黒髪の天使(続・図書館の黒姫)
ついにヒロイン?登場です!
黒髪の天使がいた。
黒髪、日に当たらないせいか、とても白い肌。此方を見る漆黒の瞳。
まるで、絵画から出てきたかのような少女だった。
少女は此方を見ると、
「天使?」
と、ボソッと呟いた。
それにしても、中身男の幼女をみて天使とは。
「ねぇ、天使さん。この本読めますか?」
渡してきたのは分厚い本。
表紙には『王国史 一巻』と書かれている。この国の古語で。
「父上と母上に頼んでも読めないらしいの。天使さんは読める?」
国王様とお妃さまは古語読めないんですね。
「ああ、読めるよ。教えてあげようかい?」
ちなみに、俺はこの世界のあらゆる言語の古語まで極めました。
ベッドで寝るだけなんて詰まらないからね。
少女はコクコクと頷くと、紙の束とペンを渡してきた。
「先ずは表紙から。この文字は今の…」
この世界の古語は複雑だ。
何せ今の言葉とは文字から違う。
それをこの少女は覚えようというのだ。
並の人間に出来ることではない。
それが出来るのは私のような暇をもて余した人か、余程の知識欲がある人か、この少女のように何かの覚悟がある人間か。
まあ、どうにしろ頭のネジが二、三本外れている人だ。




