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真夜中。レイはハッと目が覚めた。何かが起こったと思った。でも、よくわからなかった。体を起こし、大きな翼を広げた。庭を歩き、飲み水の池で喉を潤した。

「あいつ…こんな綺麗な月の下でも、一人で飛んでいたな」

レイは月を見て、懐かしそうにしていた。すると、風が吹いてきた。

「もうすぐ冬か…」

レイは寝床へ歩き、丸くなった。



夢を見た。

「またここに来たのか…」

満点の夜空の下を明楽は歩いた。どのくらい歩いただろう。向こうにまた人影が見えた。

「今度こそ…」

明楽は走り、人影の所へ近づいた。すると、明楽の方を向いた。

「大きくなったな…」

男の声が聞こえた。

「え…?」

明楽は男を見た。白髪のメガネの人。どことなくクロに似ていた。

「あなたは…」

男は優しい表情で明楽を見た。すると、男の背後から銀色の大きい翼が出てきた。

「っ…!」

そして、三日月が入った大きな顔を出し、サファイアの様に輝く瞳で明楽を見た。

「明楽。クロをよろしくな」

男は背を向けた

「待って!あなたは…」

男は立ち止まり、明楽の方に振り向いた。

「私は、ライトだ」

そう言うと、光に包まれた。


「う…うん…」

明楽は目を覚ました。陽の光が眩しい。

「クロ…?」

すると、遠くから音楽が流れていた。それと同時に、人ではない足音が外から聞こえた。明楽はベットから出て、玄関を開けた。

「おはようございます…」

明楽がそう言うと、ルナに乗っていたクロがルナを止めた。

「起きたか。おはよう」

「何やってるんですか?」

「馬場馬術の練習だ。たまには昔の大会を思い出して、動かしてみたいと思って」

クロはルナの首を愛撫した。

「見てみたいな」

「いいぞ?ルナ。頑張れるか?」

その声に、ルナは鼻を鳴らした。

「よし。じゃぁ、定位置に着くから、着いたらそこのレコーダーに針を入れて欲しい」

明楽はレコーダーの方に行った。ルナは定位置に到着した。

「じゃぁ、音楽鳴らしてくれ」

明楽は針を落とした。すると、音楽に合わせてルナはクロの指示の元、軽やかな足捌きをした。

「馬って、こんな動きするの!?」

明楽は驚いた。数分の出来事だが、曲がゆっくりになればそれに合わせた足取りで動く。激しくなると、力強い動きになる。人馬一体集中して演技をした。

「ふぅ。よくやった」

また愛撫をした。

「すごい…」

クロがルナから降り、馬具を外した。

「馬も、悪くはないだろ?」

馬具から解放されたルナは、砂浴びをし、またどこかへ走り去った。

「いつもの事だ。朝食にしよう」

馬具を片付け、クロは朝食の準備をした。

「手伝えることある?」

「じゃ、食器の準備頼むよ」

明楽はサラとコップを並べ、箸とフォークも準備した。

「今日は簡単だがいいか?」

「うん。充分」

クロは皿に目玉焼きとベーコンを乗せた。明楽はコップにお茶を入れ、パンを出した。

「食べようか」

「いただきます」

明楽はパンを食べた。

「そういえば明楽。今日クリスマスイブなんだ」

クロがお茶を飲んだ。

「なんですか?イベントですか?」

「知らないのか?」

「うん…」

クロは少し驚いたが、簡単に説明した。

「まぁ、俺も詳しくは知らないが。木をデコレーションしたり、丸鳥やケーキなどみんなで食べる行事だ。で、みんなでプレゼント交換なんかもして、とても楽しいんだぞ」

「へー」

「よかったら、ケーキ一緒に作るか?」

「いいの?」

「もちろん。得意分野だ」

朝食を済ませ、食器を片付けた。

「よし。じゃぁ、明楽は何味食べたい?」

「何味って?」

クロは一瞬何言ってるんだ?と思った。

「あぁ…じゃぁ、俺がチョイスするよ」

そう言うと、果物を出してきた。

「ベリーとかオレンジなどあるが」

「全部食べれるから大丈夫」

「わかった」

それらを食べやすいサイズにカットしていった。

「明楽。生地作るから、粉をふるってほしい」

「なんで?」

「粉がダマになって混ざらないんだ。だからふるっておく事で、ダマ防止にもなるし、混ざりやすくなるんだ」

粉の分量を測り、ふるいにかけた。卵と牛乳も測り、粉と混ぜていった。型に生地を流し込み、オーブンに入れた。

「その間に、クリーム作るぞ。明楽は生クリームを泡立ててくれ」

そう言うと、ボウルに生クリームを入れ、泡立て機を明楽にわたした。

「頑張って!」

明楽は必死に泡立てた。

「クロ…ケーキ作るのって大変なんだね」

「そうだよ?」

なんとか泡立てた。明楽はヘロヘロだった。

「おつかれ」

「クロって、すごいね。なんでもできるじゃん」

明楽は椅子に座った。

「ガキの頃からしてたからなー」

泡立てたクリームを冷蔵庫に入れた。クロは切った果物の一部を片手で絞った。

「え…そうするの…」

「洗い物増やしたくない」

氷をコップにいれ、絞った果汁を入れ、明楽に渡した。

「酸っぱい!」

かなりの酸っぱさに、明楽は目を見開いた。

「そうか?それだけ新鮮ってことじゃ…」

「まだ果物が若いんじゃ」

そうしているうちに、ケーキが焼き上がった。クロが取り出し、冷ました。

「いい匂い」

「冷ましてあげないと、クリームがダメになってしまうんだ」

「そうなんだ」

「だから、ケーキはほぼ一日作業になるんだ」

クロはベットに向かった。

「ちょっと休むわ。朝からルナに乗ってたから」

クロはベットに横になった。明楽も横に座った。

「どうした?」

「いや。一人でいるのが寂しかったから」

「ふーん」

クロは起き上がり、明楽の横に座った。

「明楽って、寂しがり屋だよな」

「うん。一人っきりになったの、ナイトが死んだあの晩と、治療中の時だけだったな。夜もそのくらい。こっちにきてクロと一緒に寝てたけど、クロのご両親との戦いでクロが怪我したじゃん?あの時、久々に一人で寝てたけど、眠れたけど寂しかったな」

「ごめんな」

明楽の頭を撫でた。

「あ、そういえば」

明楽は思い出した様に言った。

「ライトさんに会った。夢で」

「え!?」

クロは驚いた。

「でも、クロをよろしくなってだけ言っていました」

「そうか…」

「ライトさんの背後に、多分ですが私と一緒の三日月龍いたんです」

「それは多分。明楽のお母さん、シルビアだと思う。叔父さん、シルビアと一緒に居るんだ…よかった」

クロはどこか安堵していた。

「そろそろ粗熱取れた頃かな?明楽。冷蔵庫に入れてくれないか?」

明楽はケーキ生地の粗熱を確認し、冷蔵庫に入れた。

「だいぶ冷めてたよ」

「ありがとう」

明楽はクロの横に座った。クロは明楽を優しく抱きしめた。

「怖いなら無理にしない。お互いがいい思い出になる様な時間にしたい」

明楽はクロの方に向き、クロを抱きしめた。

「私…醜い体だよ?」

クロは一瞬不思議がった。明楽をベットに寝かせた。

「明楽は美しいよ」

クロと明楽は熱いキスをした。クロは片手で明楽の着物を少しずつ脱がした。すると、胸にあの赤黒い痣があった。

「この痣、目立つよね…ナイトと最後の朝に出来てたの」

明楽は悲しそうに言った。

「そうだったのか。明楽を治療した時に見たんだけど、大きくもなってないし、形も変わっていない。それに、この痣は明楽のお父さん、レイの証だからなくなることはまずない」

明楽は驚いたが、納得もしていた。

「だからあの時…」

「でも、俺は気にしない。俺なんて、背中に大きな傷跡が残っている。それに、痣があるからって醜いって思わないよ。逆に、明楽の体が美しい」

明楽の首筋にキスをした。

「明楽。綺麗だ。俺を選んでくれて、ありがとう」

明楽の耳元で囁いた。

「クロ。私の体、あなたに預けるわ」

明楽はクロをぎゅっと抱きしめた。

「明楽。この時間を幸せにしてやるよ」

明楽はクロのエスコートで幸せに満ちた時間をすごした。


昨日、THE ALFEEのライブがあり行ってきました。

とても盛り上がってハイテンションでしたが、わからない曲もあり、まだまだ勉強不足だなと思いました。

さて、馬場馬術のシーンですが、THE ALFEEの曲『Nervous Breakdown』『Nouvelle Vague』

『組曲:時の方舟』などをイメージしていました。ほかにも、こんな曲も合うんじゃないかな?思うことがあればコメントよろしくお願いします。

寒くなってきました。体調管理に気をつけてください。

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