ハッピーエンドの向こう側・前
パルーシャ領。
ここは今、すごい賑わいを見せている。
とは言え人の数は居るものの、皆が皆暗い顔で仕事をこなしている。
それもその筈。
パルーシャ公爵令嬢、シャルロットが世界を救うために死んでしまったのだから。
決戦の後に残っていたのはプシュケーの外骨格と石化したシャルロット。
どんな方法でも目を覚ますことはなく、彼女の墓を郊外に作っている。
全長二百メートルほどの霊廟。
世界の人々が資金を寄付し、あちこちから無償で労働に来る人々。
初期の時点で五十メートルを計画されていた砦姫霊廟は、彼らの厚意?により四倍の大きさにまで膨れ上がっていた。
建築は三ヶ月しか経っていないのに既に九割がた終了し、酒場は労働者たちが日が落ちると無言でエールを飲むという意味不明な場所に変わっていた。
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あれから2日。
ついに霊廟が完成し、シャルロットの遺体(石像)が運び込まれようとしていた。
砲皇の数人が棺のなかに安置をして、担ぎ上げ頂上まで持っていく。
頂上につき、1回棺を置く。
そのまま告別式典が行われる。
集まった一人一人が花壇に一本ずつ花を植える。
そしてパルーシャ公爵の別れの言葉を始めようとした瞬間、
バリバリと棺に雷が落ちる。
公爵があわてて霊廟を登りきった瞬間、
「主役は遅れてやって来るもの。
ただいま、皆」
霊廟全体にシャルロットの声が響く。
「さて、申し訳ないけれどもこれから世界を巻き戻して、めでたしめでたしに向かうようにさせてもらう。
じゃあ、先に行っているよ」
声が終わった瞬間、
世界は″無かったこと″になった。
巻き戻るのはシャルロットが生まれる7年前。
これからはその世界の話をしよう。
取り合えずここからシャルロットが生まれる7年前に戻ります。
もう少しお付き合いください。
後編はもう何話か先にあります。




