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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

大人の貴方と大人未満の私達

作者: 猫又二丁目

どうも、猫又です!この作品は連載作品の合間に、ひと休憩するための自己満小説ですが、読んでいただくと、嬉しいです!

※最後、終わり方が、微妙な感じなので、イラッとする方がいれば、申し訳ございません。


夏風ご飯だよ〜!

1階のキッチンから母親の声がする。

ベッドの上からその音を恨めしそうに聞くのは私、

島津しまず 夏風なつか。大学一年生、19歳だ。

「...ん...んん...分かったぁ...!」

髪の毛をグシャグシャにして、まだ寝足りない身体を重そうに起こす。物凄くだるい...。

「...そ...いえば...今日大学...授業とってた...ん...だ。」

頭が上下にガクンガクンとしながらも、必死に起きようとするが、やはり眠気が勝ってしまい、そのままベッドに倒れ込んだ。

まぁ致し方ない。昨日は夜中の4時まで酔った先輩の馬鹿馬鹿しい話に付き合っていた。

「...きょ...ぉ...は...ん...。」

確か今日は...2時間目から小野先生の講義が...

2時間目...2時間目...。

ガバッ!

勢いよくベッドから身体を起こす。


「2時間目!?今何時だ!?」


時計をみると針が指すのは9:51分。

やばいやばいやばいやばい!!!あと50分ぐらいしかないじゃん!今から急いで用意して家を出るのが10:05位なら電車の乗り合わせに着くまでの残り時間はあと9分!いややばいし電車乗れないし!


「あぁぁぁぁいそげぇぇぇ!!」


バタバタと家中を走り回って母親が大声で抗議の声を送っているのだがそんなことを気にしてる場合では無い。リュックに筆記用具その他をいれ、靴を履く。


「ったく...!あんたは朝から落ち着きが無いったら無い!もう少し静かにすればいいのに...はぁ。」

そう言って母は私を玄関まで見送ってくれる。

「しょーがないでしょ!ミスったら遅刻なんだもん!行ってきます!」

そう言って私は寒い外に飛び出た。


「はぁ...はぁ...はぁ...残り時間...1ぷ...ん...良かった...間に合った...!」

息を荒らし膝に手を当てて息を整える。

「ほんっとーに馬鹿だなお前!」

そう言ってゲラゲラと笑うこいつは中園なかぞの 千歳ちとせ。大学の同級生で、荒っぽい性格と笑った時の可愛さのギャップが好きだ、と男にまぁまぁモテる...が、性格に難アリなので付き合っても直ぐに別れる。まぁ性格に難アリと言っても女子力が大量に欠乏しているだけで、女にはフツーに好かれてる。だから性格...というのはおかしいかもしれない。

外見はプリン頭のツインテールで真ん丸の目、確かに顔は可愛い...というか幼い。童顔...というやつだ。

それに比べ私は、真っ黒の髪をポニーテールでくくり、いつも眉間にシワを寄せてるから一部の喋った事がある子しか近付こうとはしない。

「...はぁ...しんど...!」

「んなに急いで来ないといけないほどの講義じゃねーじゃん!私のノート後で写したら良かったのに!ぎゃはははっ!」

女子力の欠乏は現在進行形みたいだ。

「...ふざけてんの?あんたのぐっしゃぐしゃのノート見て写せるやつなんていないでしょ...!第一全然要点写せてないし!」

前に見せてもらったノートは、酷い有様だった。ガタガタの小学生のような字に、ちょろっと2行くらいの文章。(文章と呼べるのかも不思議なものだったが...。)二度と見たくないノートだった。

「んっは!んな怒るなよぉ〜!」

千歳が抱き着いてくる。

第一私は講義だけならここまで急がない。この講義は...小野先生がでるから...。

チラリと教卓の方を見る。小野 美羽(おの みはね)()は黒髪のショートボブに少しつった目。寡黙な口から出てくる声は息を呑むくらいに透き通っている。

私はそんな彼女に一目惚れというやつをした。ちょうど7ヶ月まえ、高校三年生の私は大学の下見に来た時、彼女に出会った。ここの大学には桜が多く立ち並んでいるところがある。たくさんの大学の関係者が歩く中に、一際目立った綺麗な歩き方をする人がいた。つい、足が止まり、その人を見ていると大きな風が吹いてきたのを覚えている。その時の光景は死んでも忘れられない。

桜の花びらがたくさん舞った。そして、その人は桜の木を見上げ優しく笑った。その顔を見た瞬間心臓が張り裂けそうになった。心底綺麗だ、と思った。


...でもまぁあれから一度も小野先生の笑顔は見れてないんだけど。

小野先生がスクリーンに写した表を指さして要点を言う。私はそれをノートに書き写す。完全な教師と生徒、完全な私の片想い。小野先生が男だったらいいのに、それなら少しの可能性もあったかもしれないのに。

「...こんなに...好きなのに...。」

消えそうな声で呟く。

「...ということになります。」

小野先生はそう言ったあと私とは違う方を向いていた顔をこっち側に向ける。

バチッ

「...ーーっ!?」

私は目を見開いた。

彼女と目が...あった...気がする。

顔が熱い、ドキドキする...心臓...潰れそう...。そうして私はズルリと上半身をデスクに寝かせた。

「...島津さん、私と目が合った瞬間に寝るのはやめなさい。」

小野先生は私の名前を呼んで、注意する。心臓が張り裂けそうだ。

真っ赤な顔を隠したいけど隠せなくて、涙目で真っ赤な顔を仕方なく上げる。

「...っすみま...せ...ん。」

彼女の目を見て言えなかった。もう一度彼女と目が合わせられるかもしれないのに。

「...え...えぇ。」

声に戸惑いが見えた、彼女はいつも淡々としていて、気持ちを表情や声に出さない。おかしい、と思って彼女を見るとホワイトボードに書き入れていて後ろ姿しか見えなかった。

「...お前...どしたの?顔エロいぞ。」

そう小声で伝えてきたのは千歳だ。顔エロいとか意味わかんないし。こいつ絶対思春期遅れてきちゃった系でしょ。

「...別に...ちょっとびっくりしただけだし。...エロくないし。」

ボソボソと言う。

「...なんか...可愛いなお前。」

「...はぁ!?」

意味のわからないことを言われてつい、大声で叫んでしまった。周りは笑っていたり驚いていたり。

「...どうしたの...はぁ。」

彼女が面倒臭そうにため息をつく。

...迷惑かけちゃった。ため息なんてついてるの初めて...見たな...。

「...ごめ...ん...なさい...。」

震える声でそう言って手のひらをまぶたに押し付ける。

嫌われたいわけじゃないのに。迷惑かけたいわけじゃないのに。私のすることは全て空回りして、彼女との距離がどんどん離れていく。辛くて、泣きそうだ。

「...あとで...ちょっと話そうか。」

いつもの声のトーンのはずなのにいつもより凄く冷たい声に聞こえて、余計にしんどい。

「はい...。」

暗くなる一方だ。

「...ご、ごめん...!なんか...今日体調...悪い?」

千歳が私の背中をさすって申し訳なさそうに顔を覗き込む。別に千歳が悪いワケでは...ない?のかな?

「...別に...なんでもないよ...。」

そう言うと千歳は私の頭を撫でて、

「言いたくなったら言ってください...な。」

と、恥ずかしそうに語尾を付け足した。

少しだけ、元気が出た。私はどうやらとても単純らしい。


そうして、講義が終わり、筆箱などを片付ける。私はこの後取っている講義はない。そのまま帰れるんだけど...小野先生に呼ばれているから、行かないといけない。廊下を歩いていく。

「島津さん、こちらにどうぞ。」

そう言って彼女は指導室に連れてきた。

「...はい。」

綺麗な声で話す彼女の真横に立って歩けるなんて考えもしなくて、心臓が飛び跳ねた。

多分今顔が真っ赤だと思う。

「座って。」

「...はい。」

指示通り座った。小野先生と向き合う形になった。彼女の真っ直ぐな目が私の心を見透かすように感じて、怖くなる。

「...今日、どうかした?」

やや、心配そうな声を出す。

...いや、小野先生が私を心配することなんてない。大人数の大学生の中で普段の私を知っているのかも分からない。...名前を知っていてくれただけで嬉しいのに。

「...別に変わりありません。」

「...島津さん...いつもと違う。」

()()()、そう言われたのが驚いて、小野先生が机に右手を置いただけで自分でも驚く程にびっくりした。

「...い...つも...?」

驚いた顔で私が言う。

「...っぁ!」

小野先生は消えそうな声で目を見開き、そのあと顔を真っ赤にした。

...え?なにこれ。なに、嘘、先生がこんなに...取り乱して...。

「小野...先...生...。」

頭が熱くなってぐるぐるする。好き、好き。もうなにも考えられなくなってしまって、気づいたら私は小野先生の顔の目の前にいて、息遣いが聞こえるほどに近いところに、身を乗り出していた。

あぁ...先生って睫毛すごくながいんだ...。


「...し...まず...さ...」

首まで真っ赤にして、潤んだ瞳で先生が柔らかい口を開く。

...唇にまだ感触が残っていて、頭がふやけそうだ。

「...め...さい...。」

震える声でそう言って、私は指導室からダッシュで逃げた。

「...っ島津さん...!」

小野先生がそう言って追いかけようとするのが見えたけど、私は思いっきり突っ走った。

...キス...しちゃった。...どうしよう!嫌われたかも!いや、確実に...

私は随分走ってきた廊下の途中で足を止めた。

「確実に...きら...われた...よ...。」

片想いで終わらすつもりだったのに。全部、今までの触りたいって気持ちへの我慢とか、先生と生徒の関係とか...全部...壊れちゃった。

足に力が入らず、ペタン、と廊下に座ってしまう。

「ど...しよ...。...謝りに...!...いや...今更...謝れない...。」

嫌われた...こんなつもりじゃなかったのに。先生があんな顔するから...。あんなに...可愛い顔を...する...から。つい...ゾクゾクしちゃって...。

「おーい!」

頭の上からそんな声が聞こえて、見られたのかとドキッとした。上を見ると金髪のツインテールがフリフリと可愛く揺れていた。

「...千歳...?」

半分呆然として、千歳の名前を呼ぶ。

「そーですよ!どした?こんな所に座り込んで。」

口をとんがらせてあまりにも馬鹿っぽくいつも通りに言うものだから、今まで焦ってたことが全部馬鹿らしく思えてきて、笑いが込み上げてきてしまった。

「ふっ...あはははっ!...はぁ...ばーか!千歳のばーか!」

今まで混乱でおかしくなりそうな思考が千歳のおかげでスっと消えた。

「...はぁ?なんだよあった途端急に!で、どーだったぁ?」

どうだった、それは多分小野先生との話だ。でも、今は小野先生を思うと先生の体温とか唇のふにゃふにゃな感触が鮮明に思い出されてゾクゾクすると同時に壊れてしまった欠片をどうにかして戻さないと、という焦りが襲ってくる。

...キスした時からもうどうしようもないことにも気づかずに。

「...べ...つに、フツーだよフツー!今後は気を付けてねーとかそういう...」

「そんなこと言ってないんだけど。」

その声を聞いた瞬間全身の毛穴が開いて、身体が冷たくなる感じがした。

「...お...の...せん...せ...。」

ここまで...追って来てたんだ...。だめだ、このままじゃ、さっきの所に逆戻りだ。考える余裕もない。

「え...?な、なんか...ありました...?」

千歳が?マークを付けてアホっぽくにへ、と笑う。

「うん。あったから戻るよ、島津さん。」

先生...初めて見る顔してる。...なんか怒ってる。そりゃ嫌だよね...、生徒に、しかも女にキスなんかされて、気持ち悪いと思うのが異性愛者(普通)だ。

「...は...い。」

怯えたような表情をしている私を見て千歳が怪訝そうな顔をする。

「なんか、おかしいですよ。また今度でいいじゃないですか、説教ぐらい。ちょっと夏風今日は寝不足で体調が悪いだけで、また次からは普段の夏風に戻りますから。」

なんかよく分かんないけどあの能天気な千歳がめっちゃ怒ってる...?なんで?

「説教じゃない。場合が変わったの。部屋に戻るよ島津さん。」

先生がいつもの冷たい声で淡々と喋っていく。

「はい...。」

「いや待て。だってどう見たって夏風の反応おかしいじゃないですか。あまり虐めないでくれますか?()()夏風を。」

わ...私の?

「はぁ?私のぉ?いつ、どこでお前のものになったの?島津さんは私のことが好きなのに?」

...え...どうして...それを...。

「あ?好き?夏風がてめぇのことを?あっりえねぇだろ。夏風は同性愛者じゃねーし。ふざけんな。」

二人とも口調が乱暴になってきた。

...いや、そんなことよりなんで先生が...私の気持ちに気づいて...?

「じゃあ本人から直接聞けばいい。島津さんは()()私にキスをしちゃったし。」

...どうしてそんなことを言うの?先生...酷いよ...。

「...は?キス...?夏風が...てめぇに...?...嘘...だよな、夏...」

私の顔を見て千歳は驚いた表情をした後、とても悲しい顔をした。

「...何傷ついてんの?そんなに島津さんのことが好き?」

「は...?」

「島津さんのことずっと見てたから分かる。隣のお前が島津さんのことをずっと見てたこと。寝たフリしてまで顔を覗き込んで目細めて顔を赤く染めて。好きなんでしょ、島津さんのこと。」

...え?なにそれ...意味わかんないよ。頭がぐちゃぐちゃになっていく。

「...ぁんだとてめぇ!っざけんじゃねぇよ!てかずっと見てた!?てめぇ()好きなんじゃねぇか!」

...小野先生が私のことを...好き?も、って千歳も...?

「ど...して?千歳...彼氏いたのに...?」

彼氏と別れてから?どういうこと?

「...ち...げーよ...お前の...こと好きなの...やめようと思って...彼氏何人も作ったのに...気持ち悪くてお前以外とキスしたくねぇし...そんで付き合ってても…シなかったら...フラれてって繰り返して...それでもやっぱ...お前のこと……諦められなくて...。」

「...ち...とせ...。」

すると先生が口を挟んだ。

「...島津さん...いや、夏風。私と付き合って。」

唐突の告白に頭が混乱する。ずっと好きだった先生と…?付き合える?なんて考えてたら、千歳のことが頭によぎった。

そう…だよ…千歳のことはどうなるの…?先生と付き合ったら千歳は傷ついて、友達じゃなくなっちゃうかもしれないのに…。

「せ…ん…せぇ…私…千歳とまだ…友達でいたい…のに…ど……して…?」

泣いてしゃくりあげちゃって、言葉がうまく出てこない。

「……知らないよそんなこと。私はあなたが欲しい。あなたの友達がいなくなったとしても、私はあなたを絶対に手放したりしない。」

先生は右腕を片方の手で強く握る。その動作は弱く見せても、目は真っ直ぐに私を見ていて、ゾクゾクしてしまう。

「…そんな」

「悪ぃけど、私だってこいつの事は手放す気ねぇし。絶対にお前や他のやつには渡さない。友達はもうやめだ。私はお前に何があっても今までみたいに一番近くで守ってやる。でもな、今からの一番近くってのは恋人としてだ。それ以外は認めねぇ。お前が私をぶん殴ろうとも絶対に…絶対に手放してなんかやらない」


先生を目の敵にして、今まで見たことも無い顔をして睨んでいた。つい、その横顔にドキッとしてしまった事が、この修羅場の始まりだった。あの時、いち早くどちらかを選んでいれば……あんなことにはならなかったのに。


あれから数日後、先生と千歳の私を取り合う対戦が始まった。そして今、私の家で私の目の前で言い合いをしている。

「いい加減あきらめて。お前うざい。」

「はぁぁぁ!?っざけんなぶっ殺すぞてめぇ!逆にてめぇが諦めろよ!」

「なんで諦めないといけないの?意味わかんないんだけど。ていうか夏風は私の事好きなんだからお前の入る余地ない。分かった?なら早くこの家からでてって。」

「はい無理〜!てか言ったよな私!「ぜってぇに諦めねぇっ」って!お前……聞こえてなかったの?耳わりぃんだな!私結構でけぇ声で言ったぞ?夏風んちから早く出て耳鼻科でもなんでも一昨日行きやがれクソが!」

「耳が悪いのはそっちでしょ。夏風は私の事が好きなの。アンタには1%の可能性もないの。いくら頑張ったって無駄。早く出ていけって言ったの聞こえなかったの?」

「ぷっ!何言ってんのお前?1%の可能性もないぃ?それはありえねぇよ!夏風は私の事を意識しはじめてる!これは絶対だ!」

「…は?なんの根拠があって?」

「告白された後の男女の意識しはじめる人数ってどんくらいか知ってるか?」

「は……?」

「半数以上だよばーか!そんでもって告白された後に好きになるメカニズムは国際的に知られてる事例だ!私に可能性が1%もないってことは100%有り得ねぇってことだ!」

「何言ってんの。その残りの半数以下が夏風だったらどうするつもり?お前には1%の可能性も無いかもしれない。」

「はっ!夏風はなぁ、私がキスした時に顔真っ赤にするわけ!今キスしたらもっと真っ赤になっちまってぶっ倒れちまうかもなぁ?それで?なに?1%の可能性もないぃ〜?」

なっ……何を言い出すんだこいつは!た……確かにドキドキしたけど!?いや……10%くらい……可能性はあるかもしれないけど……いやそんなことより!

「……な!?き……キキスしししし……したの!?」

「もううるさい!いい加減にしてよ……もう…こんなのやだ…!」

「…夏風……。ごめん、私が悪かった……。許して……?好きなの…だからこんなに本気になるの…絶対に夏風を諦めたくない…私から逃げないで…。」

先生が私を暖かい体で柔らかく抱く。先生に抱かれてることがおかしくなりそうなくらいに嬉しくてドキドキしまくって本当に倒れそう。い…いい匂い……。

「…馬鹿っ!離れろ!夏風に触っていいのは私だけだ!」

そう言って千歳は先生とは裏腹に力強く私を抱く。

痛いような、でも安心するような…嫌じゃないのが……やばいなぁ…。

バキッ

「…夏風に……触んな!」

せ…先生……殴ったぁぁぁぁぁぁぁ!?

「てめ…ぶち殺す…ぜってぇに…!」

いや!それより鼻血出てるから千歳!

もみ合いが始まって、私が必死に止めたものの2人の綺麗な顔には3ヶ所くらい傷がついてしまった。


「ったく…二人共馬鹿なの?…いや間違いなく馬鹿だよ。なんでこんな綺麗な顔なのに…傷…付けちゃうかなぁ…。」

眉を下げてため息をつく。

もうありえないよ…。なんでこんなに必死になって私の事なんて奪うのかな……たいして可愛くもないし、ずば抜けて勉強や運動が出来るわけでもない。それなのに……どうして…。

「そういや夏風!いつこの馬鹿とキスしたの!?」

急になんなのもう!!?

「昨日だよボケ!昨日も夏風ん家行って抱きついたらいい雰囲気なってたからキスしt...ぶぇっ!」

ななな何を言ってるのこの子は!?

じんわりと千歳を殴った感覚が、右の手の甲に残る。

「夏風。消毒、しようか。」

先生が、私を押し倒して、床ドンをする。

「へ?え?あっ、ふぁい...。」

いつも憧れて遠くから眺めていた人の顔がこんなに近くにあるなんて...。ドキドキが止まんない...。

「ふぁい...。じゃねええええええ!!なに夏風までうっとりしてんだよ!お前は私のだ!」

「はぁ、私のだし。何言ってんの。」

「「...殺す!」」

どったんばったん騒ぎで、また喧嘩を始める二人を眺めながら、私はまた深いため息をついた。

「これ...この先ずっとつづくのかなぁ...。」

心底めんどくさい気持ちもあるが、少しだけ、本当に少しだけ、楽しい気持ちもある...かもしんない。

お読みいただき、ありがとうございました!

ブックマーク登録、お気に入りユーザーなどをしていただいている方や、いつも連載作品を見て頂いてる方、この作品をお読み下さった読者の皆様、ありがとうございました!

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