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異世界転生の砦姫  作者: 姫都幽希
終わった世界の後日談
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後日談ー野良猫(みたいなの)拾いました②ー

 最奥に入った瞬間、雰囲気が変わった。

 目の前から凄い速さでナイフが飛んでくる。

 それを魔法で受け止めると更に横からハンニバルとカエサルに飛んでくるから、更にそれも受け止める。


「薄々感じてはいたがここまで凄いとは」


 カエサルが驚いた声を出す。


「だろう!ミシェル様は俺も手も足も出ないくらいに強いぞ。

 頭脳戦で負けて外堀埋められて更に情けまでかけられたんだ」


 ハンニバルは何で自慢気なんだ。


「まあ、ここは面倒臭そうだから取り合えずすぐに出るぞ」


 急いで手前に戻る。

 そのまま行きとは別の道を通り帰ろうとする。


 すると、さっきとは違い、道端に沢山の死体が落ちていた。


「ここは?」


「ここはごみ捨て場だ。

 奴隷商館の売れ残りがここに捨てられる」


 売れ残り。

 この世界に来て、異世界とは思えないほどの自由さや優しさが溢れていたから、人を人と思わない連中にはこの世界で初めて会った。


「あまりじろじろ見てやんな。

 可哀想だ」


 そう言いさっさと行ってしまったカエサルを追おうと後ろを向いた瞬間、足に何かが触れた。


 ボサボサになったくすんだ金髪。

 顔も泥や煤で汚れているが、磨けば光りそうな美少女。

 何故、こんな少女が捨てられたのかと見てみて、すぐに気づいた。


 片足が無いのだ。


 元々なのか、切られたのか、病気で切らざるを得なかったのかは分からない。

 その少女が這い寄って俺の足に触れたのだ。


「水……、水を頂けませんか……?最後に、水を……」


ーーーーーー


「なあ、皆。

 俺は神様とやらになったんだよな?」


 いつもの精神空間。

 そこでチェスやらトランプやら花札やら百人一首やら将棋やらをやっている皆に聞く。


『何を言ってるんだ?

 お前の立場は神様かもしんねえけど、俺らにとってはお前は只のガキだ。

 何を悩んでるかしんねえが、ガキは我が儘を言うことが仕事だ。

 後片付けは俺たち大人がやるから、好きなだけ我が儘を言えばいい』


 な!?

 フィッシュがまともなことを言った!?


『おいフィッシュ!

 私が爆弾やら何やらで苛めすぎたせいでおかしくなったのか!?

 すまない!直ぐにベッドで寝ててくれ!

 後でナイチンゲールに診てもらうように計らうから!』


 あのノーベルが慌ててる。


『んだとコラ!

 俺がまともだとおかしいのか!』


『うん(一堂)』


『おいお前ら全員そこに直れ!

 ケツバット一人千本ノックだ!』


 相変わらず賑やかな連中だ。

 まあ、やることは決まった。

 さて、子供らしく我が儘を言おうじゃないか。


ーーーーーー


「おい、ミシェル様。

 早く行きましょ……?」


 俺のめのまえ展開された魔法陣。

 成り立てとは言え、神様が全力展開した魔法陣だ。

 道のすべてを多い尽くす。

 効力は、触った人間すべてを蘇生回復部位欠損回復状態異状回復栄養・水分補給肩こり冷え性改善二日酔い緩和疲れ目回復その他あらゆる″俺が正しい人間の状態では無い″と思うものすべてを回復する。


「さて、少女。名前は?」


 目の前で呆然としている少女に聞く。

 無い、と答える少女に、


「名前が無いと呼びにくい。

 どうしようか?

 そうだな、アルにしよう」


「アル?」


「ああ、理想郷アルカディアから取ってアルだ。

 宜しく、アル」


 後で戸籍を作らないとだな。


「ちょっ、ミシェル様!

 何をしてるんですか!」


「何をって言われても……。

 そうだな。

 年甲斐に我が儘を言ってみようかと」


 アルの手を取ると、俺は帰り道を歩き出した。

 次回からついにシャルロットが登場!


シャルロット「シャルッシャルにしてやるんだから!」

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