナイフで食べた。

「柔らか…丸鳥の時と違う…」

明楽も座り、ステーキを食べた。

「うまぁ…」

幸せそうに食べていた。

「明楽って、料理うまいな」

「クロには敵わないよ。でも、クロと料理するのも楽しくて好き」

「よかった…そういえば…」

「なに?」

「俺らの距離さ、縮んでるよな」

クロが顔を真っ赤にした。

「え…」

明楽も顔が真っ赤になった。

「最近さ。もう恋人関係みたいだなって。この部屋にきてから、何処にでもいる同棲カップルだよな…」

「う…うん。それに…ね?」

明楽はもじもじと答えた。

「あぁ…でも、俺さ。面と向かって明楽に言ってないな。明楽の力の一部をもらって、明楽と楽しい時間を過ごしてるのに、明楽の事が好きって言葉を言ってないなって…多分」

明楽は首を傾げた。

「そう?クロの行動が好きを表してると思うよ。私は、クロのことが好きだから、あなたに力の一部をあげた。人間を好きになったのがクロとウルフさんがきっかけだけど…人を愛するって思ったのはクロだけだよ…」

少し沈黙になった。

「私は、クロが好きだよ。ライダーとしても、恋人としても」

「俺も、明楽が好きだ。人間の姿も、三日月龍の姿も大好きだ」

明楽は笑顔になった。

「私達、朝から何言ってるんよ」

「ほんとそうだな…ごめんな」

「ううん。クロ。これからもよろしくね」

クロも笑顔になった。

「俺のほうこそ、よろしくな」

「さて、片付けて城へ戻るんでしょ?」

「そうだった。忘れてたよ。明楽。またこの部屋に来ような」

「うん!」

二人は片付けと身支度を済ませ、玄関を出た。

「ルナの馬装を頼むよ」

「うん」

明楽は手際良く馬装を整えた。

「それじゃ、帰ろうか」

「うん」

二人を乗せ、ルナは走り出した。


「あ、見えた。おかえりー」

ウルフが城の入り口で待っていた。

「ただいま戻りました」

「ごめんね。休みだったのに」

ウルフはルナの手綱を持った。二人が降りると兵士が現れ、ルナを連れて行った。

「いえいえ。とてもリフレッシュできました」

「ウルフ。何があったんだ?」

「大したことじゃないんだけど、実は…とりあえず部屋にきて」

三人は城へ入って行った。

「この本が出てきたんだ…図書室から」

ウルフは古い本をクロに渡した。埃が被っており、はらってあげると三日月龍と書かれていた。

「これ…叔父さんの本じゃない」

クロは席に座り、本を開いた。

「叔父さんが作った本は手作りだが、これも手作りだ…でも、字が違う。誰が書いたんだ?」

「三日月龍を研究してた人が、過去にいるってことよね?」

明楽はよくわからなかった。

「あの…三日月龍って、昔から居るってのは聞いたことあるんですが、なんで研究?生態?が不明なことが多いんですか?私が言うのもアレですが…」

「うーんどういえばいいかな…」

クロは頭を掻いた。

「龍自体を研究する事が少ないんだ。理由はわからないが、凶暴性と危険性があるからだと思う。ライダーなら、自分の龍を研究できるが…やりたくないだろ。自分の龍を実験体にするなんてあんまり考えない。ましてや、何かがあったらお互いに死ぬ事にもなる。他の龍のライダーとしての契約はその種族によって違うが、三日月龍はどっちかが死ぬと相手も死ぬから、明楽を実験体にはしたくはない」

「そうなんだ…」

「でも、この三日月龍についての本は…誰が書いたんだ?」

クロは隅々までみると、古い文字があった。

「ルーマス…」

「クロの先祖?」

「上は読めないが、ルーマスは読める」

クロはペラペラと本をめくった。

「書いてある内容は、叔父さんと変わらないが…ビクター?」

「ん?」

明楽とウルフは覗き見した。

「このルーマスさん。オスの三日月龍のライダーにはなってないが、仲を共にしたと書いてある。三日月龍の名前がビクター」

「へー」

「三日月龍って、結構難しいのかな…私が言うのもアレですが」

クロは本を閉じた。

「明楽は人間として生きているから、三日月龍の群れとしての生き方を学んでないから仕方がない」

「でも、なんでこんな本が図書室に?この城建てたの、ライトさんだし…」

「たまたまおじさんが見つけて、ここに保管してたんだろう」

クロは本を引き出しにしまった。

「もう遅い。夕飯にしよう」

「そうだね」

「明楽。手伝ってくれるか?」

「うん!」

二人で夕飯を作るった。ウルフはそんな二人を後ろから見ていた。

「もう…二人ったら。いいコンビね」

ウルフは優しく二人を見ていた。


「せっかくの休み、本当にごめんね」

ウルフは夕飯中に明楽とクロに謝った。

「別にいいですよ。クロとの時間を過ごせれたし」

「ウルフは何してたんだ?」

ウルフはニヤッと笑った。

「趣味…よ?ウフッ」

悪魔のような怖い笑みだった。

「で、二人は何してたの?イチャイチャしてたの?」

明楽とクロは顔を赤くした。

「なんで黙るのよー。あんた達顔真っ赤よ。何してたのー」

ウルフが詰め寄ってきた。

「アハハ…」

「ウルフ。飯早く食え」

クロは黙々とご飯を食べた。

「えー。聞かせてよー」

「ウルフさん。クロから実は…」

「なになに?」

「鞍作ってもらったんです。クロ。ウルフさんに見せてあげて」

「あぁ。それならいいぞ」

そう言うと、クロは明楽の鞍を出した。

「意外と大きいわね。でも、明楽ちゃんがそれだけ成長した証だね」

「乗り心地も最高だったよ」

「え!乗ったの!?」

ウルフは驚いた。

「ウルフさんにも、今度乗せますよ。いつもお世話になってるし、感謝しているので」

「明楽ちゃん…あんなにちっちゃかったのに。もうこんなに立派になって…」

ウルフは感動していた。

「私さ、生きている時に感謝なんてされた事なかったわ。明楽ちゃん。ありがとう」

ウルフは明楽を抱きしめた。

「ウルフさん…私のほうこそ、ありがとうございます」

女子二人が抱き合ってる横で、クロは優しく見守った。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。

現在頑張って書いている『大学生クロの物語』も読んでいただけると光栄です。

なかなか投稿できなく申し訳ありません。

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