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異世界転生の砦姫  作者: 姫都幽希
終わった世界の後日談
60/65

かつて規格外だった少女は、更に規格外な少年のせいで少しおかしい程度で済むのです②

 少し飛ばすが、軍の調き……訓練が終わった。

 名前は砲皇のまま。

 まあ、思い入れもそこそこあるしね。


ーーーーーー


「お兄様、お兄様、少しお話を聞いてほしいのです」


 シャルロットは既に六歳。

 俺は、十一歳になっている。

 あり得ないほどの魔法適正も、俺の影に隠れてそこまで波風が立っていない。


「ああ、構わないよ。

 アル、紅茶を淹れて」


 ガラステーブルを挟んで座る。

 読書机は既に本の山と領の収支、決算の紙で埋まっている。


「きっと信じて貰えないと思うんです。

 私、生まれる前の記憶があると言ったらどうしますか?」


 むせた。

 まさか覚えているとは。


「どんな記憶かと言うと、小さな部屋に居るんです。

 回りには沢山の大人の人たちがいて、皆優しいんです。

 それで、もしかしたらお兄様なら知っているかなと思いまして」


 鋭い!

 知っているかなと思いましてって、カンだよね?

 正解なんですけど。


 さて、どうしようか。

 話しても良いものなのか?


『私たちは君に全ての事を任せるよ。

 話すタイミングも、話すか話さないかもね』


 押し付けないで貰えます?

 うーん、どうしようか?


「そうだね、知ってるか知らないかと聞かれれば、知ってるよ」


「なら……!」


「でも、この件に関しては何でもかんでも教えるわけにはいかない。

 俺の元には今、学園の入学案内が来ているんだ。

 期間は十数年ほどだから、その間にその年の首席として入学してきなさい。

 それが条件」


 少し意地悪な気がするが、簡単に教えるわけにはいかないだろう。

 まあ、スペックは俺と同じだ。

 なんとかなるだろう。


「いまから勉強すれば余裕だ。

 分からないところは聞けばいい。

 まあ、俺もいい決断になったし、生徒会長として待っていようじゃないか」


 頑張れ、シャルロット。

 あの時の俺と同じ景色に立って全てを見渡すんだ。

 

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