45.
マルスとの激戦は終わった。
奴は撤退し、この開拓村に平和が戻った――と言いたいところだが、現実はそう甘くない。
目の前には、磁力の暴風によって半壊した村の姿があった。
防壁は崩れ、家屋はひしゃげ、大量の瓦礫が道を塞いでいる。
「ひどい有様だな……」
「これじゃあ、住むどころか寝る場所もないね……」
リィナが瓦礫の山を見上げて溜息をつく。
村人たちも途方に暮れていた。重機もないこの辺境で、これだけの瓦礫を撤去し、再建するには数ヶ月、いや下手をすれば年単位の時間がかかるだろう。
だが、それは「普通なら」の話だ。
「リィナ、ノエル。ちょっと手伝ってくれ」
「え? うん、いいけど……どうするの?」
「俺に任せろ。パパッと片付けるぞ」
俺は瓦礫の山に近づくと、片っ端から手を触れていく。
「減重」
対象の質量を極限までゼロに近づける。
巨大な岩も、折れた大黒柱も、今の重さは羽毛以下だ。
「よし、リィナ。これを運んでくれ」
「ええっ!? こんな大きいの無理だよぉ!」
「大丈夫だ。持ってみろ」
「う、うん……えいっ!」
リィナが恐る恐る、家一軒分はあろうかという巨大な梁に手をかけ、持ち上げる。
その瞬間、彼女の目がまん丸になった。
「えっ!? か、軽ぅぅぅぅいっ!?」
リィナはひょいっと、指一本で巨大な木材を持ち上げてしまった。
まるで風船でも持っているかのような軽さだ。
「すごーい! ガイア君! 綿みたいだよ!」
「重さを奪ったからな。これなら運べるだろ?」
「うん! 余裕余裕! 私に任せて!」
リィナは「わーい!」と声を上げながら、巨大な資材をポンポンと放り投げ、指定の場所へと積み上げていく。
端から見れば、可憐な少女が巨岩をジャグリングしているような、とんでもない光景だ。
村人たちが「あの子、怪力すぎるだろ……」とドン引きしているが、まあいいだろう。
「次は基礎工事だな。ノエル」
「……ん。任せて」
瓦礫が片付いた地面は凸凹だ。
俺は地面に向けて手をかざす。
「加重」
ズズズンッ!!
局所的な超重力を発生させる。
見えない巨人の足で踏みつけたかのように、地面が一瞬で圧縮され、鋼のように硬く平らな土台が出来上がった。
「……すごい」
ノエルが感嘆の息を漏らす。
「魔法を使わずに、重力だけで地盤を固めるなんて……ガイア、規格外」
「手加減はしたつもりだけどな」
「……ん。ガイアがいれば、復興なんて三日で終わる。……私たちのリーダー、自慢」
ノエルがボソッと言いながら、少しだけ頬を染めて俺の服の裾を掴んだ。
リィナも作業の手を止め、キラキラした目で駆け寄ってくる。
「やっぱりガイア君は最高だよ! 戦闘だけじゃなくて、こんなことまで出来ちゃうなんて!」
「はは、便利屋扱いされそうだけどな」
二人に褒められ、俺は少し照れくさくなる。
魔人としての正体がバレて、拒絶されるかとも思った。
けれど彼女たちは、こうして変わらず――いや、以前よりも信頼を寄せてくれている。
それが何より嬉しかった。
俺たちの超スピード復興作業により、村の再建は驚くべき速さで進んでいくのだった。
【おしらせ】
※1/30(金)
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