頂上決戦~ジークフリートvsユリーカ~
ついに最終章突入!
準決勝第二試合はユリーカの勝ちで終わった。
魔法使いが、軽く剣を扱えたせいで少し苦戦をしたが、それだけだった。
危なげなく勝利し、ジークと並んだ。
ーーーーーー
「決勝戦、始め!」
ジークとユリーカが相対する。
「さて、私はあのシャルロット・パルーシャと戦いたいの。
だから、負けてもらうわ!」
「悪いが、さっきも言っ通り、俺にもやることがあるんだ。
諦めてくれ」
そのまま、両者が向かい合い、数分が経った。
「やあああ!」
始めに斬りかかったのはユリーカの方だった。
地面を嘗めるように疾走。
そのまま隙のない一閃を繰り出す。
それをジークは危なげなくかわす。
一度後ろに大きく跳び、そこから一気に突進。
ほんの一瞬の隙に刀を薙ぐ。
しかし、刃はあと一歩のところで間に合わず、ユリーカのレイピアで受け止められる。
そのまま一進一退の攻防が続く。
ユリーカが突き刺し、その隙をジークが突いていく。
しかし、決定打にならずに時間だけが過ぎていく。
最初の一撃に使わなかったせいで、ジークも魔力がある程度残っているが、それも少なくなってきた頃、ユリーカも魔力がつきかけていた。
両者の間に緊張の糸が張り詰める。
次の一撃で決める、と言う気概がひしひしと感じられる。
最後も、先に動き出したのはユリーカ。
突き出したレイピアは赤と青の魔力を纏いランスのような見た目になっている。
それを、体を左にずらし刀で反撃しようとする。
しかしユリーカは刀を無理やり右手で掴む。
そのまま左で殴ろうと踏み込んだところを、ジークが体をぶつけながら体勢を崩し、右足を振り上げ足を払う。
倒れたユリーカの顔の前にジークが拳を突きだし、決着がついた。
「勝者、ジークフリート!」
しん、と静まり返る開場。
それもそうだろう。
貴族の娘と平民の息子が戦って、しかも平民の息子が勝ってしまったのだ。
普通ならばあり得ず、観客がどういう反応をすれば良いのかが分からないのだ。
しゃーない、ここは俺がどうにかしよう。
「ジークフリート、見事だった。
しかし、ユリーカの健闘や、その前までの試合も素晴らしかった。
なので、優勝者のみの予定だった私との決闘を、準決勝以上に参加した全員としようじゃないか」
脇にいるアリーシャから上着を受け取り、そのまま地面に降り立つ。
「先ずはジークフリート、どこからでもかかってきなさい!」
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その後、ユリーカ、オーベロン、アリスの順番で戦う。
とは言え、殆ど一方的になってしまったが皆満足そうにしていたので、大丈夫なのだろう。
「それで、いきなり何の用だ?」
目の前の白玉に聞く。
ここは懐かしの場所。
そう、転生前に俺がいた部屋だ。
『いや、一番最初に君にしてほしいことは無いと言ったじゃないか。
少し用事が出来てしまってね』
「用事?」
その疑問に白玉が無言で壁に映像を写す。
「これは?」
『魂魄龍プシュケー。
これを君に封印してほしい』
なるほど。
「だが、何故俺に頼む?
お前は全知全能の神だろう?」
『それは勘違いだよ。
僕は神ではあるが全知全能ではない。
世界からほんの一部の権利を譲渡された、概念に過ぎない』
ようわからん。
『僕は全知全能出はないからどうにも出来ない。
だから君にどうにかしてほしいんだ』




