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クリスマス

前の彼女と別れて1か月。まもなくクリスマスである。

「ぜったいにクリスマスまでに彼女作るから!!」

「えー、また彼女作んの?そんなにすぐに好きな人出来るん?」

「だってさー、あいつのこともう9月くらいから冷めてたからさ。」

「…ってことは好きな人おるん!?」

「そんなん知らんやん。けど付き合うからな!」

となりの席の皆川はしつこく聞いてくる。

前の彼女は同じ部活の、1つ上の先輩だったのだが、ストーカー染みた行動に辟易して、半年になる直前に私から別れを切り出したのであった。もう思い出したくもない思い出だ。

噂によれば、あの人はまだ私のことが好きらしい。どうなのだろうか。


そういえば先週、後輩からもラインで告白された。

「話、聞いてくれますか」

長くなりそうだし、塾に行く直前に送られてきたので無視をした。

塾から帰ると告白が終わっていたのである。たいそうびっくりした。

「聞いたかも、しれないですけど、先輩のこと、好きなんです。付き合ってくれとかそんなんじゃなくて…、ただ気持ちを伝えたかっただけなんですけど、ね…」

付き合ってくれとかじゃないんだったらなんで告白なんかするんだ。

そうやって嘘をつくなよ…、あぁ、面倒くさいな、と思いながら、

「ごめんね、まだ別れたとこだから…」と返信する。

「そうですよね、なんかごめんなさい…」

告白されるんなら別の後輩がよかった。気になっている子がいる。北川さんである。

その子に告白されたのなら付き合ってもいいかな、と思うが、なかなかあの子が私のような人間に告白することはなかろう。この間、同じ部活の男子とふたりで映画を見に行ったという噂もある。

きっとその子が好きなんだろうな。私と一回ふたりで帰ったのなんか、なんも思っていないんだろうな。

まぁ後輩と付き合うっていうのもあれだし、まぁいいや…。


「大瀬、後輩好きなんやろ?後輩のことばっかり気にしてるやん」

「えっ?違うって!」

「誰よ。こないだ喋ってた子?1年の北川さん?」

「あの子は…別に。俺のこと好きじゃないやろうし。付き合ってそうな子もおるし」

「ふーん。」

「そういう皆川は誰が好きなん?」

「そんなん知らんし…」


確かにさいきん後輩ばかりが目に入る。それも北川さんだ。

これは好きなんだろうか。好きなんだろうな。けど自分から告白する気にはなれない。

北川さんは私に告白をした麻倉さんと仲良しである。きっと麻倉さんが失恋をしたのを北川さんも知っているだろう。その状況で私が告白するのは大変気まずくなる。

それに私は一応吹奏楽部の部長をしている。後輩関係でぐちゃぐちゃしていれば部活運営に関わってくるのは確実である。


皆川とその友達の萱野には席が近かったこともあり、前の彼女とのことで相談はたくさんしていた。

私だって相談された相手の次の彼女なんていうのは気になるものだし、皆川が気になるのも当然である。


「クリスマスまでに付き合えたらいいな!後輩ちゃんに告りよ!」

「そうやで、大瀬。告ってもいいんじゃない?」

「うっさいなー。お前こそ告りや、生田」


生田はクラスでもモテる男子である。以前に同じクラスの女子と付き合っていたようである。

けど生田はもう自分から告白したりしないんだろうな…。


「俺好きな人とかおらへんし」

「ほんまに?」


けど本当だろうな…。生田はそういう感じではない。恋をしている感じがまったくない。


「うんうん。やからこそ大瀬に付き合ってもらいたいねやん!」

「うーん、頑張るけどさぁ…」


クリスマスまであと10日。まもなく冬休みである。

それまでに皆川や萱野や生田によい報告ができるのだろうか…。


続く。

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