御前試合
翌日の朝。
学園の決闘ホールは人で賑わっていた。
そこの真ん中の一番下の席。
そこに俺たちはいた。
と言っても、いるのは王様、王妃様、パルーシャ公爵家一堂だけ。
まあ、この国の権力の殆どはここに集まっていると言っても過言ではないが。
「ねえ、姉上。
俺も参加してもいいかな?」
「天使姉様、私も参加したいです!」
全く。
リアもトレイズもやんちゃな盛りだな。
理由は聞いてみたら、新しい武器を使ってみたいらしい。
いや、相手が死ぬからね?
ーーーーーー
「第一試合!両者、始め!」
一番最初は全く聞いたことのない生徒が二人。
長々と詠唱をして、その割にはショボい魔法をぶつけ合って、終わり。
「なんだか期待と違う……」
残念だ。
もう少しすごいものを予想してたのに。
次に出てきたのは二人とも剣士。
剣を構えると開始の合図がかかる。
そのまましばらく見あっていると、片方の剣士が切りかかる。
それを剣でそらしながら下がるもう片方の剣士。
そのまましばらく攻防を続けると、最後に先に切りかかった方が剣をそらし損ねて切られる。
その後は段々と試合の時間が延びていく。
さらに、技もさっきのようなチマチマしたものではなく、たとえば拳があたると爆発して相手を吹き飛ばしたり、剣から衝撃波を飛ばしたりと言うものに変わっていった。
ーーーーーー
二時間ほどたった後。
ついにジークが現れる。
腰には俺の貸した刀。
相手は魔法使いのようで、手に魔導書を持っている。
初めの合図がかかった途端、相手の魔法使いが倒れる。
反対には刀を振り抜いたまま止まっているジーク。
これが最後に俺が教えた方法。
どうしてもジークは相手を観察することが苦手だと言うことで、相手が動く前に倒す、先手必勝の抜刀斬りを教えた。
魔法は殆ど使えないと言うことらしいから、魔力を全て身体強化に回す。
そしてそのまま振り抜き、衝撃波を出す。
それだけのシンプルな技だが、だからこそ正面から受け止めるかかわすしかない。
今回は相手は魔法使いだから、かわすこともできずに真っ正面から受けてしまったと言うわけだ。
なかなかうまくいく戦法だな。




