アガレイト男爵家始動
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そして1日過ぎた昼過ぎ。また冒険者組合に来ていた。幸子とも話をしていたんだけど、ソウルメイトに切られるとかよっぽどなんだなって。幸子もダンジョンにどんどんと潜っているのに、切ることはしてないからな。扱いが悪い訳では無いから、当然ではあるんだけど。止めろと言われたことはやってないしな。なんだかんだ言いつつも幸子は付き合ってくれるんだ。ダンジョンに行くことは俺の楽しみでもあるからな。暫くはダンジョン禁止令が出る可能性があるんだけど。
「失礼する。組合長……と、そちらは?」
「おお、来たか。こいつが今日から貴族になる男だ。まあ、エルフなんだけどな」
「それはそれは。この度はありがとうございます。法衣貴族を代表してお礼申し上げる。私はユルゲン=ミルミル男爵と申します。以後よろしくお願いします」
「よろしく頼む。それで、首尾よく終わったのか?」
「ええ、既に広場に断罪された者たちを磔にしてあります。領民は石を投げて恨みを晴らしている所です。漸く辛く苦しい日々が終わるのですから、暫くはあのままでしょうな」
既に色々と終わっていたのか。まあ、簡単に終わったのであれば良かった。これで逃げられましたとかになっていたら、面倒なことになっていたところなんだから。
「それで? 後はどの位待てば良いんだ?」
「そうですね。既に兵を向かわせております。町長と村長を含めて5人の殺害に成功すれば、これで事態は終わりになります。ああ、既にメルト様の席は用意させてもらっています。なので、この話が終われば、直ぐにでも他の法衣貴族家との顔合わせをと思っております」
「早いな。まあ、早いに越したことはないか。解った。出来る限りの事はしてみよう。殆どの事は丸投げになるとは思うが」
「それで構いませんよ。こちらとしても今までよりは格段にやりやすくなるでしょうし。大きな変更もあることは予想しております。……何でも派閥を変えたいとか」
「ああ、派閥は変える。今は黒色人種の排除を唱えている派閥に属しているだろう? そこから内政重視の派閥に変えるつもりだ。そこは問題ないか?」
「ええ、大丈夫だと思われます。そもそも黒色人種を差別するつもりもありませんので。一部の連中がこの領地を去るでしょうが、それは別に構いませんからね。貴族家が変わると言う事は、そういう事でもありますから」
黒色人種を差別するつもりはない。というか、差別したところでなんだよな。何も利益にならない。ただ肌の色が黒いと言うだけなんだ。それで何が変わるのか。召喚獣もそれで態度を変えるなんてことはないし。召喚獣はそんな事を気にしていないと思うしな。
「冒険者組合としてはこれ以上何もいうつもりもない。統治が真っ当ならそれでいいからな。まあ、黒色人種の冒険者を呼び込みやすくなるのはメリットになる。簡単に増えるとは思えないが」
「そこは仕方が無いでしょう。今までがそうだったのですから。それと、メルト様には家名を考えて貰わなければなりません。直ぐにでも知らせを出さないといけないでしょうし」
「解った。といっても、一応考えてきた。アガレイト男爵家として動きたいと思う。これで大丈夫か?」
「アガレイト……被りは無かったかと思います。カリーマンは知りませんか?」
「いや、俺も聞いたことがない。多分通るだろうとは思うぞ。一応は複数の候補を用意しておけよ?」
「解っている。近々王都に行かなければならない事になるだろうが、家名はその時に本決めになると思っている。そのまま通れば良いとは思うが」
意味は特に無い。幸子と適当に考えた家名だ。家名も決めておかないといけないよなって話にはなったんだけど、日本語で家名を考え始めて止めた。どうせなら横文字の方が良い。なんとなくそういう感じで決めたんだよ。まあ、候補には日本語由来の物もあるんだけど、そっちは採用見送りになると思うぞ。このまま通ればそこまでだし。
「では、メルト様。一先ずは引っ越しをお願いします。荷物を持って領主館まで来て貰ってもよろしいでしょうか?」
「荷物は既に纏めてある。直ぐにでも行こう」
「カリーマン、世話になりました。これからも協力体制でいきましょう」
「勿論だ。喧嘩ばかりしている訳にもいかないからな。だが、こちらもそちらも大きく歩み寄ることは避ける方が良いだろう。それはこちらとしても望むところではない」
「それはそうでしょう。冒険者組合と貴族が癒着しているのはよろしく無いでしょうから。出来れば付かず離れずで行きたいところです」
一応、冒険者組合は独立した組織だからな。癒着は不味いんだろう。俺はどうでもいいとは思うけどな。伝えても良い情報はどんどんと伝えるつもりだし。秘密にしておかなければならない事って、そこまでないとは思うがな。貴族的には、秘密にしないといけない事もあるんだろうが。
そんな訳で、領主館にやってきた。ここが俺の住居になるのか。……悪趣味な庭があるのはちょっと頂けないな。これは後で庭師に相談だ。成金趣味に見えてしまう。庭は整っているくらいで丁度いいんだ。わびさびをと言われても解らないけど、これはちょっとなあ。酷いと思う。
「今日付けで私たちの仕える主が変わります。メルト=アガレイト男爵様です。ささ、どうぞ」
「メルト=アガレイトだ。厳しい事をいうつもりはない。今まで通りの内政を心がけよ。こちらからも口は出すが、駄目なら駄目と言ってくれ。1つだけ言いたいのは、今日からはシリエント公爵派閥に属することになる。内政を重視していく。これまで以上に励むように」
内政を重視していく。それでどんどんと変えていくべきことは変えていこう。もっと召喚獣を多用するとかな。内政を重視していくのであれば、召喚石はどんどんと使うべきだ。色々とやらないと行けないことがあるんだろうな。とりあえず、領地の法律から見てみないといけない。ブラックを通り過ぎてダークな物が沢山ありそうな気がするが、何とかしなければならない。内政なんて難しくないとは思う。別段困ることは無いはずだし。でも、やらないと行けないことは多々あるとは思うぞ。特にソウルメイト関連は動かなければならないだろう。
俺の常識でやれることはやるべきだ。内政なんてやったことがない。ゲームでコマンドをポチポチとしたことはあるが、本気で内政をしたことなんて無いからな。『サモンズネイション』では、冒険者一辺倒だったからな。貴族になった人とか居るんだろうか? そんなイベントは聞いたことがないんだけどな。出来ないとは思えないけど。なんだかんだと言って、出来たんじゃないかな。
検証班なら知っているのかもしれないが、そういう関係の情報を漁ったことはない。内政重視と言っても、何からすればいいのかが解らない状態だ。だけど、確実に言えることは、生産職の質を上げることが第一だと思っている。そのためには召喚獣を呼び出す塔をフル活用していく必要があるんだが、それをするためにも色々とやらないと行けないことが出てくる。それについては冒険者とも協力をしないといけないし、近々冒険者組合にも話を持っていかないといけないだろうな。
「さて、一通り自己紹介が済みましたね。この後はどうされますか?」
「この後は王都に向かう。今日中に王都に向かって、貴族家の交代がなったことを伝えないといけないだろう。暫くは留守にする。後は頼んだ」
「おまかせください」
まずは王城に挨拶にいかないといけないだろうし、シリエント公爵にも挨拶が必要だろう。やらないといけないことが多くあるな。




