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45/48

45.

 マルスとの激戦は終わった。

 奴は撤退し、この開拓村に平和が戻った――と言いたいところだが、現実はそう甘くない。


 目の前には、磁力の暴風によって半壊した村の姿があった。

 防壁は崩れ、家屋はひしゃげ、大量の瓦礫が道を塞いでいる。


「ひどい有様だな……」

「これじゃあ、住むどころか寝る場所もないね……」


 リィナが瓦礫の山を見上げて溜息をつく。

 村人たちも途方に暮れていた。重機もないこの辺境で、これだけの瓦礫を撤去し、再建するには数ヶ月、いや下手をすれば年単位の時間がかかるだろう。


 だが、それは「普通なら」の話だ。


「リィナ、ノエル。ちょっと手伝ってくれ」

「え? うん、いいけど……どうするの?」

「俺に任せろ。パパッと片付けるぞ」


 俺は瓦礫の山に近づくと、片っ端から手を触れていく。


減重グラヴ・ライト


 対象の質量を極限までゼロに近づける。

 巨大な岩も、折れた大黒柱も、今の重さは羽毛以下だ。


「よし、リィナ。これを運んでくれ」

「ええっ!? こんな大きいの無理だよぉ!」

「大丈夫だ。持ってみろ」

「う、うん……えいっ!」


 リィナが恐る恐る、家一軒分はあろうかという巨大なはりに手をかけ、持ち上げる。

 その瞬間、彼女の目がまん丸になった。


「えっ!? か、軽ぅぅぅぅいっ!?」


 リィナはひょいっと、指一本で巨大な木材を持ち上げてしまった。

 まるで風船でも持っているかのような軽さだ。


「すごーい! ガイア君! 綿みたいだよ!」

「重さを奪ったからな。これなら運べるだろ?」

「うん! 余裕余裕! 私に任せて!」


 リィナは「わーい!」と声を上げながら、巨大な資材をポンポンと放り投げ、指定の場所へと積み上げていく。

 端から見れば、可憐な少女が巨岩をジャグリングしているような、とんでもない光景だ。

 村人たちが「あの子、怪力すぎるだろ……」とドン引きしているが、まあいいだろう。


「次は基礎工事だな。ノエル」

「……ん。任せて」


 瓦礫が片付いた地面は凸凹だ。

 俺は地面に向けて手をかざす。


加重グラヴ・ブースト


 ズズズンッ!!


 局所的な超重力を発生させる。

 見えない巨人の足で踏みつけたかのように、地面が一瞬で圧縮され、鋼のように硬く平らな土台が出来上がった。


「……すごい」


 ノエルが感嘆の息を漏らす。


「魔法を使わずに、重力だけで地盤を固めるなんて……ガイア、規格外」

「手加減はしたつもりだけどな」

「……ん。ガイアがいれば、復興なんて三日で終わる。……私たちのリーダー、自慢」


 ノエルがボソッと言いながら、少しだけ頬を染めて俺の服の裾を掴んだ。

 リィナも作業の手を止め、キラキラした目で駆け寄ってくる。


「やっぱりガイア君は最高だよ! 戦闘だけじゃなくて、こんなことまで出来ちゃうなんて!」

「はは、便利屋扱いされそうだけどな」


 二人に褒められ、俺は少し照れくさくなる。

 魔人としての正体がバレて、拒絶されるかとも思った。

 けれど彼女たちは、こうして変わらず――いや、以前よりも信頼を寄せてくれている。


 それが何より嬉しかった。


 俺たちの超スピード復興作業により、村の再建は驚くべき速さで進んでいくのだった。


【おしらせ】

※1/30(金)


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