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救急車を呼ぶのは3回目だけど心臓バクバクしちゃった話  作者: 夏目 碧央


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入院病棟へ。まるで人形

 しばらくして、処置室からベッドに乗せられた次男が出てきた。相変わらず、管を通すと首が不動の状態で、青ざめた無表情の顔で出てくる次男。女性の看護師さんが1人でベッドを押している。東病棟の6階に入院が決まったそうだ。一緒に来てくださいと言われ、荷物を全て持ってベッドの後ろから付いて行った。

 エレベーターを待つ間、人形のように不動で無表情の次男を見て、髪の毛(肩まである)があまりにボサボサなのが気になった。そりゃ、髪の毛になんて構っていられないだろう。

「なんか髪の毛が……。」

私がそう言って次男の髪の毛を指で梳くと、次男はちょっと目を伏せた。気持ち良さそうにも見えるし、目に入りそうだっただけにも見える。しかし、指で梳いても全く効果なし。ボサボサというよりも根本がチリチリだ。

「縮毛矯正が取れちゃってるんだね。先の方はサラサラなのに。」

私がそう言って毛先をさらさらっと撫でると、にこやかに見ていた看護師さんが、

「そうなんですか?」

と言った。多分。そう言ったと思う。幼子を一緒に見守っているような図になっているが、看護師さんは次男とあまり年が変わらないように見える。そして、思わず可哀そうな我が子の頭を撫でてしまっているが、無精ひげが生えている息子にそんな事をしている自分が一瞬恥ずかしくなった。次男はかなり童顔なのだが、髭は生える。これは仕方がない。最近剃っている場合ではなかったし。

 エレベーターで6階まで行くと、私は病室には行かずにゲストルームで待たされた。前回と同じなので分かっている。そして、今ベッドごと次男を運んでくれた看護師さんは、自分は1階の担当なのでこれで戻りますと言った。

「ありがとうございました。」

と、私。挨拶は忘れずにね。私が薄暗いところで新聞を読んで待っていたら、誰かが部屋の電気を点けてくれた。その内別の看護師さんがやってきて、入院の説明を受けた。入院セットは申し込まないと決めているのでお断りし、

「病室に行っても大丈夫ですか?」

と聞いたら、

「大丈夫ですよ、ぜひ行ってあげてください。」

と言われた。1時50分だった。病院に着いてから2時間40分ほど経っている。

 病室は大部屋。前回は窓際のベッドだったが、今回は廊下側だった。カーテンに囲まれている中へ入ると、次男はほぼ直角に起きあがったベッドに腰かけ、うつらうつらしていた。舟をこいでいたわけではなく、相変わらず首は不動のまま、目をつぶったり時々開いたりしていたのだ。鼻からはチューブ、胸からは心電図の管、手には点滴。たくさんの管に繋がれて、声を掛けてもチラッと目を開けだけですぐにつぶってしまう。可哀そうだが、これも記録しておこうと思い写真を撮った。前回は写真を撮る余裕がなかったが、今回は初めて撮った。テーブルの上にはいつ吐いてもいいようにビニールが掛けられた容器も置いてある。初めて入院した時には、管がどうしても気持ち悪くて夜中に履いたと聞いている。ああ、可哀そう。代わってあげたいとは思えないが。

 看護師さんが来て、点滴の薬を入れてくれた。

「どうですか?変わりましたか?」

と次男に呼びかけている。次男は小さな声で、

「少しいい。」

と言ったように聞こえた。他にも何か聞かれて小さく頷いていた。私が

「もう帰っても大丈夫ですか?」

と聞いたら、あと書類がある、と言われた。まだあるのか。それで、

「お急ぎですか?」

と聞かれたので、

「いえ、大丈夫です。」

と答えたが、もう2時。お昼がまだなのでね。看護師さんは、ずっと息子を見守っていると思ったのかな。まあ、次男が何も食べられないのにお腹が空いた、などとは言えないが。

 それから書類を持って来てもらい、また名前などを記入し、眠っている次男を置いて帰って来た。入院の説明を受けた時、入院に必要なものが書いてある紙を渡されたが、そこに歯磨きセットとかタオルとか食事用のスプーンやお箸などが書いてあるのを見て、なぜ私はパンツだけ持ってきたのかと思っておかしかった。まあ、どうせあの可哀そうな息子を放ってはおけず、毎日顔を見せに来るからいいんだけどね。


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