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異世界転生の砦姫  作者: 姫都幽希
終わった世界の後日談
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ハッピーエンドの向こう側・後

 あれから七年。

 俺は十八歳、シャルロットは十一歳になった。

 俺は入学してすぐに生徒会を制圧して現在は連続七年生徒会長をしている。


ーーーーーー


「入学挨拶、首席・シャルロット・パルーシャ。

 サクラの蕾は冬を越え、固く閉ざした花を開きました。

 お日柄もよく、暖かな空気に包まれたこんな日に伝統ある学園に入学できることを、とても嬉しく思います」


 シャルロットは約束の通り首席として入学してきた。


「ご静聴、ありがとうございました」


 入学挨拶の内容は全てを首席が決める。

 どんな挨拶から始めるか、どんな内容にするか。


 俺は、一回目は時候の挨拶はこの世界風、内容はこれからの希望と目標。

 二回目は前の世界風の時候の挨拶に、当時の生徒会長に喧嘩を売って、最後に頂点は俺の物と豪語して締めくくった。


 それに対し、シャルロットは俺と同じような時候の挨拶、目標を中心に両親への感謝で締めくくった。


ーーーーーー


 生徒会室。

 会長の席には俺、斜め後ろにアル。

 副会長は伯爵の息子。

 庶務は外国からの留学生。

 書記の席は前任者卒業のため、空席となっている。


「さて、そろそろ来るはずだ」


 机の上で手を組みながら話を切り出す。


「誰が来るんだい?」


 これは副会長の台詞。

 名前はルベルト・リッベントロップ。

 同年代に彼以上の権力者はおらず、トップ2で自然と仲良くなった友人だ。


「まあ、会長のむりやりはいつも通りですからね。

 処理は私たちがやるんですから」


 これは庶務の留学生。

 名前は周阿旻シー アミン

 名前では分かりにくいが、チャイナドレスのナイスバディー少女だ。


 そんな雑談をしているとノックの音がする。


「お兄様、お兄様。

 シャルロットです。

 約束通り首席として入学しました」


「入っていいよ。

 アル、お茶とお菓子を用意して」


 シャルロットがドアを開けて中に入ってくる。


「すまないね、皆。

 今回はちょっと二人きりにさせてくれないか?」


「何だ、珍しい。まあいいよ。

 さ、皆。一回食堂にいこう。

 料金はミシェルが持ってくれるらしいから」


 おい。

 まあいいか。


 部屋にはいま、俺とシャルロットしかいない。

 アルとアリーシャも外に出してしまったからだ。


「さて、生まれる前の記憶の話だったね。

 じゃあ、ちょっと面白いところに行こう」


 精神空間の展開。

 まあ、神の精神空間だから神界とでも言ったところか。

 さて、どんな反応をしてくれるかな?


ーーーーーー


「皆、シャルロットを連れてきたよ」


 そういった瞬間、回りからワラワラと皆が集まってくる。

 おー、でっかくなったなー、とかきんつば食べる?とか皆が好き勝手なことを言っている。


「え?お兄様、ここはどこですか?」


「さて、少し昔話をしよう」


 昔、一度死んだ少年が少女として異世界に生まれ変わったこと。

 少年は少女として生きていくことを決めたこと。

 段々と自分のなかにいる本当のシャルロットの存在に気づいたこと。

 彼女に体を返すため、世界を救って神様になって、自分は少し前に兄として生まれて下地を整えていったこと。


「さて、昔話はおしまいだ。

 もう全部思い出したね?」


「えっと、うん。

 ただいま、皆」


 お帰りなさい、と皆から返事が帰ってくる。

 さあ、これでやることはすべてやった。


ーーーーーー


 生きてる理由って何だろう、と考えたことは無いだろうか?

 それを知るため、何て言うロマンチックな事を言う人もいる。

 まあ、それは人それぞれで違うと言うことは誰にでも分かる。


 では、生きてる理由を終えたら人はどうなるんだろうと考えたことは無いだろう。

 なんせ、まだ生きてる理由さえ分からないのだ。

 それを終えてからのことなんて分かるはずもない。


 さて、さっき俺はやることをすべて終えた、と言った。

 つまりそれは生きてる理由をすべて終えたと言うことだ。


 まあ、だからと言ってどうするわけでもない。

 シャルロットの物語を最後まで見届けて、それからは神として好きなことをやろう。

 あ、自分が神として何を司るかを決めてなかった。

 そうだな。


 ハッピーエンドを司る神様にでもなろうか。





 ーちなみに後日、長いと文句を言われ、終わりを司るに変えました。

 終末論の神様ですか?


ーーーーーー


 生徒会室。


「わー、仲良しですね、二人とも。

 会長なんか、いつも厳しそうなことを言ってばっかなのに。

 いまは無邪気な顔でねてますよ」


 帰ってきたルベルトと周。

 応接用のソファーにはシャルロットとミシェルが肩を寄せ合って寝ていた。


「そうだな。

 こうしてみてみると、兄妹と言うよりは恋人に近い気もするがな」


 ~fiN~

 これで最終回になります。

 去年の夏に投稿を始めた小説ですが、無事に最終回を迎えることが出来ました。

 これも読んでくださった皆さんのお陰です。

 特にはらくろ様、初期に頂いたコメントに何度も勇気付けられました。

 皆さん、どうもありがとうございました。

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