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チケット
彼はその後しばらくの間、寝ている園田を横目に2杯目のビールを飲んでいた。
天井付近に取り付けられたテレビは日付が変わる前の今日一日のニュースを流していた。お年寄りから金を巻き上げたとして詐欺グループのリーダーが逮捕されていた。動物園ではパンダの赤ちゃんが生まれ、公募でカタカナの名前が付けられていた。
「藤本」と声を掛けられて彼が中田さんの方を見ると、中田さんは何かのチケットを手にしていた。
「これ、やるよ。」
彼が受け取って見てみると、それは野球のチケットだった。神宮球場で行われるナイターのヤクルト―阪神戦で、日付は1週間後だった。
「いいんですか、もらって?」と彼は中田さんを見上げて聞いた。
中田さんは東京育ちなのに熱狂的な阪神ファンで、チケットが手に入った時には店を閉めてまで応援に行くような人だった。
「その日ちょっと外せない用事が入ったもんだから。俺からのボーナスってことで。」と言って中田さんは笑った。
「あ、じゃあありがたく頂きます。」と言って彼はその2枚のチケットを眺めた。
でも俺野球良く分かんないんだよなあ、と彼は心の中で呟いた。




