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誰の番?

 じゅうう...。


 肉の溶ける音が聞こえる度に私は耳を塞ぎました。


 匂いは慣れて来ましたが、この音が今度はトラウマになってきていたのです。


 肉の溶ける音に激臭、そしてこの光景。


 それらを構成する全てが気持ち悪くてならない。


 この人が溶けたら次の人が入ってきます...。


 じゅうぅぅ...。


 その人が溶けたらまた次の人...。


 じゅうぅぅ...。


 3車両目の一番手前側は安全なようなので、私はそこで体育座りをしたまま震えました。


 歯をガチガチと鳴らしながら私はただ溶けて行く人達を見つめる事しかできません...。


(怖い...、怖い...、いつ私の番が来るのか分からない...!)


 そう...、この列車に乗ってしまった時点で私の命運は尽きていたのでしょう...。


 これだけ人の肉を溶かしている謎の液体を見ていると、何となくここがこの列車の胃袋なのだろう気がついてしまったのでした...。


 詰まる所、この液体は胃酸であり、()()()()()()()()()にしているのだと思わずには入られません...。


 そう言う考えがより大きく増量し、私の心理状況を悪化させていった事は明確でした...。


 しばらくすると私の目の前をリュミアが通りすぎるのを確認しました。


「リュミア!?」


 私の体は彼女を見るとすぐ様動く。


「ダメっ!!」


 私が彼女の前に立ち抑えますが、すごい力で私を押し出す彼女。


「ひひっ...」


 ラリった人間のようにただその言葉を呟くだけの彼女には理性のかけらも感じられません。


 そのまま徐々に押し出されてしまい、ついにあのシャワーの所に入ってしまうのでした。


 ジュッ...。


「ッ!!!」


 前の人が浴びて飛び散った液体にちょっと触れるだけで焼ける様な痛みが靴を通し私の足裏に届く...。


(痛い!!)


 そう思っても私はこの場を離れる訳には行きません。


「リュミア!!、ここから先に行ったらダメ!!!」


「...ひひ...」


(やっぱり通じてない!!)


「ぐぅ...!」


 シャワーの瀬戸際で耐える私でしたが、やはり力負けしてしまい、確実に胃酸に近づいていました。


 そして、少しだけ背中に胃酸が付着した瞬間!。


 私がこれまで経験したどの激痛よりも深く大きいい衝撃が脳に直接信号として送られたのです。


 その後の事はお分かりですね?。


 私は進みゆく友を放りだし、自分だけが助かる道を選択しました。


「嫌だ!!、死にたくない!!」


 友の命と自分の命。


 天秤にかけるまでもありません。


 特に仲がいいわけでもない友達を助ける義理なんて無いのです。


 少し離れた所まで行くと、後ろを向いて確認しました。


 彼女は奇声をあげながらも、何処か嬉しそうな表情のまま胃酸のシャワーを全身に浴び続け、ついに肉が溶け出したので見ていられません。


(ごめんなさい...)


 私は必死に目を瞑り、先程の安全地帯でただ時間が過ぎるのを待つだけなのでした。









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