大貴族総会
「如何致すのですか⁉陛下‼」
少し薄暗い大会議室に、マール宰相の声が響いた。
その問いに対し、国王が回りを見渡し、口を開いた。
「どうにか出来ると思うのか?」
会議室は重い沈黙に包まれた。
当たり前だ。この国の誰がどうにか出来ると言うのか?
国王は公爵に頭が上がらず、どうにも出来ない。
完全なる縦社会の貴族達にどうにか出来るものか。
その時、カーメルン伯爵が言った。
「城で育てるのは…」
伯爵は最後まで言えなかった。
ギョロリとトーマス公爵に睨まれるとそのままふっと気絶してしまった。
周りの貴族は気絶してしまった彼を心の中で褒め称えた。
そう。
そうするのが一番なのだ。
国に仇為さないように国で育てる。
これが、例えば伯爵ならば出来たであろう。
いや、どんな貴族でも出来ただろう。
ただひとつ、パルーシャ公爵家を除いて。
彼らは思う。
もし見方ならいい。
これ程心強い見方はいないだろう。
ただ、敵ならば。
あり得ないほどの大魔法を、あり得ないほど連射して、更に余りある魔力。
そう。例えるなら原爆。
シャルロットという飛行機は、軍隊1つ簡単に吹き飛ばせる原爆を沢山積んでいる。
そして、それを絨毯爆撃出来るのだ。
ずっと静かに聞いていた女王陛下は沈黙を破るように口を開いた。
「あんな可愛い子が敵な訳がないわ」
周りの貴族が頷いた。
そう。この大貴族総会が始まり、すでに10時間。さっきの会話が始まったのはほんの10分程前。
それまでの間何をしていたかと言うと、ずっと映写魔宝石を使用して『シャルロット成長日記』を上映していた。
最初は不満げな顔をしていた貴族達は段々孫をみるお爺ちゃんの顔になっていった。
最後の方などは前国王は「わしの孫にする‼」と言って、前公爵(お爺ちゃん)がキレて変な大乱闘が起こったりした。
既に貴族達はシャルロットに骨抜きにされていた。
特に弟が出来たころ、急に大人っぽい口調になった辺りは、皆がほのぼのした目で見ていた。
ーー大貴族総会の結論ーー
シャルロットは孫可愛がりしよう。
シャルロットのお爺ちゃんが増えた。
そんなお話でした。




