作戦は通達した
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砦の中を一通り確認して、神殿が機能していることを確認し、後は昼間にしっかりと睡眠を取っておくことに専念した。夜型の体にする必要があるからだ。そんな事をしなくても徹夜は簡単なんだが、ちゃんと睡眠をとることは重要だ。これから数年間は戦争になるかもしれないんだ。残業の感覚で居ては、倒れてしまう可能性がある。夜型の生活に慣れておく必要があるんだよ。
今回の戦争では、俺が20時から8時を担当する。シチミヤ男爵が6時から18時、レイロール男爵が12時から24時となっている。皆が12時間の勤務だな。その内の8時間を指揮を執る時間にし、残りの2時間で引継ぎを行う事にしている。まあ、この位の勤務なら大丈夫だ。ちょっとレイロール男爵がお年なので、ちょっと負担が大きいかもしれない。それでも頑張ってくれるそうではあるんだが。
なお、戦力の確認をしたところ、俺の軍が突出しておかしい事が解ったけどな。シチミヤ男爵がSP80程度の召喚獣を切り札とし、SP10前後の召喚獣を多数用意していて、レイロール男爵がSP150程度の召喚獣を切り札に、SP100前後の召喚獣を揃えて来ていた。俺はというと、SP200付近の召喚獣を軸にSP170程度の召喚獣を平均に持ってくるという編成だ。戦力の格が違い過ぎたんだ。
ただ、攻めることを予定していたレイロール男爵が無限召喚持ちの召喚獣を複数用意していたことを考えると、結構ガチで攻め込む予定だったんだというのが伺える。無限召喚持ちは戦争には必須。無限召喚の有無で戦略がガラッと変わってしまう。そんな所に切り札でも何でもないくらいに無限召喚持ちをこれでもかと用意していた俺を何かおかしいだろうという目で見ていたのは、なんだかな。自覚が無い訳でもないから何にも言えない。
まあ、皆が皆、数でなんとかする方法を考えていたと言う事なんだよ。お陰で戦力の把握も出来たし、俺なりの作戦も考えられた。瑠璃に殆ど全てを任せることになるとはいえ、俺が作戦内容を知らないのは問題だからな。一応命令を出すのは俺の役割なんだ。最高司令官は俺だ。時間限定ではあるが、その司令官が作戦の内容を知らないというのは不味すぎる。
出来るなら反転攻勢をかけたいと思っているというのは皆の共通認識。ただ、8月6日に攻め込んできたとしても、20日までは防衛に重きを置き、21日から軍を前に進めようと言う事になっている。理由としては、こちらに追加の戦力を呼び寄せる事が成功すれば、他の戦線が抜きやすくなるからだ。ここまで戦力が整っているのであれば、あえて受ける事で戦力を釣り出し、その切り札さえもぶち抜いていくスタイルの方が占領は容易いだろうという事で一致した。要はここは囮の様な役割を果たすことになる。全力で守り、向こう側の召喚獣を全滅させる勢いで狩り尽くし、更に強い召喚獣を誘い出すというミッションをやろうと言う事なんだよ。
それだけの戦力があるとシチミヤ男爵もレイロール男爵も判断したと言う事になる。それでも勝てるとは思っているんだよ。そのくらいは出来る戦力を持ち合わせていると思っているんだ。釣りだしにちゃんと釣られてくるのかは未知数だけどな。向こうが切り札を温存しているという前提の話になる。まあ、こちらも切り札は温存して動くことになるんだけどな。とりあえず、アテナを全面に押し出しての防御という事になるんだ。死なない召喚獣としての力を見せてやって欲しい。なお、ここは都市でも町でも村でも無いため、ソウルスキルの固有強化バフは発動しないんだけどな。
「瑠璃と俺は全体指揮に入るから、ここで待機だ。後は普通に戦闘を熟せばいい。スタンピードの時と要領は一緒だ。迎え撃つ形になる。まだ簡単に攻めるんじゃないぞ? 多分だけど、大きく向こうが出てくる時が来る。それまで耐えるんだ。戦線をぶち抜かれる様な事は無いはずだ。まあ、夜に担当が当たっているから、伊邪那美命の黄泉軍は使わせてもらうけどな。それだけで半分くらいは防衛に成功すると思う。後は敵の召喚獣を殲滅し、ここは抜けないという状態を作り出す。そして、その防御を抜くために召喚獣でも切り札的存在を引きずりだすと。上手くいかなかった場合は、そのまま押し潰すから何も心配は要らないが」
「まあ、ここまでしたら普通は負けないのさ。準備しすぎたという自覚が無いのが困りどころなのさ」
「ん~。吾輩も自由にさせてもらうのは良いですが、指揮官が強きを求めているというのが何とも言えませんなあ。それでも、吾輩は負けませんが」
「従僕、我の活躍の場も作ってあるのだろうな?」
「勿論だ。俺たちは夜に戦う。向こうも夜には夜に強いアンデッド系統を使用してくることが想定される。アンデッドを狩るには、俺たちの編成が一番向いている。呼び出された所を端から食い破って行くつもりだ。敵の召喚獣を全部8時間のクールタイム待ちにさせてしまうくらいに考えている。戦闘でアタッカーが暇をするなんてことはないだろう。存分に暴れてくれ」
「我らも準備をしておかねばなるまい。お主は前線で戦わぬのだな? 神剣は我らが使っても良いか?」
「それは任せる。モリガンが使うのが一番いいだろうとは思う。派手に暴れてくれ」
俺の召喚獣に関しては好きにさせるのが良いと判断している。そうそう負けるなんてことはない筈なんだよ。それだけの編成を組んできたと思っているし、それだけのレベルを上げてきたつもりなんだ。簡単に負けるような相手が出てきた方が困るんだよ。それが切り札でも何でもないとなると、さらに状況が悪化する。それは避けたい所なんだ。
まあ、流石に大丈夫だと思うけどな。どう考えても勝てませんって状態にはならないと思うし。なったらなったで件の能力が発動するだけなんだけど。件が強すぎるんだよな。流石に調整をさせた方がとは思う。神様がどんな調整をするのかは知らないけど、流石にここまで強いとな。
ただ、こちらとしては戦争に特化した召喚獣は少ない。戦争だけに特化した召喚獣そのものが少ないのもあるんだけど、居ないことは無いからな。対人戦にめっぽう強い召喚獣も居る。呼んであるし、ちゃんと育ててくれていると思っているぞ。召喚獣特効持ちも居ない訳じゃないんだからさ。まあ、殆ど使わないけどな。遺跡の攻略には持ってこいかもしれないが。まあ、ガチ勢の遺跡はそもそもその対策くらいはしていると思うので、無意味になるとは思うけど。
「とにかく、俺たちの出来ることをする事。最悪を想定して準備はしてきた。それ以上の事もあり得るが、そこを想定しても勝てない可能性が高いからな。逆に言えば、向こうがそこまで強かったのであれば、そもそもこの戦争は負ける。ここを防衛するだけで勝利条件が満たされる可能性があるんだよ。だから、出来る限りで良い。頑張って勝利を目指そう」
「心配しなくても負ける気なんて無いのさ。そもそも向こうの戦力があんたの想定を軽々超えてくるようなら、もっと大きな国になっていてもおかしくないのさ。この国が滅んでいてもおかしくないのさ。この国が残っていることが証明さ。そんな極悪な難易度になるはずがないのさ」
まあ、そう思いたい所ではある。けど、慢心はいけない。出来る限りの準備はしたつもりだ。それも圧倒的に勝てる準備をしたはずなんだ。これで負けたら、ちょっと考える時間が欲しい。レベルもそうだが、召喚獣の配布も考えないといけないレベルになってくる。大丈夫で済めば良いんだがな。




