11話
戦闘のあった日の夜半。
木に吊るされていた男達は不意に戒めが消え地面に落下した。
「痛てっ!」
召喚士の男が呻きながら立ち上がる。男の名はグランス
見渡すと殺された仲間の骸がそのままになっている。中にはいくつか魔獣により食い荒らされたものもある。
死んだ仲間に対してはそれほど悲哀も感じることはない。そもそも自分はこの仲間内では新参者なのだ。
勇者が魔王を倒してから世界を席巻する過程において多くの王国が滅ぼされた。
文字通り滅ぼされるものもあれば乗っ取られるものもある。かつてつかえていた国は恭順を良しとせず滅ぼされた。ただ生きながらえるためと思い傭兵になり流れ流れて今ここにいる。
それほどあの男をを憎く思ってはいない。飄々とした風で別次元の強さ。まるであれは勇者だ。
逆らって生きていられるとは思えない。今生きていられるのは早々に気を失ったから。
もう少し気絶が遅ければ間違いなく殺されていたと思う。
近くで何かが動く。つかまっていた仲間だ。彼はリーダーとは言うが実質は雇い主。
勇者軍の兵である。自分も含めあとはすべて傭兵で構成されていた。
生きてはいるようだが未だ目を覚まさない。いまなら死を偽装して逃げることができるかもしれない。
突如足首が掴まれる。
「本隊に連絡しろ。奴は始末せねばならん」
いまだ動けないようだが。狂気に染まった目で命令する。
その目に怯み振り払うように身を引く。
「命令が聞こえないのか!」
逃げるなら麻痺の残っている今しかない。そのまま身をひるがえし
死んだ仲間の剣を拾う。一心不乱に振り下ろす。
しかし剣など普段から使わない。ただ振り下ろしているだけだ。
隊長は怒りのまま襲ってくる男の首を決めそのまま嫌な音をさせる。力の抜けた男を放り出し。一度町へ目を向ける。
とりあえず町へ戻り、本体に連絡、叱責を和らげるためにも娘は気絶でもさせて攫っておけばいいか。
報復はどちらにしても間に合わないだろう。あの男が馬鹿正直に本体に向かっていっても死ぬしかないのはわかっている。不意打ちだけで勇者に敵うなら世界はこんなことになってはいない。
この男は間違っていた。
不意打ちに見せかけた一撃を指弾かなにかと思っていたこと。
そして周りにはもう生きているものは何もないと思いこんでいたこと。
死角より獣が近付き男の首筋に突如衝撃が走る。
ハウンディハウンド。使役されていた種とは違い完全な野生種。
この世界、森には腐肉をあさる魔物が多い。
人里近くにも出没するこれらによってアンデッド化する前に処理されるせいでアンデッドの発生が抑えられている。
男は何が起こったかわからないまま意識を失った。
後日ハウンドの群れが町の周りで被害をもたらせ討伐されることとなる。
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ほぼ半日、歩き詰めで拘束している鎖を解除する。
この距離でも問題なく物質化が持つなら有用な能力だな。飛び道具とか使えるとかなり戦術幅が上がってくるからなぁ。忍者的に撒き菱とかやってみたいな。
名前:天鷺譲治(神造人間)
LV:25
HP:85/240
MP:280/280
固有スキル[収穫LV-][変形LV2][ ]
超級スキル:[兵器の王][闘士の王]
上級スキル:[物理耐性]LV10、[魔導耐性]LV10、[MP回復][毒耐性][隠蔽][偽装][索敵]
一般スキル:[暗視]LV10 [暗殺]LV10 [魔導 水]LV5[魔導 闇]LV10 [魅了]LV5 [絶倫]LV10
休憩しないとHP回復しないな。
撒き菱作っても28個が限度か。微妙な気がする。
『一気に作れるなら40個ですね。物質化MPはレベルアップにより7、物質変換は4になりましたので。あと【忍者の勇者】はいたと思いますからかぶりますよ』
いるんかい、忍者。じっくり相手したいな。アメリカン忍者かジャパニーズ忍者かどっちなんだろう?
『目的地をを間違えないでくださいね?・・・・』
わかってるって。ついでの時にね、ついで
実験の為、弓と矢を作り出す。弓といってもアーチエリーである。
現代日本で見ることのある弓ってこれと和弓しかないもんなぁ
因みにアーチエリーは腕を前に構えてから弦を引くもの。和弓は身体の正中に弓を構え左右に引き絞って構えるもの。似てはいるけど全然違うものである。
構えて適当な距離の木に向かって弓を射る。見事に命中した。次に魔力を込めて同じ木を射る
命中と同時に木が折れた。
『魔力弾の特性が付加されて威力が跳ね上がっていましたね・・・・』
半ばあきれられた。下手なミサイルだよこれじゃ。
次に錬成したものはL字型の黒い物体
いわゆる拳銃である。しかし当然本物ではない。
かつてサバゲーをやっていた時の装備品の一つ、エアガンである。
本物の拳銃でも作れるのかとおもったら。可能ではあるが消費MPが足りないそうだ。
現在のレベルではMP500消費で銃本体。MP100で弾一発。6発リボルバーだけで1100消費
ほぼ4倍必要か。レベルが上がれば消費も減ってくるらしいけどそれでもあと2.3レベルは上げないと出来そうにないな。
というわけでエアガン(生成MP100、変換MP75)とBB弾(生成MP7)×26
生成だけだと今のところ一気には作れないな。 あ、でもリボルバーなら一気につくれるか。
30メートルくらいの距離で数発試し打ちしてみた。やはり普通のBB弾の威力。あとは弾に魔力を込めるようにして撃ってみる
木だと弾がめり込むくらいになった。
これだと拳銃はいらない気がする
リボルバーエアガンにして魔力弾撃ちのほうが比較的戦闘しやすいかな
今のところは飛び道具に頼らなくてもいいが練習だけはしておこう