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あれから数日が経った

「クロ…」

「何?」

「クロって、ライダーに興味ある?」

明楽の問いに、クロは少し驚いた。

「どうした?そりゃ、興味があるよ。いつか、一緒に過ごしてみたいは思うよ」

「うん。じゃぁ…」

明楽が言おうとしたその時、ウルフが勢いよく部屋に入ってきた。

「クロ大変!数羽のカラスと連絡が取れなくなったの!」

クロは驚いた。

「なんだと!」

「今、カラスに緊急退避を出したんだけど…帰ってきたカラスたちが言うには、無差別にカラスを処分してる複数の男がいるそうよ」

クロは急いでカラスの様子を見に行った。城の外にカラス達の小屋があり、複数のカラスが休憩をしていたが、中には火傷を負ったカラスがいた。

「ひどい…」

火傷をしているカラスをクロは抱き上げた。

「よく帰ってきた。偉いぞ」

すると、カラスはクロになにか言いたい顔をしていた。クロはカラスを耳に近づけた。

「…うん。わかった。ありがとう」

「クロ。何があったの?」

心配そうに明楽はクロに尋ねた。

「どうやら、この世で無差別にカラスを火炎放射器で焼き払ってるそうだ」

明楽は驚いた。

「なんで…何にもしてないのに」

「クロ。とりあえずカラス達の治療は私がやるわ」

ウルフは複数の兵士を連れてきて、治療の準備をしていた。

「頼む。明楽。力を貸してくれ。だが、危険を感じたら逃げろ」

「わかった…でも、どうやって行くの?」

クロはカラスをウルフに渡した。

「とりあえず、準備をしよう」

クロと明楽は武器を準備した。

「じゃぁ、俺の肩に手を置いて」

明楽はクロの肩に手を置いた。

「行くぞ」

クロは指を鳴らした。



「人間の肉を食った可能性がある。俺らに攻撃するかもだ。焼き払え」

工藤は複数の男を雇い、野生のカラスを焼き払っていた。

「でも、複数すぎます。それに、山火事になりませんか?」

火炎放射器や、魔法でカラスと同時に木々も燃やしていった。

「大丈夫だろ。俺は、学校の仕事が残っている。この責任は俺が持つから、あと頼んだよ」

工藤はその場を去って行った。

「高額報酬というが、俺たちだけでやれって言うのかよ…」

「まぁ、夜だけだし。朝には誰かが鎮火してるんだろう」

黙々と作業をしていた。


工藤は車を運転していた。もうすぐ家に着くところだった。すると、電話がなった。路肩に止め、電話に出た。

“工藤くん。どう言うことかね”

谷川からだった。

「何がですか?」

“とぼけないでください。森を燃やすは私は支持していません”

「いえ…あの現場にカラスの羽がありました。カラスが人間の肉を捕食した可能性があったので、我々を襲うと思うと、先に先手を打ちました。私の独断です」

谷川は深いため息をついた。

“やりすぎです。今すぐ止めてください!”

「…わかりました。申し訳ありません」

工藤は電話を切った。

「チッ…まぁ、いいか」

工藤は走ってきた道を引き返した。



「ついた…」

クロと明楽は森に着いたのだが。

「なにこれ…」

木々が炎に包まれていた。

「明楽。離れるなよ。カラスが言ってた男達、この近くに居そうだ」

クロと明楽は炎に向かって走った。

「酷い…」

すると、複数の男が炎を出しているのが見えた。

「明楽。あいつらだ」

明楽も確認をとれた。

「六人が横一列で作業してる感じだな。明楽は手前から襲え。俺は奥から襲う。殺しても構わない」

「分かった」

二手に分かれ、同時にスタートと切った。

「なんだ!」

男達は気づいたが手遅れだった。

「森を、なんだと思ってる!」

明楽は二本の刀で男達を切って行った。

「そろそろ、燃やすの辞めようか」

クロも手甲鉤で男たちを切り、一人を生かし縛った。

「明楽。よくやった。さて…」

手甲鉤で男を脅した。

「誰の指示だ」

男は涙と汗でグチャグチャだった。

「工藤という男から、高額の報酬で雇われただけです!」

「狙いは?」

「詳しくはわかりません。人間の肉を食べたカラスは人を襲うとか言っていました」

「よく言ったな」

クロは男を瞬時に殺した。

「クロ…この火事どうする」

「もう百メートル近くは燃えてるな。山奥すぎて、街まで気づかったのが幸いだ」

警報音などが響かなかったのはそのせいだった。

「クロ。この火事、私が止める」

明楽はクロに言った。

「どうするんだ?」

すると明楽は月に祈った。今夜は月が欠けていた。

「月よ…」

すると明楽の体が青く輝き、三日月龍へと変わった。

「…っ!」

クロは驚いていた。明楽はジャンプし空を舞った。明楽は体を回転させ、風を舞い炎を舞い込んだ。森の炎が明楽へ吸い込まれ、全てを吸い込むと、明楽は翼を勢いよく広げた。すると、炎は小さな火の粉となり、森へ落ちる前に消えていった。

「すごい…」

明楽はクロの前で着地した。翼をたたみ、顔をクロに近づけた。

「明楽…ありがとう」

「どういたしまして」

「喋れるのか!?」

「喋れるよ?」

クロは明楽の額を撫でた。

「美しいよ」

明楽は力を抜くと、また青い光が明楽を包み人間へと戻って行った。

「どういたしまして」

「さて…帰ろう…」

クロが言いかけた途端、明楽の雰囲気が変わった。

「やめて…」


ここに居たのか…明楽!


明楽の中で何かが叫ぶと、明楽はその場で叫んだ。

「やめて!」

「明楽。大丈夫か?」

すると、明楽の目が赤く変わった。

「俺の明楽を…許さない!」

声は明楽だが、誰かが明楽を操っており、クロに向けて刀を突き出した。

「…お前は、レイだな」

クロは手甲鉤をはめた。

「俺を分かってるとは…お前は何者だ?」

「俺は、明楽を守ってるだけだ」

「ふーん。だったら…」

レイは刀を明楽の首に当てた。

「これはどうだ?ここから、明楽を守れるか?」

レイはクロを睨んだ。しかし、クロは落ち着いていた。

「そんなことしても、お前は明楽を殺せない。お前は明楽の力を欲しいだけだ。殺したら何もなくなるじゃないか」

レイは笑った。

「あぁ。こいつの力は欲しい。俺以上の力を持ってるからな」

またレイは刀をクロに向けた。

「じゃぁ、一回喧嘩しようじゃないか…な…」

刀を持っている手が震え出した。

「明楽…俺に歯向かうな…」

刀を落としてしまった。

「明楽…てめぇ…」

明楽が言うことを聞かないことに、レイは怒っていた。

「明楽…もがいてるんだろ?少しでも力になりたい」

クロは歌った。

「あん?」

レイは睨んだが、明楽から徐々に離れて行くことに気づいた。

「てめぇ…」

しかし、レイは何もできず、明楽から離れて行った。

「…クロ」

明楽はクロの歌う歌に懐かしさを感じた。歌が終わると明楽はフラついた。倒れるところをクロは抱き抱えた。

「明楽。大丈夫か?」

「うん…」

「よし。帰ろう」

すると、後ろから光が照らされた。

「…許さない」

クロは光の方を睨み、指を鳴らし、暗闇へ消えて行った。


「火事になってないだと?」

工藤は車から降りた。

「あいつら…トンズラしたな」

そう言うとまた車に乗り、自宅へと走って行った。


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