お隣の領地の事情
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「は? 奴隷が増えている? 何でなんだ? こっちは経済的にも安定しているし、増える余地なんて……。いや、経済的に儲かっているから冒険者が遊びで子供を作るのか? それでもそんなに増えるものなのか?」
「いえ、あの。冒険者がそうなのもそうなんですが、隣の領地が経済的に苦しくなっておりまして。それで身売りという名の奴隷が増えているそうなんです。その奴隷たちも売れないのでこちらの領地まで持ってくる始末でして。それで奴隷が増えているんです」
「はあ? 何で隣の領地の経済状況が悪いんだよ。まだ戦争が始まって……いや、既に準備段階だから始まっているのと同じか。でも、徴兵されるならまだしも、奴隷になるっておかしくないか? しかもどうせまだ15歳までだろ? 16歳になるとソウルメイトが手に入るんだから徴兵されてもおかしくないし、冒険者って道が用意されている。家を出て行くなんて当たり前の事だと思っていたんだが」
「それが、食料が足りないそうで。かなりの量を輸入に頼っていたらしいのです。それがこの度戦争が始まりまして、食料が値上がり、またリッテル王国の策略で食料が大量に流出していることが解りました。それを防ぐために関税を掛けた訳ですが、……どうやらそれで輸入している食料も関税に引っかかっているらしく」
「ん? あれ? 入ってくる食料にも関税をかけているのか? 馬鹿なのか?」
「私では判断がつきませんが、なんともまあおかしな事をやっておりまして。出て行くのであれば関税を掛ければいい話ではあるんですが、入ってくるものにまで関税をかけているらしく、税収の増加と共に、平民の暮らしが苦しくなっていっているらしいのです。詳しくは解りませんが、状況から推測するに、そういう事で経済が悪くなり、奴隷が増えるという事になっている様です」
「……馬鹿でしかない。そもそも食料を輸入に頼るなと言いたい所なんだが、まあそれは置いておこう。もしかしたら戦争の物資を買い漁った結果、食料不足になっただけの可能性もあるからな」
「……お忘れかもしれませんが、元々この領地もそうでしたよ? 隣のシャイダイ男爵領からの輸入で賄っておりました。食料生産は他の土地よりは多かったものの、それでも足りなかったもので」
「ああ、そうだった……。富と豊穣の塔があるんだから、足りないなんてあり得ないと思っていたが、そういえばそうだった。……それで? 俺に出来ることがあるからこの話を持ってきたんだよな?」
「流石に心苦しいので、食料の輸出を増やしても良いでしょうか? こちらは特段旨味がある訳でもないですが、その、奴隷が流入してくるだけならまだいいのです。流民が流れ着いてくる可能性と、冒険者の流入が今以上のペースで起こりますと、こちらの領地もパンクしないとも限りませんので」
「冒険者の流入が増えているのは喜ばしい事じゃないのか? こちらとしては旨味しかないと思うが……。何か見落としているか?」
「貴族家が狩場の狩りをしなくなったという事を考えていただければと」
「ああ、はいはい。あー。スタンピードが連鎖する可能性があるのか。連鎖されたら、流石にこちらも対処のしようがない。戦争で主力が出て行っているのに、連鎖されたスタンピードを収める戦力があるかと言われたら厳しいだろう。これが戦争中で無かったら良かったのかもしれないが、戦争中に連鎖されたら、流石にこの領地も荒らされかねない」
「そういう事でして、食料の支援をしたいと思います。……兵糧に消えるかもしれないですが、何もしないよりはマシでしょうから」
「そうだな。そうしてくれ。こちらの兵糧は十分なだけ用意してあるし、クリエミルツ辺境伯家の支援も当てにできる。戦争とは別の要因で荒れても問題しか起きないからな。流石に戦争に集中させてもらいたいところだ」
戦争以外に不安要素をぶち込んでくるんじゃない。そもそも食料を輸入に頼るな。安全保障って言葉を知らないのか? 食料自給率は真っ先に確保しないといけないんだぞ? だから俺の領地では食料自給率は750%を達成している。これだけあれば十分だとは思うが、これでも全国的な不作になったら不安が出てきても仕方がないかと思うくらいなんだ。だから、兵糧とは別に、領地内の人口を調べさせて、5年分の食料を貯め込んでいるんだ。これだけあれば、1年間、冒険者も子供も飢えずに食べられるだろう。
基本のきから教えてやる。食料自給率は300%で安全圏ギリギリなんだ。100%で足りるなんて思ってはいけない。300%必要なんだ。余ったら輸出すればいい。貰い手が無ければ腐らせればいい。一番問題なのは飢える事。餓死者が出ることが領地として一番の問題があるんだよ。食料が満足に無ければ人口は増えない。余剰が必要なんだ。だから、食料自給率は300%確保していないといけない。確保できていない領地は、終わっていると言っても過言ではない。
今回みたいに敵の計略で食料が狙われたら堪ったものじゃないからな。兵士だって人間なんだよ。召喚獣だってソウルメイトだって生きているんだ。ずっと使用するのであれば、食料が必要である。まあ、餓死するまで酷使するなら話は別だけどな。
それでも、食料が足りない時は、ソウルメイトには泣く泣く餓死して貰う事を選ばないといけない。隣で苦しんでいるのを見て、心が痛まない訳がない。それでも、ソウルメイトは8時間すれば、元の状態で戻れるんだ。優先するのは人の方だ。それを説得しなければならない。幸子にだって同じことは言ってある。そういう状況になれば、俺が生き残る方を考えさせて貰うと。まあ、そんな事にはさせないという思いがあるけどな。
それが領地を持つという事なんだよ。それだけの覚悟が無いと貴族になんか成れるか。少なくとも、食うに困らない生活をさせないといけない義務が生じると思っている。まあ、元が平民だからってのもあるんだろうとは思うけどな。食うに困ることがあるようじゃあ駄目なんだよ。食料で困るような領地はそもそも住んではいけない土地なんだ。もしくは人口が増えすぎたかな。どれだけ豊作が約束された土地でも、抱え込める人口は限られている。無限には人口を支えられない。それが解らない奴が貴族なんてやっているんじゃねえ。俺はそう思う。
「内政を頑張る派閥だから、食料は当然のこと、その他の事も頑張らないといけないとは思っていたけど、他の貴族家は何をやっているんだ? 食料が足りないなんて存在価値がないぞ? それでも貴族か? 食べられない人間を出さないようにするのが貴族の役割だろうが……」
「耳の痛い話ではあります。我々もその中の1人でしたので……」
「今は良くなっているんだから良いんだよ。しかし、関税を入るものにまで掛けたのには意味が解らない。普通はこういう時には出て行くものにだけかけるものだろ? そもそも入って来るって事は、自分の領地で足りていないから入ってくるのであってだな。出て行かないようにする処置のはずが、入ってこないようにしてどうするんだ」
その辺の理屈が全くわからない。普通に考えて、足りないものを輸入するのは当然のことだし、足りないからこそ、入ってくるのに関税はかけない。それで滞ったらどうするんだって話でしかないからな。代替手段があるのであれば、それでいいのかもしれないが、無いのであれば関税をかけてどうするんだって。その辺の常識が俺とは全然違うんだよな。何を考えているのかが解らない。何も考えていないと言われた方がスッキリするまであるからな。




