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珠巡り  作者: 桜咲 雫紅
三章 兆候
102/108

雪花の記憶 肆

お久しぶりでございます。皆さんお忘れかもしれませんが、桜咲でございます。

季節外れにもほどがありますが、“雪花の記憶”これにて終幕となります。

彼の過去はもう少し簡潔にまとめる予定だったのですが、作者の悪い癖が発動しまして本編差し置いてどんどんのめり込んだ結果こんなに長く…

次回から出番がなかった主人公がようやく暴れまくります。

それではどうぞ、白く淡い過去の中へ。



失くしたものばかりではなかった


得たものもちゃんと、この胸にあった


それに気づくのが遅すぎただけで、沢山のものをもらっていた


だから、伝えたかった


大切な君へ






「・・・ぅ・・・」


何の前触れもなく浮上した意識。ゆっくり目を開けると歪んだ視界一杯に広がる鉛色。悠紀は何度か目を瞬いて歪みを取り去ると血に染まった右手を曇天へと伸ばす。


「僕は・・・・・・」


貫かれた箇所に反対の手を置く。そこに傷跡らしきものはない。凛々しい顔がくしゃくしゃになる。


「ッ・・・姉さん」


喉の奥から絞り出した声は大きな悲しみを(はら)んで揺れていた。体内を駆け巡る、今まで以上の異能量。その異能を通じて流れ込んできた、姉の最期の願い。


目尻に熱いものが溜まる。それを感じ取った悠紀は目元を強引に拭い、体を起こす。このままずっとここにいるわけにはいかない。こんな所に海紀達を寝かせとくわけにはいかない。


寄り添うように倒れている海紀と氷瀧を見つめ、姉の体をかき抱く。彼の抑え切れない激情に呼応するように薄い氷が亀裂の入ったコンクリートを這い広がる。


「氷・・・」


小さな声が相棒を呼ぶ。呼ばれた氷は悠紀の肩に止まり、気遣わしげに彼の横顔を覗き込む。


『悠紀・・・』


「外から誰か呼んできてもらえますか。異常に気付いた誰かが来てるかもしれません。いなかったら氷瀧さんの両親をここに」


感情というものがまるで感じられない硬質な声に、氷は少し間を空け、答えた。


『・・・わかった』


余計なことは何も言わず氷は飛び立つ。慰めの言葉も、安い同情の言葉も、今の彼は望んでいない。彼が望んでいるのは・・・。


「・・・・・・悠・・・」


氷が飛び立った数秒後、吐息のような声が悠紀の鼓膜を震わせた。はっと目を見開いて視線を落とすと、薄っすらと開いた瞼から覗いた光を失いかけている紺色の瞳が悠紀を見つめていた。


「氷瀧・・・さん・・・」


「・・・海紀・・・・・・は・・・?」


その問い掛けに、悠紀は力なく首を横に振ってみせる。氷瀧は隣で眠っているように目を閉じている海紀へ手を伸ばし、愛しそうに優しく頬を撫でる。


「お前は、護ってやれよ・・・」


黙ったままの悠紀。それを気にした様子もなく氷瀧は言葉を続けた。


「俺はっ・・・護って・・・・・・やれなかった・・・・・・」


彼女の気持ちを知っていた。知っていたからこそ、止めることなど出来るはずもなかった。彼女の思いを痛いほど理解できたからこそ、止められなかった。


止められるはずが、なかった。それは、彼女の信念を曲げる事を意味するのだから。


惚れた弱みってやつだな、と乾いた笑いと共に吐き出された言葉はひどく温かかった。


「お前の、姉さんはッ、俺の・・・自慢・・・・・・の、彼女だ・・・ょ・・・」


本当に短い間だったが、海紀と共に過ごせた日々は彼にとって他の何よりもかけがえのない大切な宝物として心に刻まれていた。彼女と出会えたからこそ、今の俺はある。心の底からそう思える。



――――「愛してるわ、涼ちゃん。あなたは生きて・・・」



彼女の最期の言葉が耳の奥で、心の中で、優しく響く。氷瀧の眦に透明な雫が溜まり、瞬きと共にこめかみへと滑り落ちていく。



――――海紀。俺もお前の事を・・・。



悠紀は黙って氷瀧の言葉を聞きながら、異能を伝って流れ込んできた海紀の最期の思考を読み取る。彼女は氷瀧と出会えたことを、短い間でも氷瀧と愛し合えたことを、とても幸せだと感じているのが伝わってきた。


姉さんは心の底から氷瀧さんのことが好きだったんだ。なのに・・・。


「・・・・・・ゆ・・・・・・き・・・、一つ・・・・・・・・・訊いて・・・・・・い・・・・・・・・・か・・・?」


その声を聞いて時が少ないことを悟った。悠紀は氷瀧に気付かれないように乱れそうになる呼吸を、溢れそうになる思いを、無理矢理抑えつけ、表に出てこないように蓋をする。


「何?氷瀧さん」


氷のように冷たく、温度というものを感じない声はとても子供のものとは思えなかった。けれど、その瞳は言葉とは対照的に多くの感情を映し出していた。


「・・・っ・・・れのこと・・・・・・兄貴って・・・思ってて・・・くっ・・・・・・た・・・・・・・・・か?」


氷瀧を見て、兄とはこういうものだろうか、と感じたことが何度もあった。でも、そんなことを言ったら氷瀧が迷惑がるだろうと思ってずっと言えなかった。


冬空色の瞳が(うる)む。込み上げてくる熱いモノを感じながら彼は頷いた。


「はい。氷瀧兄さん・・・」


もし、自分にもう少しの勇気があったのなら、もっと早く氷瀧を兄さんと呼べたかもしれないのに。


本当の最期に初めて呼ぶことにならずにすんだのに。


もう二度と呼べないと思い知らされなくてすんだのに。


「――――・・・そ・・・っか」


吐息のような声がとても嬉しそうな響きを含む。それがどうしようもないほど切なく、悲しい。


氷瀧の色を失った唇が五文字を紡ぐ



――――愛してる、海紀。



それは音になることなく、雪のように儚く散っていった。


「僕は・・・」


言葉にならない感情が渦巻く。彼の体を起点に冷気が渦を伴って巻き上がる。


「僕っ・・・・・・は・・・」


こんな未来のために、僕は姉に異能(いのち)をもらったのではない。


僕はこんな世界を願ったのでも、祈ったのでも、望んだのでもない。



俺が望んだのは・・・。



冷気が鋭利な刃に姿を変え、建物を破壊していく。


『悠紀!連れてきたぞ』


氷点下の暴風が吹き荒れる中、風に(あお)られながらなんとか悠紀の肩に降り立った氷が風の音に負けないように声を張り上げる。


その声も、今の悠紀には届かない。脳に届いていても、凍り付いてしまった心には響かない。


蒼燕そうえん 悠紀君!」


たいして大音量ではないのに、その叱声には不思議と人を惹き付ける何かがあった。導かれるようにして声のした方へのろのろと目をやった悠紀の視界に入ったのは、一人の男性だった。


氷点下の暴風の中を一歩一歩確かめるように進んでくる男の体を守るように炎が周囲を渦巻いている。炎の渦の隙間から見えた瞳は桜色で、暴風に遊ばれてる髪は漆黒。見たことのない人だ。


「君が蒼燕 悠紀君だね」


暴風にもまれながら悠紀の元へ辿りついた男性の第一声がそれだった。凍りついた眼差しで男性を見据えた悠紀の唇が動く。


「誰ですか?」


「天空 大斗。この氷の刃は君の異能だね?」


問い掛けに答える声はない。ただ凍て付いた薄氷の瞳が静かに大斗を映し出している。大斗は彼の腕の中にいる少女と彼女に寄り添うようにして目を閉じている少年に目を移す。その目が微かに見開かれ、薄く開かれた唇がわずかに動く。呟かれた言葉は風にさらわれて悠紀の耳には届かなかった。


「異能を、抑えろ」


立ち尽くしている悠紀の肩に手を置き、膝をつく。そうするとちょうど目線が同じになり、悠紀は彼の顔を間近で見る。澄んだ桜色の瞳と、真剣なその表情(かお)を。


「このままではすぐに異能(いのち)が尽きてしまう」


「それで・・・いいよ」


何もかもを諦めたかのような声音。凍りついた瞳が何の感情も宿さず静かに大斗を見つめ返す。


「姉さんと氷瀧さんがいない未来(せかい)なら、生きていたって意味ない」


「――――本当に、そう思うのか?」


肩に置かれた手に力がこもる。その痛みに顔をしかめることも、その手を払いのけることもしない。全ての感覚が凍り付いてしまったかのようだ。


「君は、本気で、そう思っているのか?」


「思ってる」


区切りながらの大斗の言葉に無機質な声で答える悠紀。淡々とした答えを聞いた瞬間、大斗の大きな手が悠紀の胸倉を摑んだ。


「君は、本当にそれでいいのか!」


「だって、二人とも死んだんだ!」


間近で怒鳴られた悠紀は弾かれたように顔を跳ね上げ、大斗が来てから初めて胸の内を荒れ狂う感情をさらけ出して怒鳴り返した。胸倉を摑んでいる大斗の大きな手を自分の手で引き剥がそうと暴れる。


「俺がいたから、俺が弱いから、俺のせいで、姉さんも氷瀧さんも死んだんだ!!そんな俺が、これから先、どんな顔をして生きてけばいいってんだよッッ!!!」



どうして、俺が生きている。



心の中で荒れ狂う激情を剥き出しにしてただ叫ぶ。頬を新たな雫が伝い、氷の刃が彼の感情に呼応するように暴れまわる。


「俺さえいなければ、姉さんと氷瀧さんはずっと一緒にいられたんだ!!」



何故、姉さんと氷瀧さんが死んでいる。



言ってもどうにもならないことなんて理解している。


今さらどれだけ後悔しても、泣き叫んでも、時は戻ってはくれないなんて、わかってる。


「俺に力があれば、俺がもっと強ければ、姉さんと氷瀧さんは死ななかったッ!!」


それでも、思わずにはいられなかった。



何で、俺だけがここにいる。



それでも、言わずにはいられなかった。


「俺が間違えなきゃ、姉さんと氷瀧さんがこんなことになることもなかったんだッッ!!」



なんで、この世界に二人がいないっ。



運が悪かった?・・・違う


こうなる運命だった?・・・違うッ



理由は唯一つ――――自分が弱かったからだ



「俺がいなけりゃ、二人はこの先ずっと一緒に生きていけたんだッ!!!それを、俺が、壊したんだ!!」


一人称が僕から俺へと変わっている。口調もいつもの悠紀らしからぬ話し方だ。それに気付いた様子もなく悠紀は込み上げてくる激情のまま叫び続ける。


「俺はこんな未来のために、異能(ちから)を使ったんじゃない!!俺が望んだのは――――」



望んだのは、ただ一つのことだったのに


ずっと三人でいたかった。ただそれだけだったのに



その願いすら叶わないのか。その祈りさえ届かないのか。その望みさえ伝わらないのか。


そんな世界なら。


「二人のいない世界なんて、俺にとって、何の価値も、意味もないっ!!」


ずっと一緒だと思ってた。一緒に年を取って、いつか同じ頃に命を終えるのだと、ずっとそう思ってた。離れることなどないと、無邪気に信じてた。


僕は姉さんで、姉さんは僕。二人で一つだった。いつも、誰よりも、近くにいた。なのに・・・。


いつの間にか曇天の空から白い雪が降り始めていた。ひらひらと舞い落ちてくる白い結晶が涙で滲んだ視界を過ぎる。



――――「二人で一人の相棒?」



幼い声が耳の奥ではじける。あの日もこんな季節外れの雪の日だった。



――――「そうよ。『絶対零度』は私達二人に相棒いるでしょ?でもこの異能、『氷結晶』は違う。この白龍だけ。私達二人の相棒よ」


「僕達の?」


「ええ。だから、二人で名前をつけましょう」


そう言った姉はすぅ、と目線を上げ、曇天の空を見上げた。



気がつくと吹雪は止んでいた。あの日の姉と同じように、悠紀は空を見上げた。


「・・・っ」


空から舞い降りる、白い花。この花が、切ないくらい悠紀の心を締め付ける。



――――「決めた」


天へ伸ばされた、真っ白な繊手(せんしゅ)。その手の先に白い花がはらはらと舞い降りてくる。


「六つの花びらのようでしょ?だから――――」



六花(りっか)・・・」



――――「いい名前ですね」


「でしょ?この白龍()の名前は六花。決まりね」


「はい」



緩やかな風が白い花を天へ舞い上げる。まるで、悠紀の声に反応したかのようだ。


暴走していた氷はいつの間にか鎮まっていった。動きを止めた悠紀の胸倉から大斗はそっと手を離す。


「六つの花、か。いい名前だね」


支えがなくなった悠紀の膝はあっけないほど容易く折れ、彼はその場に両膝をついた。


「・・・僕の姉さんが、僕らの相棒につけた、名前です」


小刻みに震える悠紀の肩にいつの間に出てきたのか白龍が乗っていた。


「そうか。なぁ、悠紀君。大切な人を亡くすのは辛い。その気持ちは痛いほどわかるよ。俺も少し前に・・・」


大斗の語尾が震えた。彼は咳払いすると気を落ち着かせるように数秒目を閉じ、目を開くと続きを話す。


「一人、失くしてしまった。だがな、俺は死なずにここにいる。俺が死んだらあいつが悲しむのもあるが、他にも理由がある。あいつはいなくなってしまった。でも、俺の中であいつは生きてるんだ。目を閉じればいつだってあいつに会える。だから、今まで生きてこれた。これからも、生きていける。俺達までも死んでしまったらあいつと過ごした時間を思い出すことは誰にも出来なくなってしまう。俺達が死んだら、俺達の中で生きているあいつをもう一度殺すことになる。だから、俺は生き続ける。あいつの生きた時間を、あいつとの思い出を、忘れたくないから」


似たような言葉を、海紀(ねえさん)も言っていた。



――――「もし、私達の誰かが先に逝ってしまったとしても、それは決して別れではないわ。だって、私達の思い出は、私達の生きてきた時間は、ずっと私達の中で生き続けているのだから。私達が生きている限り、私達は私達の中で生き続ける。だから、挫けずに生きて行ける」



ふっと視界へ舞い込む白い雪。目線をあげると、はらはらと舞い落ちてくる冬の忘れ物、忘れ雪。



――――「もう一つだけ、お願いしてもいい?――――私を忘れないで」



異能と共に流れ込んできた、姉さんの最期の願い。


姉さんと氷瀧さんは逝ってしまった。でも、僕は生きている。僕が生きている限り、姉さんと氷瀧さんは僕の中で生き続ける。僕が出会った全ての人との思い出は、僕が生きている限り、ずっと僕の中で生き続ける。


「君は言ったね?「二人がいない世界なんて、生きてる意味ない」と。君のお姉さんは亡くなってしまった。でも、君は生きている。君のお姉さんは、君に後を追ってほしいから亡くなったのかい?違うだろ。君に生きてほしいから、君達に生きててほしいから、そのために命を懸けたんじゃないのか?君はその思いを否定するのかい?」


その言葉に、悠紀は力なく項垂(うなだ)れる。そんな悠紀を前に大斗は頬をかいて苦笑いする。


「君のお兄さんはまだ生きてる」


顔を跳ね上げ、食い入るように大斗を凝視する悠紀。今、なんて言った?氷瀧さんが、生きてる?


「私の相棒がなんとか命を繋いだ。君のお兄さんは助かるよ、悠紀君」


安堵(あんど)と喜びが交じり合って押し寄せてきた。起こしていた上体から力が抜け、悠紀は前のめりに倒れかけた。支えるために前に出された両腕は何の役にも立たず、このまま地面に激突するかと思われた彼の体は逞しい腕に抱き止められた。目をあげると、惹き付けられるような笑みを浮かべた大斗がいた。


まるで太陽のように温かく、包み込むように優しく、どうしてか安心する柔らかい笑顔。


凍て付いていた瞳からぽろりと涙が零れ落ちた。


「帰ろう。悠紀君」


戸惑いながら、悠紀は大斗へ手を伸ばした。












そっと瞼を開けた悠紀は空を仰ぐ。あの日からしばらく雪を見ることが苦痛だった。今も雪を見ると胸が痛むが、前ほどはつらくない。


立ち止まっていても何も変わらないと知ったから。


立ち止まっていても何も始まらないと教えられたから。


この先たくさんの傷を負い、痛みや苦しみ、悲しみ、絶望に襲われるだろう。それが人生というものだ。逆に言えば、傷も負わず、絶望しない人生(みち)などない。


それでも、生きていれば、諦めさえしなければ、何度でも立ち上がれる。


悠紀の心には今も消えない傷と、深い喪失感がある。


だが、それを和らげてくれる仲間達に出会えた。


失ったことで穿(うが)たれた傷は、きっと生涯消えることはない。


それでも、彼女がくれた命に恥じないように、彼女の残してくれた言葉を無駄にしないように、生きて行きたい。


「姉さん・・・」


空に向かって左手を伸ばすと、普段は隠れているブレスレットが袖から零れ出る。雪のように白い剣が陽光を受けてきらめく。それを眩しげに見つめ、悠紀は体を寝かす。


「氷瀧さん」


半死半生の状態だった氷瀧はすぐさま病院に搬送され、緊急手術が行われた。一命を取り止め、後遺症もなく、今も元気に生きているらしい。


あの日以来、悠紀は氷瀧には会っていない。会いたい気持ちはもちろんあるが、会ってどうするんだと心の中で囁く声がする。


彼は最愛の人を亡くし、自らの命すら失いかけたのだ。そんな彼に、どういう顔をして会いに行けばいいのかも、何を言えばいいのかもわからなかった。


この空の下で、幸せに生きていてほしい。それだけを切に願う。


「六花」


風にとけてしまうほど小さな声で呼ぶと、空の伸ばした左腕に巻きつくように白龍が姿を現す。悠紀と同じ冬空色の瞳が静かに彼を見つめ返す。


『我を呼んだか?我が主よ』


「姉さんは、後悔していなかったか?」


あの日からずっと聞きたかった言葉。姉は後悔していなかっただろうか。自分の命を捨てて、僕を助けたことを。


白龍は身体をくねらせ空を仰ぐ。


『嗚呼』


目頭が熱くなった。伸ばした手を下ろして目を隠し、熱いものを見られないようにする。


「そうか・・・」


こめかみを温かいものが滑り落ちていく。それを感じながら目を閉じる。頭の片隅で姉の微笑が浮かんで消えた。



――――「どんなに遠くにいても、どんなに離れてしまっても、私はずっとあなたの傍にいるわ」



彼女からもらった異能ちからが不思議と熱を持った気がした。

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