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救急車を呼ぶのは3回目だけど心臓バクバクしちゃった話  作者: 夏目 碧央


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救急車が来るぞ!急げ急げ

 さて、入院だ。最初に救急車を呼んだ時は、そのまま入院かどうか分からなかったものだが、もう分かっている。入院以外ありあえない。準備をしなければ。すくっと立ち上がった私に次男が、

「その、イヤフォンを抜いて……」

と弱々しく言う。長いコードに繋がったイヤフォンを指しているようだ。その長いコードを辿っていくと、何だか見た事のないパソコン周辺機器に行きついた。だが抜けない。引っ張っていると、2枚並んでいたモニターのうち1枚が倒れてきた。

「うわー、倒れた。でも抜けた。」

と、そこで私のスマホに着信が!救急車からだ。ちょっと、まだ何にも用意が出来ていないじゃないの!

 電話に出た。救急車からで、ピーポーピーポーと聞こえている。

「今××から向かっているので、お時間がかかります。」

と言われたが、どこからなのか聞き取れなかった。でも多少時間がかかってくれて結構だ。準備ができない。

 そこで、また次男の年齢とか住所の確認、何を食べたとか何だか色々と聞かれる。私は自分の部屋に戻って準備がしたくてうずうず。でも、次男に聞く事もあってここを離れられない。自分で歩けるか、マンションにエレベーターがあるかなどと色々とあり、電話はけっこう長い。因みにエレベーターはあるが、前回ストレッチャーが入らなかったと言われた。それも伝えた。

「最後に、〇〇病院の診察券と保険証、病院に行くのでマスクを忘れずにご用意ください。あと10分ほどで到着します。サイレンが聞こえてからで結構ですので、下まで下りてきてください。」

と言われてやっと電話が終わった。よし、10分ね。準備開始!ああ、倒れたモニターは……もうそのままでいいや。

 部屋を移動し、自分のバッグに財布などの出かける用意をし、次男の物を入れる為にもう1つトートバッグを用意して、その中にはお薬手帳とパンツを2枚入れた。お薬手帳には診察券が色々と挟んである。が、肝心のこれから向かう病院の診察券がない。次男の財布かな。財布は次男の部屋にあるはずだ。

 何だか心臓がバクバク言っている。時間がないというのもあるが、なんだかやっぱりまだ慣れない。もう次男の為に救急車を呼ぶのは3回目なのだが。やけに喉も乾く。そうだ、ちょうどミネラルウォーターのペットボトルを箱買いしてあるから、出かける時に1本持って行こう。玄関脇にある。

 トートバッグを2つとマスクを2枚持ち、私のコートを選んで次男の部屋へ。ああ、もうピーポーピーポー来ちゃったよ。アタフタ。

 次男の部屋に行き、財布と交通系ICカード、さっき抜いた長いイヤフォンをトートバッグに入れる。財布の中を見たが診察券が見当たらない。あ、あの子……なかなかマイナンバーカードの更新手続きをしなかったから、未だに新しいカードが手元にない。申請中ではあるのだが、手紙が来るのを待っている状態だった。古い保険証は3月まで使えるらしいが。

―ピンポーン、トントントンー

 来てしまった。救急隊員は勝手にドアを開ける。具合の悪い人が玄関を開けて出てくるのは稀だからね。以前、お隣さんに来た救急隊員が、間違えてうちに入ってきてビックリした事がある。夏だったので、うちの玄関が少し開けてあった為に、勘違いしたそうだ。

 さて、玄関を開けた救急隊員3人。男性。私が、

「すみません、今準備しています!」

と言うと、3人は「お母さ……」と言いかけて固まっている。なぜ?私が若くてお母さんに見えない?なんて。フード付きのトレーナーを着ていて若見えしたかも?

「あ、お母さんです。」

と私が言ったら、フリーズ状態が解けた3人。1人は次男の部屋へと入って行く。

「歩ける?」

などと言っている。もう1人は、

「本人の身元が分かる証明書はありますか?」

と言う。マイナンバーカードは期限切れだし、と思って保険証を出そうかと思ったら、次男が隊員さんに助けられながら歩いてきたので、マスクを渡し、

「何か持って行く物ある?」

と聞いた。そうしたら、

「そのリュック。」

と言う。黒い、大学に持って行っているリュックだ。それを持ったら、うわ、重い。それから一応次男のコートを持ち、自分もコートを着る。でも、

「身分証明書ありますか?」

とまた聞かれる。

「あ、はい。すみません。今出します。」

やっと次男の財布から保険証を出して見せた。そして、さっきの汚物の入った袋を結んで捨ててから出かけようと思い、持ち手を持ったら手が濡れた。

 ひえっ、こりゃダメだ。今触らない方がいい。私は今日中に帰って来るのだから、後でここの掃除をしよう。

 ということで、手を水で洗い、一応ウエットティッシュでも手を拭いてから出かけた。電気を消し、鍵を閉める。よし。

「ちゃんと戸締りしてくださいね。」

と、隊員さん。ここ、きっと忘れがちな所だから注意するようにしているのだろう。

 出かける時、家族の誰が先に帰って来るか分からないので、鍵を入れておく所があるのだが、隊員さんと一緒だったし、すっかり忘れて手に持ったまま救急車に乗り込んでしまった。

 う、喉渇いた。あ!ミネラルウォーター、やっぱり忘れた。それと、迷った挙句ダウンコートを着てきたが、やっぱり暑かった。次男もモコモコのパジャマを着ているから、コートの必要はなかったな。


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