かつて規格外だった少女は、更に規格外な少年のせいで少しおかしい程度で済むのです②
少し飛ばすが、軍の調き……訓練が終わった。
名前は砲皇のまま。
まあ、思い入れもそこそこあるしね。
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「お兄様、お兄様、少しお話を聞いてほしいのです」
シャルロットは既に六歳。
俺は、十一歳になっている。
あり得ないほどの魔法適正も、俺の影に隠れてそこまで波風が立っていない。
「ああ、構わないよ。
アル、紅茶を淹れて」
ガラステーブルを挟んで座る。
読書机は既に本の山と領の収支、決算の紙で埋まっている。
「きっと信じて貰えないと思うんです。
私、生まれる前の記憶があると言ったらどうしますか?」
むせた。
まさか覚えているとは。
「どんな記憶かと言うと、小さな部屋に居るんです。
回りには沢山の大人の人たちがいて、皆優しいんです。
それで、もしかしたらお兄様なら知っているかなと思いまして」
鋭い!
知っているかなと思いましてって、カンだよね?
正解なんですけど。
さて、どうしようか。
話しても良いものなのか?
『私たちは君に全ての事を任せるよ。
話すタイミングも、話すか話さないかもね』
押し付けないで貰えます?
うーん、どうしようか?
「そうだね、知ってるか知らないかと聞かれれば、知ってるよ」
「なら……!」
「でも、この件に関しては何でもかんでも教えるわけにはいかない。
俺の元には今、学園の入学案内が来ているんだ。
期間は十数年ほどだから、その間にその年の首席として入学してきなさい。
それが条件」
少し意地悪な気がするが、簡単に教えるわけにはいかないだろう。
まあ、スペックは俺と同じだ。
なんとかなるだろう。
「いまから勉強すれば余裕だ。
分からないところは聞けばいい。
まあ、俺もいい決断になったし、生徒会長として待っていようじゃないか」
頑張れ、シャルロット。
あの時の俺と同じ景色に立って全てを見渡すんだ。




