灼熱と深紅と火炎と少女
領に着いた俺たちは、とある報告を受けた。
災龍、粉塵龍インフェルノ。
災龍とは、冒険者組合により設定された特S級生物のこと。
今設定されているのは、
凍河龍コンゲラート。
魂魄龍プシュケー。
刀刃龍グラディウス。
賢帝龍ストゥデアーレ。
そして、粉塵龍インフェルノ。
この五柱。
これを知って驚いた。
ツッコミ所満載。
龍なのに柱で数える。
柱で数えるのは神様だよ‼
他にも、
インフェルノ…煉獄、イタリア語。
コンゲラート…氷結、ラテン語。
プシュケー…魂、ギリシャ語。
グラディウス…剣、ラテン語。
ストゥデアーレ…探求する、イタリア語。
嗚呼、前置きの何たら龍と意味が違う。
言語が違う。
これは召喚された勇者が付けたらしいが、勇者、絶対に中二病だな。
まあ、その粉塵龍が来た。
イメージはモン○ンの古龍みたいなもの。
定期的に縄張りを徘徊し、町を壊していく。
更に、災龍には固有魔法というものがある。
粉塵龍の固有魔法は‘宝珠・雨降らし’。
胸にある宝珠を光らせ、辺りの火精霊を殺し尽くし、その遺骸を焔珠として降らせる。
焔珠に触れると相手の魔力を吸い、炎を撒き散らすらしい。エグい。
まあ、それが来た。
普通なら侵攻先の町の人は命からがら逃げ出すらしい。
慌てふためく領主館を、父のもとに向かって歩く。
「おお、シャル。どうした?」
父が話しかけてくる。
「お父様。少し散歩に行ってきます」
「寄り道はするのか?ならば私の杖を貸そう。気を付けてこい」
流石親子。
やりたいことは筒抜けらしい。
一度部屋に帰り、荷物を持つ。
部屋に弟と義妹が駆け込んでくる。
「お姉様‼いくらお姉様でも無理です‼」
流石弟。
やりたいことは筒抜けらしい。
でも。
カチンと来た。
「私が信用出来ないと?」
つい、声が低くなってしまった。
確かにトレイズが心配するのもわかる。
でもまあ、
「私は少し怒ったから、憂さ晴らしに蜥蜴を虐待してくるよ」
さて、蜥蜴。
俺の憂さ晴らしに、サンドバッグになってくれ。




