はぁはぁ
現場をちらっと横目で見た拍子に、
ハルヒと目が合ったのがいけなかったのかもしれん。
「ちょっと、陰キャくん!今ヒマ?暇そーだけど、助けてくれない?私、藤島くんにしつこく絡まれて困ってるの!」
「俺の名前だけど、インキャじゃないし...」
「ごめんごめん!西野ユーヤくんだよね?
助けてほしい!!」
「ははっ、馬鹿だなぁ、ハルヒ。おまえ、
こんな弱そうなチビに助けを求めてどーするよ?ヒョロヒョロじゃねぇか!!
どーせ、助けを求めるんなら、もっと強そうな奴にしろよ?こいつはただの帰宅部!
柔道部とかに言えよって話な!」
ハルヒの奴をよくよく見ると泣きそうだった。
俺は肩掛け鞄を地面に置き、言った。
「仕方ねぇな...」
「藤島、その汚い手を離せよ。
彼女、嫌がってるだろ...?」
「んだと、てめぇ...!!」
降りかかる右拳がこの俺に当たることはなかった。
ひょいひょいと避けて差し上げた。
軽いフットワークで。
「はぁはぁ...なんでだよ、なんで、1発もあたらねぇんだよ...ちくしょう...っ」
俺、悪いけど脚力は未だに健在だから。
「ん、それな、俺の方がおまえよか強いから?」