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朝方。クロは目を覚ました。メガネをかけ、窓を見ると一羽のカラスがいた。窓を開けカラスを中に入れた。カラスはクロの耳元でクチバシを動かした。

「なんだと…わかった」

そのままリビングへ行き、カラスにおやつを与え外に逃した。

「明楽。起きろ」

明楽を揺さぶり起こした。

「どうしたんですか…?」

「急遽城に帰ることになった。支度するぞ」

「何かあったんですか?」

「あぁ。移動中に説明する」

外に出ると、あの黒馬がいた。クロは急いで馬装を整え、明楽を乗せ自分も乗った。

「動くぞ」

明楽は鞍にしがみつき、クロは馬を走らせた。

「クロ。どう言うこと?」

「ウルフから連絡で、この灰色の世界に誰かが入ってきたらしい」

「え?でもなんでわかるの?」

「まぁ、色々あるんだ。だが…この世界。そう簡単に生きて帰れる世界ではないんだが」

「どう言うこと?」

「明楽も時期にわかる。とりあえず、急いで城に向かうぞ」

黒馬はスピードを上げた。

城へ着くと、入り口にウルフが待っていた。

「クロー。明楽ちゃーん」

兵士に黒馬を託し、クロはウルフから情報を聞いた。

「どう言うことだ」

「クロ達がいた所よりも遠いけど、二人組が入ってきたの。で、カラスの監視で後数時間でここに着くらしい…」

「ここの場所をわかってるやつか…まさか…」

明楽が声をかけた。

「あの…何がどうなってるんですか?」

ウルフが答えた。

「この灰色の世界に二人組が入ったの。ちなみに、なぜ入ったのわかったかって言うと、雷が鳴るのよ。一回鳴ると一人て感じで。ただ、城から離れると雷がわからないの。だからクロに連絡入れたのよ」

「そうだったんだ」

「できたら、夜まで来ないでほしい…」

クロはそう呟いた。

「夜?」

「この灰色の世界が、化け物になる」

明楽はわからなかった。

「兵士に警戒しろと伝えてくれ。それと明楽。武器を準備してくれ。ウルフも武器を」

「はーい。明楽ちゃん。武器取りに行こ?」

「はい」

ウルフはクロの部屋へ明楽を連れて行き、明楽の刀二本を返した。

「ウルフさんは、何使うんですか?」

「私?私のお供は…」

腰から取り出したのは、長い鞭だった。

「この鞭、痛いのよ。細かい刃がついてるから皮が裂けるし、締め付けたら食い込むのよ。もう…苦しんでる敵を想像しただけで…」

「あ…はは…」

「でも、明楽ちゃんは私たちが守るからね!大丈夫よ。ただ、自分の身に危険があるなら全然攻撃して」

ウルフは真剣な表情で言った。

「ウルフさん。わかりました」

「よし。それじゃ、敵の進行状況確認しようか」

するとクロが部屋に入ってきた。ため息を吐きながら、椅子に座った。

「クロ…どうしたの?」

「予想が的中したかもしれん…」

ウルフもどこか納得していた。

「私もそう思った。でもさ、どう言うつもりで来たんだろうね」

「一つしかないだろ」

クロは明楽を見つめた。

「明楽を連れて行きたいんだろう。この世の世界で明楽の情報が回ってるそうだ。さっき、カラスから連絡きた。明楽に懸賞がかけられてるそうだ。ほんと、明楽をなんだと思ってるんやら」

「私…何もしてないのに。私の力を欲しいがために…」

「腹立つよな。他人を当てにせず、自分らでやれって話だよな」

クロも怒っていた。

「だが、俺とウルフがメインで戦う。明楽は後ろで待機だ」

「わかった」


夕日であたりがオレンジ色に染まった。城の鐘が鳴った。

「敵がみえたぞ!」

一人の兵士が叫んだ。

双眼鏡を見ると、確かに二人組が確認できた。

「やはりか…」

クロは確信した。

「知ってるの?」

明楽はクロに問いかけた。

「俺の親だからな…」

明楽は驚いた。

「相変わらず、悪趣味ね。まじ怒」

ウルフも呆れてた。

城の入り口の門を閉め、クロとウルフが立ちはだかった。明楽は後ろで待機。

「オヒサシブリネ。クロ」

色白の女が片言で喋った。

「私達は、三日月さんを奪いにきた」

日本顔の男がそう言った。

「はぁ…父さんも母さんも何を言うと思ったら…」

「明楽ちゃんは絶対に渡さないし、ライトさんを…よくも殺してくれたわね」

ウルフが怒りで震えていた。

「アンタハ、タニンデショ!ライトハシンデトウゼン。オカネノムダ」

「権力がある方についた方が後々楽じゃないか。今、三日月さんを連れて行けば、我々の評価も上がる。死ぬまで豊かだ」

クロの親は武器を手に取った。クロとウルフも武器を取った。

「ウルフ。俺は父さんをやる」

「女同士の方が、こっちも楽よ」

すると、クロの母が先に先手をウルフにうった。

「アンタハ、キモイノヨ!」

短剣を振り回したが、ウルフは華麗に避けた。

「私は、ライトさんの助手をしていただけよ!アンタみたいにお金取ってもない。自分の兄弟を殺すなんてもってのほかよ!」

ウルフは腰から鞭を取り出し、クロの母に振るった。

「コレクライノコウゲキ、ハジケレルワヨ!」

短剣で弾いって言った。ウルフとクロの母は、女同士の壮絶な争いをしてる中、クロとクロの父がぶつかっていた。

「そんなに親の意見が聞けないのか!」

クロの父が持つ剣と、クロの手甲鉤が激しくぶつかった。

「親の意見?ふざけるな!一方的に押し付けだろうが!」

何度もぶつかり合い、火花が飛び散った。

「三日月さんをこちらに寄越せば、貴様らは殺さん」

「明楽を、なんだと思ってるんだ!」

そこから互いに斬り合いになった。血が飛び、削れていった。

「まだまだだな」

「あぁ、俺はまだ修行が足りないは自覚してる。でもな!」

クロはクロの父の腹を斬った。

「俺はみんなを守るために、強くなったんだ!」

「ぐっ…」

一方ウルフとクロの母も激しく攻防していた。

「キニクワナイワネ」

「それは、こっちのセリフよ!」

クロの母が太ももから数本のナイフをウルフに投げた。ウルフはそれをかわしたが。

「スキアリヨ!」

ウルフの胸を裂こうとしたが、ウルフはなんとか避けた。

「コレガネライナノ…」

クロの母は腰から鎖を取り出し、明楽にめがけて発射した。

「しまった!」

ウルフが気づくも、体勢が悪い。明楽もそれに気づき、二本の刀を抜き鎖をなぎはらった。

「っ…」

鎖はバラバラに破壊されたその時。

「もう一本あるぞ…」

クロの隙をつき、クロの父が明楽にめがけて鎖を発射した。

「させるか!」

クロは電光石火の如く、明楽の方へ行き、鎖を切り裂いた。

「大丈夫か」

「ありがとう…」

すると、クロに衝撃が走った。

「ぐっ…」

クロの父がいつのまにかナイフを投げていたのだった。

「隙ありすぎる。ほんと、つまらん息子だ」

血で服が赤くなっていった。

「クソ…でも、これくらい」

手甲鉤を突き立てた。

「これくらいで、倒れるわけないだろ!」

クロが叫んだ。すると、空気が一変した。

「なんだ…?」

「何?」

クロとウルフは顔を見つめた。同時にクロの両親も互いに顔を見つめた。

「ナニガ?」

すると、風の如く明楽がクロの母の懐に入った。

「エ…」

声が出る前に、明楽はクロの母を切り裂いた。クロの母は、声もあげず倒れた。

「次はあなた…」

明楽は人が変わったようにクロの父に刀を向けた。

「かかってくるがいい。お前を動けなくしてから、あの方に譲るんだ…」

だが、もう明楽は動いていた。一瞬で懐に入った。

「うるさい…」

クロの父はなんとか剣で明楽の刀を止めた。

「ぐぅ!」

だが力が違った。

「へし折ってやる」

明楽は二本の刀で剣をへし折った。

「なんだと!」

クロの父は距離を取ろうと、バックステップしたが。

「私の大事な人たちを傷つける奴は、許さない!」

明楽はクロの父を切り裂いた。

「クソが…」

クロの父も倒れた。明楽はクロの父の心臓にトドメを刺そうとした。

「待て!」

クロが叫ぶと、明楽は刀を下ろした。ウルフの肩を借り、クロはクロの父の方に近づいた。

「父さん。明楽を誰の所へ連れて行く予定だったんだ」

クロの父は息が絶えそうだった。

「お前も知ってるだろ。あの戦争の首謀者だ。だが…あのお方は、ここの存在をあまり知ってないと思う。俺らが三日月さんを連れてくる電話をしても、あまり相手にしてなかったからな…」

クロの父はクロの母の方を向いた。

「あいつは、昔からライトが気に入らなかったんだ。親の意見に反対し一人で成功を収めてたのを見てたからな。嫌がらせから始まり、憎しみに変わっただけだ。だから、お前にも強く当たった。でも…お前も、ライトの方に行った。死ぬ間際ながら、これで良かったと思うよ」

クロの父はため息を吐いた。

「俺は…妻に加担しただけの存在だ…クロ…じゃあな」

そう言い残すと、クロの父は息を引き取った。

「…すまん。何も言えない」

「もうすぐ夜だから、すぐ城へ行こう。明楽ちゃん。ちょっと手を貸して」

「…うん」

明楽はウルフの指示のもと、クロに手を貸した。


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