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「はい、今日は召喚の儀に備えての授業を始めます。」
特別授業と称して、ルークたちは一つの部屋に集められた。
普段使っている講義室とは違い、何もない箱だけの教室だ。
その中央には、3つのテーブルと、大きな透明の球が置いてある。球は、傷がつかないようにクッションのようなものに置かれていた。
「これ、何?」
渋々、監視付ということもあり真面目に授業には参加をしているルークだが、中身はさっぱりである。
隣にいるサイラスに聞いてみると、案の定彼は呆れる。
「何って、今先生が言っただろ?召喚の儀に備えての授業」
「あの透明な球は?」
「あれは、水晶。あれに触れると魔力の量と属性がわかるってやつ」
「へぇ・・・」
「最終段階で自分の魔力量と属性にあった召喚獣が現れるから、知っておかないと大変だろう?」
「ふーん・・・」
ルークは、どこか他人事のように水晶に目を向ける。
あんな球で、魔力量なんかがわかるなんて、本当だろうか?
若干疑いたくもなる。
「皆は、大体の自分の持つ魔力については把握しているな?」
教師の問いかけに生徒たちは頷く。
担当は、クラス担任であるハウザーだ。
柔らかな雰囲気だからか、生徒たちの反応は大きい。
(自分の持つ、魔力か・・・)
ルークは、ハウザーの言葉を反復しながら思案する。
自分の魔力量は、そこそこで、属性は火だと思う。しかし、それ以外は全く分からない状態だ。
「今日は、召喚の儀が間近に控えている。最終の自分の魔力量と属性を再度確認し、どのレベルの召喚獣が出てくるかを把握しておくように。」
「はい、先生ー」
一人の生徒が、挙手をする。
ハウザーは、一つ頷いてその生徒の名前を呼ぶ。
「なんだ?リリー」
「どんな召喚獣を喚ぶことができるかもわかるのですかー?」
「いや、レベルまでは分かるが、どんな召喚獣かは知ることは出来ない。召喚獣は、とても種類も多く、記録にも残っていないものが多いからな」
(じゃあ、召喚してのお楽しみってやつか・・)
少なくとも、どのレベルが出てくるかがわかれば良しなのだろう。
「では、順番に水晶の前に立つように。記録にも残すからな」
その合図と共に、生徒たちは水晶の前に列になる。
教室の隅の方にいたルークとサイラスは、すべての生徒が並んでからゆっくりと最後尾に並ぶ。
「はーなんだか緊張してきた」
自分の胸に手を置きながらサイラスが言う。
「緊張?」
「だって、魔力量少しでも伸びているか気になるだろう?」
減ることはないけど、そのままだったら哀しい。
「しかも、どのレベルかわかるし」
上級は、無理だと思うからせめて中級レベルまであったらいいな。
サイラスは、水晶の方に目を向ける。
今丁度、一人目の測定が終わったようだ。
遠目に見える色は、青。
「えーと、イリスは、属性水。魔力量は・・・・下級Cだな」
「下級・・・C?」
がっくりと肩を落としているイリスは、Cという言葉に首を傾ける。
「あぁ、言ってなかったな。それぞれAからCまで分かれている。そのまま、Aが高くCは低い」
「・・・・C・・・」
それを聞いて、さらに落ち込んだイリスは、よろよろと教室から出ていってしまった。
下級で、しかもCと言われてしまえば落ち込むのは仕方がないだろう。
「階級でさらにランクが分かれてるのか・・・怖いな」
出来るなら上がいいよなぁー?と言葉を投げられて、そうだな、とルークは頷く。
ルーク自身は、それなりだったら別にいい。
師匠バジルドに雷を落とされない程度に・・・・。
彼の基準がどこかなんて、知りたくはないけれど。
(あぁ、もしかしてこの授業の結果もパメラス教師から師匠に報告されるのかな・・・)
なんて監視役がついてしまったのか、とルークはため息をついた。
「?ルーク、どうした?」
「いや、なんでもないよ」
首を傾けるサイラスに、ルークは首を振った。
それから、次々と測定が終わっていく。
自分たちの番が近づいてきた時、歓声が上がった。
「?」
サイラスと顔を見合わせてのぞきこめば、ジンの測定の番だった。
「----上級C・・・さすがだな。ジン」
ハウザーは、感嘆しながら記録していく。
ジンは、水晶をぼんやりと眺めている。
「上級C・・・風・・・」
今の所上級が出たのはジンのみだ。いつもの彼ならば喜んでいるはずだのに、様子がおかしい。
「ジン?どうした?」
「先生、Aにはなれないのですか?」
「これからの精進で伸びるかもしれないが・・・・確証はないな」
「そうですか・・・」
どこか落胆したような面持ちで、ジンは出ていった。
「・・・なんかおかしくないか?」
「さぁ・・・」
「興味持てよ」
クスクスとサイラスは笑う。
その後、ジンの後にカイトが同じく上級Cを出し、大いに部屋の中を盛り上げあげ、後はサイラスとルークの二人だけになる。
部屋の中にはほとんど生徒は残っていない。
皆、自分の能力値に喜んだり、落ち込んだりと様々で、他人を気にする余裕はないようだ。




