紅い列車
紅い列車の中は意外にも普通で、私達以外にも数人の人達が存在していました。
「リュミア、ねぇ聞いてるの!?」
私がちょっと大きめの声で叫んでも、彼女はただ笑うだけで何も言い返してきません。
「ひひ...」
明らかにおかしい態度で笑い続ける彼女に、私は恐怖を覚えました。
(リュミアおかしくなってる...、ここは私が何とかしないと!)
私は意を決して探索を始めます。
この車両には私と彼女しかいないので次の車両へと向かいました。
(ちょっとだけ待っててね...)
おかしくなってしまった彼女を置いて行くのは心苦しいですけど、まずは散策をしないといけない気がします。
〜2車両目〜
ウィ〜ン...。
2車両目のドアの前に立つと自動でドアが開きました。
...、チラッ。
少しだけ顔を出して2車両目を眺めて見ると、そこにはリュミアと同じような状態になっている人達がいます。
「あの...、大丈夫ですか?」
「...、ひひ...」
同じような声を出した後はただ笑う彼女達を見ていると、何とも言えない気持ちになってしまう。
誰に話掛けて見ても同じような感じだったので腹をくくるしかありません。
(ダメね...、だったらもう直接列車を止める様、車掌さんに頼むしか...)
私は眼前に続く一本道を歩いて行く事にしました。
〜3車両目〜
その車両に入った瞬間、この世の物とは思えぬ激臭が鼻を刺しました。
「うぐっ!?」
思わず鼻を手で押さえていると、目の前には半分溶けかかっている女性がいたので驚きの声を上げる私。
「きゃぁぁぁぁ!!!」
今まで人の死体などゲームや漫画の中でしか見たことが無かった私にとっては、あまりもショッキング過ぎる光景に、叫び声が車内に響き渡る。
溶け掛けている...と言うのはも自撮りの意味で、女性の半身が溶けて骨になっているのでした。
異常な物を見た影響で心に深刻なダメージを負う私。
この刺激臭は恐らくこの人が溶けて発生した匂いなのでしょう。
そう思うと鳥肌が立ちました。
ゾクッと背筋が凍りつき、次は私の番なのではないかと思ったからです。
「ひっ...!」
私は思わず立ちすくみそこから動けなかったのですが、次の人が3車両目に入って来たのを見て絶句しました。
目の前で溶けている人がいるというのに、彼女はそんな事気にも止めないような動きで奥に進んで行ったのですから...。
そしてその彼女が3車両目の奥に進むと、天井から黄色い液体がチョロチョロと落ちてきたので、それをシャワーを浴びるかのように体へとつけ始めたのでした。
すると...。
じゅわぁぁ...、という肉の溶ける音と共にその人が溶け始め、あの激臭を周りに散布し始めたので堪りません。
「うぇ...」
私はその場で吐いてしまい、そのまま動けなくなってしまうのでした...。