派閥会議の日時と特産品
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「日時と会場は指定されている訳なんだが、これは俺だけで行く訳ではなさそうだな。ある程度の護衛と付き人を用意して来いと言われている。護衛は奴隷たちを連れていくとして、付き人はミルミル男爵とコールデン男爵、ヨコエ男爵、シタラ男爵の4人で良いか? ある程度の格は必要だろうし、色々とやって貰っているから、息抜きも兼ねて行くのはどうだ?」
「流石に息抜きにはなりませんがね……。しかし、付き人は私たち4人で良いとは思います。多すぎても少なすぎても色々と言われそうです。4人程度連れていくことは問題にはならないかと思われます。元は子爵家からの男爵家ですし、相場的にもそのくらいでしょう」
「そうか。それと日時は10月28日となっている。丁度3か月先だな。普通であれば、そろそろ移動を始めないといけないんだろうが、こっちとしては1日もあれば会場には到着できるからな。その辺は考慮しておく方がいいだろう」
「となると、10月23日には到着しておきたいですね。派閥会議があるのは28日ですから、それまでに挨拶や何からを済ませておく必要があるかと思われます。また、男爵家なので、遅れていく訳にはいきません。領地貴族で男爵は一番下ですから。しかも新参者ですし、誰よりも早く到着していないと、色々と面倒な事に巻き込まれると思いますよ?」
「……面倒だな。何でそんな事になるんだ? まあ、移動に関しては問題無いから別に構わないが」
面倒である。非常に面倒である。何でそんな面倒な事をしなければならないのかと小一時間問いただしたい。けど、問いただしたところで無駄なのだ。どうせやらなければならない事だからな。作法なんかも覚えているけど、面倒で堪らない。派閥の会議には参加しなければならないのは解るんだ。でも、どうせ上が決めたことを通達するだけなんだから文書で良いじゃないか。そう思うんだけど、駄目なんだろうか。
なんにせよ面倒なんだよ。護衛は連れていけても、待機部屋で居なければならないって決まっているし、そもそもお付きの法衣貴族たちとは離れる気はない。本来であれば、情報収集なんかに向かわせたりもするんだろうが、新参者だからな。出来る事と出来ない事がある。まずは色んな所との調整をしなければならないので、どうしても法衣貴族を情報収集に出せない。一番の目的は、お隣の貴族家であるシャイダイ男爵家との調整になってくるんだけど、無事に終わると良いな。何を要求されるのかは知らないが。
ぶっちゃけ行きたくない。いかなければならないなので、行くんだけどさ。派閥の会議をしなければならない程の情報があるんだろうな? そう思う。定例会議であれば、文書で終わらせて欲しい所なんだよな。その方が俺も楽が出来て有難い。何も気にしなくても良いって状況の方が有難くて良いんだよな。そんな事にはならないとは思うけど。派閥会議を開く以上、なにかしら大きなことが起きるんだろうとは思う。
国王が変わるから誰を推すのかを決めたとか、何処かの貴族家とは完全に対立したとか、何処かの貴族家がどういうものを融通して欲しいだとか。そんな感じの報告があるんじゃなかろうか。こっちに出来る事なら良いが、出来ない事を言われても困るんだよな。出来る事でしか無い事もあるんだよ。そうなった場合は断れない。出来るでしょ。やれよと言う感じなんだよなあ。問題が大きくなることしか考えられない。
「とりあえず、10月23日の午前中に出発をして、午後には到着できるようにしておく。その他の準備に関しては任せる。こちらで準備しておかなければならないことは殆ど無いとは思うが、重要な事はあるか? お土産が必要だとか」
「いえ、お土産は必要ないかと。……今後の事も見据えて、特産品を用意しておく方が良いとは思いますが。生産品で特にこれだという物を作れるようになっておくといいかもしれません。短い期間にそれらを作れとは言いませんので、出来たら何か考えておいていただけると有難いです」
「特産品か……。簡単に思い付くもので良いのであれば、まあ、用意できなくもない。急いで用意する方が角が立つか。今回は見送る方向で行こうか」
特産品か。面倒だな。内政を重視しているのであれば、何かしらの特産品が出来てもおかしくないと言う事なんだろう。織物や鍛冶製品なんかはちょっと外には出せないだろうし、一番簡単なのは酒だろう。バッカスあたりを呼んで作らせればいい。酒造と言えばバッカス。まあ、他にも色々と居たりはするんだけどな。でも、有名どころで言うとそこら辺が該当してくるよねって話で。
後は料理に関しての神様系統を呼んでしまっても良いのかもしれない。美食系の神様も居るし。でも、それだとお土産が料理って事になりかねないのがちょっとなあ。派閥会議が立食パーティーみたいなものらしいので、料理は流石に喧嘩を売る羽目になりそうだ。やっぱり酒造かなあ。一番角が立たないで、特産品として売り込めると思うからな。色々と考えないといけないことが多いな。
「酒造は良いのさ。酒は美味しい方が好みなのさ。出来れば甘い方が好みなのさ」
「俺も酒は甘い方が好きだな。辛いのはちょっと苦手だ。まあ、そもそもだが、酒造くらいしか特産品が思い付かないってのが問題なのかもしれない」
「色々とありますけど、召喚獣でよろしいのでは? という案件が多いですからね。消耗品である方が特産品としては優れているので、酒造でもよろしいかと思いますが」
「ん? 特産品は消耗品の方がいいのか?」
「あたしに聞かれても困るさ。瑠璃、何でなのさ?」
「例えば漆器なんかを特産品として扱うとしましょう。漆器の寿命は長いですから、買い替える必要が無い訳です。それに、常に新しいものを生み出さなければなりません。既にあるものを作り続けるというのも悪くは無いですが、時代と共に進化をしていかなければなりません。ですので、長持ちする特産品は、需要が限られるのです。その点、消耗品を特産品にしてしまえば、無くなれば買うしかない訳です。特にお酒は好きな人が多いですし、ソウルメイトや召喚獣にも人気です。売れなくなるという事が無い点は、特産品としては優秀でしょう」
「なるほど、そんな考え方もあるのか」
「確かにお酒はいいさ。甘くて飲みやすいのがいいさー」
そういう事ならお酒は確かに特産品向けだな。そんな事を考えたことが無かった。いきなり特産品を作れと言われても難しいからな。その領地の事をよく知っていないと不可能だ。俺はダンジョン関係と塔の関係は把握しているが、内政で何処で何を作っているのかなんて気にしたことが無いからな。これからは気にしないといけないんだろうけど。そういう派閥に入ったんだから気にしない訳にはいかないんだよ。
でも、特産品はダンジョンから取れてもいいとは思うけどな。ダンジョンからだと、外に出すのは惜しいものが沢山あるけど。ダンジョンの周回が始まった昨今なら、珍しくもなんともなくなる可能性があるけどな。冒険者が色々と情報を収集してくれているんだ。進化を遂げるのはもうすぐだろうと思う。これからはダンジョンの周回の時代だ。そうなると、ダンジョンの特産品は難しいのかもしれない。俺がダンジョンに潜らなければならないって事態になっても良いんだけど、それだと幸子が切れる可能性がある。ダンジョンは程々にしておかないといけないらしい。無限に潜っていられると思うんだけどな。それだと怒られるからな。




