貴族になるには
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今の貴族体制で、メリットが大きいのであれば問題ないだろう。だが、ジーデンス子爵家ではどうにも不安が残る。あの感じだと、典型的な悪役貴族だろう。周りが優秀で助かっているだけに過ぎない。それでいいのかという事もあるんだが、俺が貴族になる? それはどうなんだろうか。
「もし、俺が貴族になりたいのであれば、どうすればいいんだ? 王都に行けば解決するのか?」
「あー、本気で貴族になりたい感じか?」
「少なくとも無能よりも良いのであれば、変わってやっても良いとは思う。仕事は特に何も出来ないが。貴族が何の仕事をしているのか知らないからな」
「そうか。……なりたいのであれば、なれるぞ。特にジーデンス子爵家を切るだけなら簡単だ。国王に直訴すればいい。まあ、国王でなくても宰相クラスまで話がいけば、なんとかなるとは思うがな。有能であることを認めさせれば良い訳だ。何かに秀でていれば、特に問題はないとは思うが」
「言っておくが、元々は平民だし、転生前も平民だからな? 貴族ではない。だから、何をしないといけないのかは、はっきり言って解らない。それでも優秀であれば良いというのであれば、何を証明すればいいんだ?」
「一番手っ取り早いのは武力だろうな。近衛よりも強ければ貴族として認められるとは思う。まあ、問題は幾つかあるとは思うが、そんなものは障害にもならないだろうからな」
武力で良いのか? 今のパーティーである程度完成している……とは言い難いが、ポジションはちゃんとしている。完成しているとは言い難い。何処まで育てれば完成と言っていいのかが難しい。一生かけても完成しないなんて事もあると思う。+を幾ら重ねても、上限がない世界だ。完成なんておこがましいのかもしれない。
武力で良いのであれば、なんとかなるとは思うな。俺でも出来る事だ。内政面で優秀さを見せつけろと言われたら無理だろうからな。内政とは何ぞやから始めないといけない。内政なんてしたことが無いからな。ゲーム時代もずっと冒険者だったし。
「とりあえず、勝利すれば良いんだな?」
「簡単にいうとそうなる。後は何処の派閥に所属するのかを考えないといけないだろう。……流石に何処にも所属しないのは無理だ。味方になる貴族家が居ないと話にもならない。領地だけでなんとかなるのであれば、話は別なんだが、そんな訳にもいかないだろうからな。貴族についてはどの位把握しているんだ?」
「何も解っていない。この国の貴族の事なんて解るかって話だな。そもそも平民に何を求めているのか知らないが、貴族についてなんて解ったものではない」
「それもそうか。じゃあ、簡単に説明をしていくぞ。と言っても、冒険者ギルドで掴んでいる情報だけになるから、多少の差異はあるかもしれん。大きくは変わっていないはずだが、それは置いておくとしてだな。大きな派閥が4つある。公爵家の派閥だ。当然だが、その中でも小さな派閥があったりはするんだが、大きく見ればそれだけになる。ジェンティル公爵派閥、エスタルド公爵派閥、シリエント公爵派閥、ミズレイア公爵派閥になるな。ジーデンス子爵家はエスタルド公爵派閥になっていたはずだ。ここに所属するのはおススメしない。ジーデンス子爵家を潰すわけだからな。面子の一部を潰されるんだ。ここには所属しない方がいいだろう」
「なるほどな。派閥があるのか。……それで、俺が所属するべき派閥は何処なんだ? 大体は当たりを付けてくれているんだろう?」
「選択肢としては2つだな。シリエント公爵派閥かミズレイア公爵派閥になる。エスタルド公爵派閥はそもそも論外として、ジェンティル公爵派閥は難しい。入れない可能性が高い。彼らの派閥は人間至上主義と言っても良いんだ。領民も殆どが人間のはずだ。だから選択肢には入れない方が良い」
……なるほどな。それは選択肢から外さなければならないだろう。俺はエルフだからな。エルフが貴族になるなんてって感じになるんだろう。それは難しい。派閥の中に入れたとしても、最下層で足掻く事になる。そんな事をしなければならない派閥はお断りだな。……ゲームの時はそんな事を気にしたことも無かったんだよ。冒険者は何処にでも行けたからな。
「ん? 冒険者にはエルフもドワーフも居る筈だが、それはどうしているんだ?」
「ああ、領民以外はどうでも良いって感じだな。冒険者の立場も弱い。奴隷と同程度としか考えていないと思うぞ。一応、活動の自由は保証されているが、それだけだ」
なるほどなあ。領民じゃなければいいのか。それとも利益を与えてくれるのであれば、家畜としては認めてやろう的な考えなのかもしれない。どちらにしても無しだな。
「それと一応だが、エスタルド公爵派閥は黒色排除主義だ。ダークエルフやダークドワーフは領民としては認められていない。奴隷なら認めているが、扱いは酷いものだ。替えが効くという感じで使っているな」
「……なるほどな。それであんなに奴隷が安かったのか」
「そういう事だ。そもそもこの2つとは相容れないだろう。だから排除した。結果的には2つの派閥が残る訳になる。それがシリエント公爵派閥とミズレイア公爵派閥になる訳だな。シリエント公爵派閥は内政を重要視している派閥になる。農業や林業、畜産なんかもここがメインでやっている。ダンジョンに頼らない所での食料供給に関してはここが一番だ。ミズレイア公爵派閥は商業をメインにやっている。物流の活性化や商人たちを多く抱え込んでいるな。冒険者ギルドとの接点が大きいのもこの派閥になってくる。どっちを選んでも良いとは思うが、どちらかは選ばなければならない。まあ、両方と仲良くすることは可能だけどな。両方ともに派閥の仲が悪い訳では無いし」
「なるほど。……であれば、シリエント公爵派閥の方が良さそうか。ミズレイア公爵派閥に属さなくても商売は可能だし、商売に関してはこちらとの縁も強くなるだろうからな。派閥に属さないだけで、商売関係者になることは可能だろうし」
そもそも富と豊穣の塔があるんだから、内政に偏るのも良いと思う。出来る限りやれることをやった方がいいだろうからな。相性的にはどちらでも構わないとは思うが。
「なら派閥は決まりだな。後は王都に行って直訴するだけだ。攻め込むつもりで行くんだ。それで力を見せつけろ。そうしたら貴族になることをちらつかせて、ジーデンス子爵家を排除するんだ。そうすれば、なんとかなるだろう。駄目でもお前なら何とでもなる気がするしな」
「……真っ当な交渉で行かせてもらうぞ。流石に王都に攻め込むほど馬鹿じゃない。手段は武力で良いのは確かなんだろうけど、そもそも貴族はそれでいいのか?」
「良いと思うぞ。何かあった時に戦いに出るのは貴族の宿命だ。それから逃げるような奴に貴族は勤まらない。何かの責任を取るのが貴族の仕事だ。そのくらいは出来るだろう? そっちのソウルメイトもそう思うだろう?」
「まあ、いざという時に逃げる奴ではないさ。貴族になるのはあたしも賛成さ。これで漸く暇が出来るのさ。今までが忙し過ぎたのさ」
「そこまで忙しくはしていないと思うんだがな……。まあ、色々と出来る様になるというのは大きい。権力を持ってみないと解らない事もあるだろうからな」
ゲームでは貴族になるなんてコンテンツは無かったからな。遊ぶにしても丁度いいのかもしれない。冒険者業だけでは行き詰まることは解り切っていたからな。コンテンツを楽しむか。




